精華區beta BB-Love 關於我們 聯絡資訊
不好意思,能不能請會日文的幫我翻一下下面這篇文章嗎?先謝謝了~ (雖然說量有點…… ^^; ) > 創界山から、救世主がくると聞かされたのは、つい昨日のことだっ > た。 >  四年前に、魔界の王ドアクダーを倒してからも、幾度か魔界のもの > が創界山に現れたと聞いてはいた。しかしその何れも大事に至ること > はなく、あるときは創界山の兵士だけで、あるときは救世主ワタルの > 力を借りて、封じたり滅ぼしたりしてきたらしい。 >  今回は數が多く、その中でももっとも力の強い魔物が星界山へと逃 > れたのだ。 >  ここ、星界山の皇子たる海火子は、以前ワタルと一緒に、ドアクダ > ーと戰った。その時はまだ單なる漁師の息子だと思っていて、ドアク > ダーに珠と變えられた父親を元に戾すための戰いだった。 >  その結果として、彼は星界山を救うことになり、祖父がこの世界の > 王であることが解ったのだった。 > 「海火子樣。御準備を」 >  從者が後ろから聲をかける。これから、救世主との會見の儀がある > のだ。そんなことをしていないで、さっさと出發すればいいのに、と > 思うが、こういったしきたりが大切なのもこの世界だ。 > 「今行く」 >  扉を押さえ、頭を下げる從者の前を通り過ぎ、海火子は廣い廊下へ > と出た。 >  堅苦しい宮殿での生活にもいつの間にか慣れ、皇子としての物腰も > 板に付いたが、やはりこれからの旅を思うと、不謹慎だが心が踴っ > た。どちらかといえば、海で暮らしていたほうが自分には似合ってい > ると思うのだ。 >  廣間にはいると、既に祖父母、それに兩親は玉座に座っていた。端 > にある自分の椅子に腰を降ろすと、すぐに救世主入室の沙汰があっ > た。 >  創界山にいるクラマや、翔龍子とは幾度か逢っていたが、ワタルと > は本當に四年ぶりだ。 >  どんなふうになっただろう、一緒に旅をしていた頃のワタルを思い > 描いて、海火子は少し口許をほころばせた。 >  大きな重い扉が開かれ、そこに兩ケに武官を從えたワタルが立って > いた。その武官も位は將軍、以前魔界の者であったときには、ツッパ > リーと、スケバーンと呼ばれていた人物である。『救世主』がどれほ > ど重要とされているか、それだけで解る。 >  ワタルはいつもの格好ではなく、正裝とされる衣裝に身を包んでい > た。髮の冠と喉元の紅い勾玉は變わらないが、白を基調に金の縫い取 > りがあるゆったりとした上衣と深い蒼のマントを著けた樣子は、いか > にも救世主然としていた。 >  物怖じもせず、落ち著いた足取りで中央まで進み出ると、禮儀にか > なった所作で膝をついた。慣れたその仕草を、海火子は意外に感じた > が、幾度も創界山に來ていたなら、それも當然かも知れない。 > 「御目通り、有り難う御座います」 >  ワタルの聲は、良く響いた。あまり變わっていなかったが、やはり > 僅かに低く、豐かになっていた。こうして上から見ると、幾分大人び > て見えることに、海火子は氣が付いた。それは時間によるワタルの變 > 化とは、また別のものだった。 >  星天王は、鷹揚に頷き、續きを促した。 > 「創界山での事は既に御存知と存じます。   星界山にまで逃した > のは我らの不祥事、しかしそれを承知の上で、神龍劍をお貸し願える > よう、請願いたしたいと」 >  その話なら、聖龍妃からの勒願が屆いていて、皆承知している。そ > のために、ここに海火子がいるのだ。神龍劍は、海火子だけが扱え > る。他の者が使っても、ただの劍にすぎない。 >  聖なる力は、海火子が手にして初めて、發揮されるものであった。 > 「創界山での皆の戰い、充分であったと聞いている。また、神部界の > 危機に我らが劍を持つのは當然のこと。その願い、確かに承知した。 >    海火子」 >  呼ばれ、海火子は立ち上がった。腰には、件の神龍劍を帶びてい > る。ワタルも同じように、これは光龍劍を下げていた。この二振り > に、翔龍子   虎王の雷龍劍が揃うことにより、魔界の者を封じる > 最高の力が生まれるのだ。 >  翔龍子はどうしたのだろう? れ馳せながら、その疑問が湧いた。 > 救世主の橫に創界山の皇子がいるほうが、理に適っている。 > 「供に行って、力を貸してきなさい。星界山の皇子として」 >  一禮し、海火子は段上から降り、ワタルの橫で、同じように跪い > た。その一瞬、ワタルと眼があった。何等變わりのない、丸くて大き > い、濡れたような黑い瞳と。 > 「旅の無事と、戰いの勝利を」 >  その言葉で、短い會見は終わりを告げた。二人は同時に立ち上が > り、最敬禮した。海火子が先にたち、部屋を出る。後ろに控えていた > 武官が立ち上がり、また扉を開け、ワタルが入ってきたときのように > 二人が後ろについて出た。 > 「もういいぞ、お前たち」 >  扉が閉まるなり、海火子は振り返って言った。 > 「堅苦しくていけない。   オレ達は、これからすぐ出發の用意を > するから」 > 「承知いたしました。どうぞお氣を付けて」 >  ツッパリーはそう言うと、頭を下げ、武官の控え室へとスケバーン > を伴って姿を消した。 > 「隨分皇子樣らしくなったね」 >  笑いながらそう言うワタルに、よせやい、と照れ臭そうに返し、海 > 火子はワタルを久しぶりに、正面から見た。 >  身長は海火子のほうが氣持ち高いが、体付きはワタルのほうがやや > がっしりしている。華奢なわけではないのだが、細身でしなやかな海 > 火子は、どうしてもほっそり見えた。 > 「翔龍子は來てないのか?」 > 「うん、來てるけど…虎王なんだ」 >  困ったようなワタルの口調は、虎王の微妙な立場をあらわしてい > た。虎王は、翔龍子が魔界の者へと變えられた姿である。もっとも、 > その性質が、魔界に屬する譯ではない。しかし、やはり公の場に出る > ことは憚られるだろう。 > 「創界山で戰ってる時に魔界の力に觸れちゃって…良くあるんだけど > ね、今までにも」 > 「そうか、だからさっき居なかったのか」 >  話を續けながら、二人は、ワタルの通されている部屋のほうへ步き > 出した。その部屋は救世主のためのもので、今までに使われたことな > ど、ほとんどない。 > 「他の奴等は?」 > 「創界山も、まだ大變なんだ。だから、あっちで戰ってる」 >  ふと足を止め、ワタルは海火子に訊いた。 > 「…クラマに、逢いたかった?」 >  その言い方と、今まさに考えていたことを言い當てられたことで、 > 頰に朱が差すのを、海火子は止められなかった。 > 「ばっ、馬鹿言ってんじゃ…」 >  ワタルは樂しそうに笑った。こんな表情をすると、妙に意地惡く見 > える。いや、もしかしたら本當に意地惡なのかも知れない。 > 「海火子って、相變わらず可愛いんだ」 >  言いながら、ワタルは海火子に近づいた。怒鳴り返そうとして、背 > に觸れた壁に、氣を取られた瞬間。 >  ワタルの兩手が、海火子の腕をキんで壁に押し付けた。文句の出か > けた唇を、それより早くワタルの唇が塞いだ。 > 「…!」 >  海火子はもがいたが、ワタルは氣にもかけず、身体を重ねてくる。 >  ワタルの膝は海火子の足を割り、舌は口腔で海火子の舌を絡めとっ > ていた。 >  ゆっくり動くワタルの足と、荒ュしいが亂暴ではない愛撫に、抵抗 > する間もなく身体が熱くなる。力が拔けていく。 >  それと知ると、ワタルは右手を首筋に這わせた。勿論、キスの手は > 拔かない。少し爪を立てると、海火子の身体が搖れる。思っていたよ > りずっとはっきりした反應に、內心ほくそ笑む。 >  指は、喉から上著の袷を押し開き、鎖骨に沿って、その褐色の肌を > 曝していった。 >  唇を解放すると、海火子は耐え切れず吐息を漏らした。これ見よが > しにわざと出したままのワタルの舌と、自分の唇が、唾液で繫がって > いるのが見えた。 > 「海火子って、感じやすいんだ」 >  兩端を上げるようにして笑うと、ワタルは耳許に唇を近づけた。 > 「…すごく」 >  息がかかる。抵抗しようとするのだが、欲情していることが自分で > も分かった。 > 「今は、これだけで許してあげる」 >  優しい口調で言うなり、ワタルは鎖骨の窪みに、口付けた。 >  舌でくすぐりながら、きついキスをする。   熱くて、痛いキス > を。 >  最後に、輕く齒をたてて、ワタルは海火子を離した。紅い痕跡に、 > 指を觸れてから。 >  力が入らなくて、海火子は背を壁に預けたままだ。 > 「じゃあ、ここまで送ってくれて有り難う。また後でね」 >  まるで、今の出來事などなかったように、普通の笑顏に戾って、ワ > タルは言った。海火子の返事を聞かないまま、踵を返して、廊下を部 > 屋に向かって步き出した。 > 「 かったな」 >  扉を開けるなり、少し不貞腐れた虎王の聲が飛んできた。奧の椅子 > に座って、用意されていた飲み物を片手に、行儀惡く片足を腕に抱え > んでいた。一人で待っていて、退屈し切っている。 > 「ごめん」 >  素直に謝られて、困惑する。我儘を承知の科白で、諫めるワタルの > 聲を予想していたからだ。 > 「いや、別にワタルが惡い譯じゃないし」 > 「いいよ、退屈だったろ?すぐ著替えるから、ちょっと待ってね」  > そう言うワタルを、じっと虎王は見た。正裝したワタルは、滅多に見 > られない。特に、星界山で、となると二度とないかも知れない。 >  それに、その衣裝はワタルに良く似合っていた。 > 「ワタル、ワタル」 >  虎王の手招きに、帶に掛けた手を外して、ワタルは側まで行った。 > もっと、と指で示されて、ワタルは身体を曲げて顏を蛢きんだ。 > 「せっかくそんな恰好してるんだ、そのままで一回しようぜ」 >  グラスを圓卓に置き、馴れた仕種で兩腕をワタルの首に卷く。片膝 > を立てた姿は、高貴な顏立ちと合って、妙に淫らに見えた。 >  どちらからともなく、唇が重なった。虎王はワタルの頭を抱え、ワ > タルは虎王の背を抱いている。海火子にしたのよりは激しくないが、 > それより官能的なキスだった。 >  ワタルが身体を離すと、虎王は不滿そうに眉を寄せた。 > 「污しちゃまずいだろ」 > 「…覺えてろよ」 > 「こんなことならね」 >  笑って、もう一度輕く口付ける。小さな音をたてて。 >  それから、ワタルは手早く衣裝を變えた。普段きている、やはり白 > の輕裝に改める。光龍劍を背の鞘に納め、ワタルは虎王に聲を掛け > た。 > 「行こうか」 >  椅子から立ち上がって、虎王はワタルの橫にきた。ワタルより幾分 > ゆったりした服を著ている。半袖から腕を剝き出して、そのくせ首に > はマフラーを卷き付けていた。幅廣のベルトに、雷龍劍を差しんで > いる。 > 「…もう一回」 >  ワタルの腕を取って、虎王は自分から唇を重ねた。 >  今度は、觸れるだけ。呆れたように小さく笑って、ワタルは虎王を > 抱き寄せた。 > 「絕對、覺えておくよ」 >  囁いて、そのまま耳朵を嚙む。少し痛いくらいに。 > 「海火子に會ったんだろ?」 > 「うん。相變わらずだったよ」 > 「一緒なんだよな」 >  そんなことを話しながら、二人は部屋を出た。會見の後、魔物の居 > 場所をズボシ婆さんに占ってもらい、それから出發する手筈になって > いる。そこへはすでに案內されていた。會見に使われた大廣間の、 > 直ぐ橫の小部屋である。 > 「ワタルです」 >  輕く二回扉を叩いてから、ワタルは入室した。正面にズボシ婆さ > ん、その橫にイサリビと海火子が並んで座っている。 >  ワタルを見て、海火子は一瞬動搖したが、ワタルに變化がないと氣 > 付き、すぐ面を引き締めた。 > 「そこに掛けてくれ」 >  イサリビが自分の向かいを示して言った。低く豐かな聲に、紛れも > なく親愛の情をワタルは感じた。 > 「始めて下さい」 >  イサリビに促されて、ズボシ婆さん   容姿は、うら若い美女だ > ったが   は、机に廣げた地圖に、星を象った紙をのせていった。 > 七枚すべてを並べ終わると、兩手をその上にかざし、目を閉じる。や > がて、その紙が光を放ち始める。 >  ワタルも虎王も、噂は聞いていたが、實際に見るのは初めてであ > る。思わず身体を乘り出し、食い入るように見つめた。 > 「   第六星界」 >  靜かな、しかしはっきりした聲が漏れた。 > 「砂漠…塔…祭壇…」 >  ゆっくり、宣託を告げていく。ワタルは、舉げられる風景を、頭に > 描いていた。 >  第六星界は、ドアクダーに支配されていた頃しか知らないが、元に > 戾った世界も、その特性は變わらないはずだ。聖なる場所が、魔界の > 祭祀の場所になっていたとしても。 > 「それは、聖地アソウカにいます」 > 「聖地アソウカ!」 >  告げられた場所に、全員が聲をあげた。暗黑龍を甦らせるため、污 > された聖地。 > 「あそこは魔界に近い。奴め、力を蓄える氣だな」 >  少し俯いてから、イサリビは顏をあげた。 > 「ワタル殿。…虎王殿。私はここを出る譯にはいきませんが、どうか > 宜しくお願いします。何處に、如何なる姿でいるかはわかりません > が、光龍劍、雷龍劍、神龍劍を以てすれば、必ず封じられるはず。 > 星界山   いや、神部界を賴みます」 > 「…はい」 >  ワタルの應えは、救世主としての威嚴があった。虎王は頷くに留め > る。創界山の皇子としての、控え目な意志表示。 >  最初に立ち上がったのはワタルだった。それに虎王が續き、視線で > 促されて海火子が席を立つ。 > 「行ってきます」 >  いつでも、ワタルはこう言って旅に出た。そして、今回も。 >  ワタルの明るい笑顏と、虎王の自信に滿ちた表情、海火子の照れが > 混じった、決意の微笑み。それらを最後に、扉は閉められた。 > 「大丈夫よ」 >  にっこりと、とろけるように笑って、ズボシ婆さんは保証した。 > 「そうならいいんだが」 > 「親馬鹿ねえ。信じなさい、あたしの勘って當たるのよ」 >  虹から下りると、そこはすでに聖地だった。 >  低く垂れ籠めていた雲はなく、青空の下に、地上繪の描かれた砂漠 > が廣がっている。その繪も、暗黑龍から星龍へと變わっていた。 > 「廣いな」 >  邊りを見回して、虎王が言った。 > 「見つけるのは、大變だぜ」 >  アソウカ神殿は彼らの頭上に聳え立ち、星龍の頭に、三角の影を落 > としていた。暗い感じだったその塔も、今は白く輝いてみえた。 > 「とにかく、話を聞かなくちゃ。手掛りを見つけないと」 >  ワタルは、海火子を振り返った。この三人になると、自然とワタル > がリーダーシップを取る。海火子と虎王では、お互いにどうしても相 > 手の言うことを素直に聞けない。 > 「海火子、この邊に町はない?」 >  少し考えて、海火子は腕を伸ばした。 > 「あっちのほうに、小さい村があるはずだ。ここからなら、そこが一 > 番近い」 > 「じゃあ、そこへ行ってみよう」 >  ワタルは決斷を下すと、すぐ步き出した。慌てて、海火子が先にた > つ。自分が案內しなければならないのだ。 > 「腹減ったなあ」 >  吞氣に、虎王が文句を言った。兩手を頭の下に組んで、少し背を反 > らすようにして步いている。 > 「おい、なに氣樂なこと言ってるんだ。早く見つけて封じないと、ど > んどん力を付けてしまうんだぞ!」 > 「お前に言われなくても分かってるさ!だけど、腹を減らしたままで > 戰うなんて、オレ樣は御免だね」 >  二人の會話に、溜め息をついてワタルが割りんだ。仲が惡い譯で > はないのだが、どうもお互いの存在が癪に觸るらしい。 > 「はいはい、そこまで。もうすぐ陽も暮れるし、それまでにその村に > 著いて話を聞くんだろ?だったら喧嘩なんかしてないで先を急ごう」 >  そう言われて、ーュ默りむ。別に喧嘩がしたかったわけでもない > し、そんな場合ではないことも分かっている。 > 「それに、話を聞くのは食事をしながらでもできるしね。…僕も、ち > ょっとお腹空いてきたし」 >  ワタルのその言葉に、虎王は滿足して頷いた。それきり、虎王が文 > 句を言うこともなく、海火子が突っ掛かることもなく、三人は村に著 > いた。 >  そこは確かに小さい村だったが、それでも宿屋や食堂はあった。皇 > 子たる海火子はもちろん、噂に高い救世主ワタルの名前も知られてい > る。村人達は、出來うる限りの協力をしてくれたが、大した手掛りを > 得ることは出來なかった。 >  ただ、黑い影のようなものが南に向かうのを見た、と言う人が數人 > いて、そちらの方角にはもう少し大きな町があるということだった。 >  その頃には、すっかり暗くなり、彼らは宿をとることにした。 >  小さな宿屋の主人は非常に恐縮しながら、彼らを三人部屋に案內し > た。アソウカへの巡禮に來た人ュくらいしか利用する者もなく、大部 > 屋しかないということだった。 >  ワタル達に不滿はない。こんな旅だと、大抵が野宿になる。屋根の > 下で、布團で眠れるだけでありがたい。 >  翌日、早朝に出發することを決めると、彼らは話もそこそこにベッ > ドにもぐりんだ。 >  海火子は、ワタルに廊下での事を聞きたかったが、その機會の無い > まま、寑むことになってしまった。おかげで、鄰から安らかな寑息が > 聞こえてきても、まんじりともしない。 >  どうして、急にあんな事をしたのか。ワタルの樣子は、まるで惡戲 > をしているみたいだった。しかし、いたずらと言うには、あのキスは > 淫猥ではなかったか。ワタルは、今はこれだけで、と言った。では、 > 後で續きがあるという意味だろうか。 >  そう思い當たって、どきりとした。あの出來事に驚きはしたが、正 > 直なところ、厭ではなかった。海火子のそんな感情を、ワタルは承知 > しているようだった。 >  考えたところで、答えの出る問題でもない。それに、自分ではそん > なつもりがなくても、慌ただしかった今日は疲れていたらしい。いつ > の間にか、海火子もまどろんだ。 >  話し聲に、海火子は目が覺めた。 >  ワタル、と呼ぶ聲がした。どうやら、虎王らしい。何をしているの > か氣になって、海火子はゆっくり眼を開いた。 >  ワタルが寑ているはずの、鄰のベッドは空っぽだった。聲は、虎王 > のベッドからしている。闇を透かして見ると、そこに動く影があっ > た。 > 「…虎王、そんな聲だしちゃ馱目だよ」 > 「勝手なこと、言うな…」 >  低く囁く、ワタルの聲。少し彈んだ、虎王の應え。 > 「塞げば良いだろう」 > 「じゃあ、これを止めてもいいの?」 >  暗さに眼が慣れてくると、彼らが何をしているか、わかった。 >  虎王に、ワタルが身体を重ねている。二人とも、何も身に著けてい > なかった。汗に濡れて、肌がぼんやり光っている。 >  胸に顏を埋め、ワタルは愛撫を与えていた。腕と足を絡め、虎王は > 身体を反らせている。 >  さっきの會話の意味に氣付き、海火子は慌てて眼を閉じた。背を向 > けたかったが、金縛りにあったように身体が動かない。眼を閉じて > も、虎王の股間で動いていたワタルの指は消えなかった。 >  聞くまいと思うのに、いつの間にか耳を欹てている。 >  少しざらついたシーツは、擦れるたび音を立てる。荒くなっていく > 息遣い、耐え切れないように漏れる虎王の聲。木の軋む音。 > 「あ…」 >  いつもの虎王からは、想像もできないような甘い吐息に、海火子は > 思わず眼を開いた。 >  虎王はベッドに這っていた。その上にワタルが覆い被さっている。 > 前に回した腕は、片方が胸を、片方が下腹部を愛撫している。 > 「虎王…」 >  ワタルは、その身を伸ばして、虎王の耳元で囁いた。それから、ゆ > っくりと   まるで、海火子に見せつけるように   耳朵を嚙 > む。 >  びくん、と身体を震わせ、虎王はシーツを嚙み締めた。兩手はきつ > く布をキみ、大きく波打ち、うねるそれに顏を埋める。 >  首から、背骨に沿って、ワタルは唇を這わせていった。それが降り > ていくに從って、虎王は首を振る。銜えた儘のシーツが、布の擦れ合 > う音を立てた。 >  海火子にはその音より、自分の心臟の音のほうが大きいような氣が > する。身体中が熱い。鼓動が速くて、息が苦しい。だけど、一番熱い > ところは    > 「あ…っ!」 >  虎王が、シーツを離して、悲鳴に似た聲を上げた。虎王と同じとこ > ろに、ワタルの舌を感じて、海火子も身を震わせた。もちろん、それ > が幻覺だと分かっている。それでも、雙丘の奧に感じた濡れたもの > は、宮殿で首筋に与えられたものと、何等變わりなかった。 > 「ワタル…」 >  誘いを含んだ聲でワタルを呼び、虎王は身体を起こした。ワタルと > 向かい合って、それから兩手をさしのべる。手首をキむと、ワタルは > やや亂暴に抱き寄せた。 > 「…欲しい?」 > 「欲しい」 >  ワタルの聲も、虎王の聲も掠れている。何が欲しいのか、それは考 > えるまでもない。今、海火子が欲しいものと一緒だからだ。 > 「僕も、虎王が欲しい」 >  言いながら、ワタルは指を虎王の內部に入りませていく。その動 > きにつれて、虎王は身体をシーツに倒し、はっきりと悅びの混じった > 吐息をついた。 >  ワタルが兩足を押し開いたのと、虎王が自ら力を拔いたのと、どち > らが早かっただろう。それは分からなかったが、ワタルの唇が包み > んだのと、虎王の滿足氣な溜息が漏れたのは同時だった。 > 「…んッ…!」 >  虎王が息を吞んだ。背が反り、手がワタルの髮をキんだ。ワタルの > 頭は、ゆっくりと上下に動いている。手は、それぞれが別のところで > 動いている。唇の側と、熱い肉のなかで。部屋に、濡れた音が響く。 > 「あ…んん…」 >  語尾が甘く跳ね上がる。それと同じように、虎王の身体も動く。開 > いた唇を、舌が濕していく。その樣子は、虎の舌舐りに、似ていなく > もない。 > 「ワタル…」 > 「何?虎王…どうして欲しいの?」 > 「ワタルが、…欲しい」 >  顏を上げて訊いたワタルに、低く、しかしはっきりと虎王は答え > た。焦らすように身体を這い登らせ、ワタルは虎王に分け入った。 > 「あ…あッ、ワタル…ッ」 >  ワタルを受け入れ、虎王は叫んだ。押し殺しただけ、內包された喜 > 悅が海火子をよけいに搖さぶる。 >  兩手を背に腳を絡め、まるでもっと奧までワタルを誘おうとするよ > うに、腰を捩る。シーツの上に髮を散らして、上氣した頰でワタルを > 求める虎王は、海火子が見てもぞっとするくらい、綺麗で艷かしかっ > た。 > 「虎王…」 >  その頰に、寄せられた眉に、閉じた瞼に、ワタルは愛撫を加えなが > ら、さらに狂おしい溜息を唆す動きを繰り返している。 >  その度に虎王の金の髮は亂れ、宙に舞い、ワタルの前髮も汗を滴ら > せ、搖れた。 > 「ワタル、もっ…と」 >  乞われて、ワタルは虎王の要求に應え、一層強く身体を重ねた。  > 額を傳う汗を擴いのけようと首を振ったワタルが、一瞬、海火子のほ > うを見た。 >  視線があった途端、咄嗟に眼を閉じる。そのまま樣子を伺ったが、 > ワタルが海火子に氣付いた素振りはなかった。 >  いつのまにか、身体の自由は戾っていた。これ以上聞いていられな > くて、海火子は思い切って兩手で耳を覆い、身体を丸めて背を向け > た。その動きにも、彼らは氣が付かない。 >  そんな余裕はないということだろう。 >  腰のあたりが疼いている。ワタルのキスと、首筋への愛撫が、まる > で今されているように思い出され、海火子はきつく眼を瞑った。自ら > に觸れようとする手を、掛け布團を握りしめることで止める。 > 「い…あッ、ワタル…も、う」 > 「とら、お…う」 >  耳に屆く睦言は、海火子の身体を熱くしながら、だんだん意味を成 > さなくなっていった。ただ、虎王を追い上げながら、ワタル自身も登 > りつめていることだけは分かる。 >  そして、海火子の身体も。 >  昂っていくのに、解き放つこともできず、海火子は唇を咬み締め > た。身体中が心臟になったみたいで、脈打つ感覺が堪らない。 >  やがてワタル達の果てる吐息を聞いて、海火子も溜まった息を、ゆ > っくり、長く吐き出した。 > 「海火子、…海火子」 >  肩を搖り動かされて、海火子は眼を覺ました。 > 「朝だよ」 >  ワタルがすでに用意を整えて、笑っている。その後ろで意地の惡い > 笑みを浮かべているのは虎王だ。 > 「あ、惡い…寑過ごしちまったか?」 >  慌てて起き上がるのに被せて、虎王が口を開いた。 > 「いい御身分だな」 >  むっとしたが、起こされるまで氣が付かなかったのは事實なので、 > 反論もできない。口をへの字に結んで、虎王を睨むだけだ。 > 「虎王!」 >  ワタルが眉を寄せて、虎王を諫めた。その口調が少しきつくて、虎 > 王は叱られた子供のように橫を向いてしまった。不滿があるのか、ふ > くれっ面だ。 > 「大丈夫だよ、決めた時間よりは早いから。宿の御主人が、食事を用 > 意してくれたんだ。せっかくだから、戴いて行こう」 >  そう言って、ワタルは劍を背負い、虎王のところへ行った。二言三 > 言、何か話掛けると、あっと言う間に虎王の機嫌が直る。笑みすら浮 > かべて、ワタルを見上げる。その樣子は、昨夜の姿を思い出させた。 >  しかし、仕種に猥りがわしい所はない。確かに仲は良いけれど、ど > ちらかと言うと虎王がワタルに甘えているようで、それは四年前と何 > 等變わっていなかった。 >  そんなことを思いながら、海火子は手早く支度をした。 > 「待たせたな」 >  腰の鞘に神龍劍を納め、周りを見回して聲をかける。 > 「じゃ、行こうか」 >  ワタルの聲に、虎王がドアを開けた。 >  心盡くしの朝食を濟ませると、早ュに彼らは宿を出た。簡單だが弁 > 當まで持たせてもらって、更に次に目指す町への道を詳しく聞いた。 >  まだ陽は昇り切っていず、青紫の空が廣がっていた。東の方が、僅 > かに赤く染まっている。 >  虎王が小さな欠伸を嚙み殺した。こんなふうに吞氣なのは、まだ誰 > も魔界の氣配を感じていないからだ。海火子はどうしても焦りを押さ > えられない。つい、步くのも早足になる。 > 「慌てないで、海火子」 >  後ろからワタルに背を叩かれて、困ったように笑う。解ってはいる > のだが、これも性格だろう。 > 「おい、あそこに家があるぞ」 >  虎王が立ち止まって言った。 > 「何處?」 >  虎王の指差すほうを、ワタルと海火子は額に手を當てて見た。距離 > は然程ないが、木立ちに隱れていて、虎王でなければ見落としていた > だろう。 > 「ほんとだ」 >  ワタルは空を見上げた。だいぶ陽は高くなっている。人が住んでい > れば、もう起き出しているだろう。 > 「僕、ちょっと話を聞いてくるよ。ここで待ってて」 > 「ワタル、オレ樣が行こうか?」 > 「ううん、僕一人でいいよ。何かあったら、來てくれれば」 >  言うなり、ワタルは驅け出した。確かに、高飛車な虎王と無愛想な > 海火子では、話を聞くのには向かない。 >  後ろ姿を見送って、虎王はつまらなさそうに舌打ちをした。それか > ら海火子のほうを向く。 > 「…どうかしたのか?」 >  じっと見られて、海火子は戶惑った。初めて海火子を見ている、と > でもいう顏で、虎王は腕組みした右手を顎に當てて、何やら考えてい > るようだ。 > 「海火子、昨夜おまえ起きてたろ」 >  出し拔けに虎王がいった言葉に、海火子は思わず息を吞んだ。 > 「やっぱり。…どうだ、興奮したか?」 >  齒を剝いて笑いながら、海火子に近寄る。その表情には、後ろめた > いところなど欠片も無く、むしろ海火子の答えを樂しんでいる節すら > あった。 > 「な、何言って…」 > 「何って、昨夜オレ樣とワタルがしてるの、見たんだろう?それでど > んなふうに感じたか、と聞いてるんだよ」 >  海火子が慌てているのが樂しいのか、虎王は機嫌よく笑っている。 > 「ワタルも氣が付いてたぞ。…いつもより、激しかったもんな」 >  そこまで言って、何かに氣が付いたように、右手を口許にもってい > く。 > 「…あんなふうになるんなら、見られててもいいな」 >  無邪氣に言うには、昨夜の姿はあまりに淫靡だったが、虎王にとっ > てはそれが本音なのだから仕方無い。 >  橫で聞いていた海火子のほうが、動搖して顏を赤くした。 > 「…どうしてあんなことを?」 >  視線を外したままで、海火子は聞いた。虎王は何を問われたのか解 > らない、とでもいうようにきょとんとした顏をしている。 > 「だ、だってそうだろう。お前もワタルも、お、男だし…それに、他 > 人が見てるって解ってるのに…」 > 「つまらない事を聞くなあ。氣持ち好いからに決まってんだろ」 >  虎王の返事は、單純明快で、事も無げだった。 > 「オレ樣はワタルが好きだし。好きな奴とするのって、凄く氣持ち好 > いんだぜ。   知らないのか?」 >  虎王に蛢きまれて、海火子は慌てて一步下がった。耳の後ろまで > 赤くして、何度も首を振る。 > 「なんだ、したことないのか」 >  虎王は、海火子の兩腕をキんで、その身体を引き寄せた。海火子も > おとなしくそれに從った譯ではなかったが、腕力では虎王にかなわな > い。 >  虎王は息がかかるくらい、顏を近づけた。そうされると、ワタルに > 抱き竦められた時のことが思い出されて、身体が動かなくなってしま > った。 > 「お前のことも嫌いじゃないし、…教えてやろうか」 >  唇を寄せられ、必死に顏をそむける。虎王の言ったこと、ワタルの > したこと、それから昨夜のこと。それらが一緒になって、頭のなかで > 渦卷いている。 > 「あれ?」 >  訝しげな聲をあげて、虎王は海火子の襟をキんで押し開いた。海火 > 子が抵抗する暇もない。あっと言う間に、胸元が陽に曝される。 鎖 > 骨に殘る紅い痣は、褐色の肌にも鮮やかだった。一夜經っても、その > 色は變わっていない。 > 「これ、…ワタルか?」 >  虎王の指がそこを押さえた。ぞくりとした感覺が背筋を突き拔け、 > 海火子は夢中で頷いた。熱かったワタルの唇が、そのままそこに甦っ > て、何も考えられなくしてしまう。 > 「…じゃあ、ワタルに教えてもらえばいい。お前だって、ワタルのこ > とが好きだろう?」 >  息が、喉にかかった。鈍い痛みと、くすぐったい感觸が、痕跡の上 > から加えられる。 > 「…っ!」 >  そこに立てられた虎王の齒が、皮膚を破ったとき、海火子は確か > に、痛み以外のものを感じた。 >  虎王は、ゆっくりと、溢れる血を舐め取った。その舌の動きが、そ > れをより強く感じさせる。 >  膝から、力が拔けていく。 >  今、虎王に抱きかかえられていると氣付いていたが、どうしようも > ない。悔しさに唇を嚙み締めて、その腕にキまった。 > 「お前、面白いな」 > 「なんだと!」 > 「馬鹿にしてるんじゃないぞ。誤解するなよ」 >  にんまりと   その顏は、あの時のワタルの笑顏ととても良く似 > ていたが   笑って、虎王は手を放した。海火子は慌てて虎王から > 離れ、はだけられた胸元を搔き合わせる。 > 「ワタルだ」 >  まだ上氣した頰も戾らないうちに、虎王が言った。振り向くと、小 > 走りにワタルが驅け戾ってくるところだった。 > 「どうだった、ワタル」 > 「うん、やっぱりこっちで良かったみたいだ。昨日、晝過ぎに黑い影 > が飛んで行くのを見たって」 >  虎王の質問に答えてから、ワタルは小さく息を吸って呼吸を整え > た。 > 「それから、町まで、もう少しだと言ってたよ。その影は、隨分ふら > ふら飛んでいたそうだから、もしかしたら次の町で、降りているかも > 知れないね」 >  確實に、彼らは追っているものに近づいている。ワタルの言葉の持 > つ意味を、虎王も海火子も、充分理解していた。 >  それが何をするつもりで、此處まで來たのかは分からないが、それ > を捉えたとき待っているのは、如何なる形にしろ、戰いのはずだっ > た。創界山でワタル達が見たのは、ドワルダーのように、實体のない > 影だった。それが今はどうなっているだろう。 > 「何だってこんな所に來たんだろう」 >  海火子の きを、虎王が聞き咎めた。 > 「どういう意味だ?」 > 「親父も言っていたけど、ただ力を蓄えるだけなら、アソウカ神殿の > 近くが一番いいんだ。それをわざわざ離れていってる。…他に何か目 > 的があるんじゃないか」 >  ワタルと虎王は顏を見合わせた。 > 「そんな場所が在るんじゃないのか?オレ樣達が知らないだけで」 >  虎王は吞氣に構えている。いつでも、惡いほうに考えを向けないの > も、あるいは彼の長所かもしれない。 > 「…その目的って、もしかしたら」 >  視線を空に投げて、何か考えていたらしいワタルが、ぽつりと言っ > た。ワタル自身も考えるより先に行動するタイプだが、虎王や海火子 > よりは、思考に向いているだろう。 > 「なんだよ」 >  虎王が先を促す。ワタルは、まだ上を向いたまま、右手を胸の邊り > に置いて、無造作に言った。 > 「救世主の魂」 > 「なっ…!」 > 「ワタル、それは…!」 >  ワタルの言葉に、海火子は聲を無くし、虎王は怒ったように聲を荒 > げた。 >  救世主の魂とは、取りも直さず、ワタルの命を指す。魔界の者がそ > れを手にすると、絕大な力が得られるという。その為に、ドアクダー > は色ュな手段を講じたのだ。今回、彼らが追っている奴も、それを求 > めていたとしてもおかしくない。 > 「でも、それなら說明がつくだろう?」 >  言っていることがまるで解っていないかのように、ワタルは涼しい > 顏をしている。 >  だが、確かにワタルの言う通りだった。救世主の魂を手に入れるに > は、ただその命を奪うだけでは馱目なのだ。ある場所で、もしくはあ > る物によって、定められた手段で魔界に捧げねばならない。 >  そういったものが、創界山には存在しないのだ。 > 「海火子、こっちの方にそんな場所があるのか?」 >  虎王の口調は激しい。ワタル本人より、虎王のほうが真劍だ。 > 「さ、さあ…オレもそんなことまでは…」 >  虎王に勢いに壓倒されて、海火子はしどろもどろだ。そんな樣子 > が、虎王には勘に觸る。ワタルが危險な目に遭うかもしれないのに、 > 知らないでは濟ませられない。 > 「ふざけるな!お前、それでも星界山の皇子か!」 >  襟をキんで、虎王は海火子に詰め寄った。そう言う虎王が、創界山 > のことに詳しいかと言えば、決してそんなことはないのだが、そんな > 理屈は通じない。虎王にとって、ワタルは一等大事なのだ。 > 「虎王、虎王!」 >  二人の間に、ワタルが割りんだ。 > 「もしかしたら、って話なんだから…!そんなふうに喧嘩しないで > よ」 >  しぶしぶ虎王は手を放した。それでも不滿氣にワタルを睨む。 > 「もし、それが當たってたとしても、僕は何も心配してないよ」 > 「なんでだよ」 > 「だって、虎王がいるじゃない。海火子も一緒だしさ、そんなことに > なる譯ないじゃないか」 >  そして、ワタルはにっこりと笑った。自分の笑顏の效用を、誰より > も承知している、そんなタイミングだった。 >  虎王と海火子は、顏を見合わせて、どちらともなく赤面した。虎王 > は言うに及ばず、海火子もワタルが『好き』なのだ。その相手からこ > んな信賴を寄せられて、嬉しくないはずがない。 >  虎王はとっくに機嫌を直しているし、海火子にしても、守らなくて > は、という決心をより強くした。 > 「じゃ、行こうか。とにかく追いつかなくちゃね」 >  驅けるように步きだしたワタルに促され、二人も足を踏みだした。 > 乾いた砂が、土煙を立てた。 >  砂漠ほどではないにしても、この邊りは背の短い藪が生えているだ > けで、影を落とすような木ュは少ない。 >  いくらかまとまった立ち木の側には、先程のように家が建ってい > る。迷ったり、飲み水の心配をしたり、そんなことはなさそうだが、 > これから陽が高くなると、結構きついかも知れない。 >  それから辿り著いた町では、たいした情報は聞けなかった。どうや > ら、そいつは此處へ來るまでに身を隱したらしく、怪しい影を見たと > いう人はいなかった。 > 「あそこから此處までで、それらしい場所なんて無かったよね」 >  町外れの木陰で、 い晝食を取りながら、ワタル達はこれからどう > 行動するかを話し合っていた。といっても、いると思われる範圍はは > っきりしたし、見つけてからどうするかも決まっている。後は、如何 > に早くそいつを見つけ出すか、だけだ。 > 「もしかしたら、姿を變えて、この町に入りんでいるかも知れない > ぜ」 >  污れた指を舐めながら、虎王が言った。皇子がするには行儀の惡い > 仕種だったが、それを咎める人もいない。 > 「そうなら厄介だな。どんな姿をしているか解んないんだからな」 > 「うーん…」 >  海火子の言葉にワタルは腕組みして唸った。戾って搜すか、それと > も此處で、それらしき者がいないか、更に搜すか。 > 「どうする?」 >  虎王がワタルに問いかけた。最後に決斷を下すのは、ワタルの役目 > だった。虎王や海火子が、判斷できない譯ではない。それに誤りがあ > れば、修正するのが彼らの役目なのだ。 >  ワタルは空を見た。まだ太陽は傾いていない。暗くなるまで、もう > 三、四時間ありそうだ。 > 「まず、さっきの所を手分けして搜してみよう。時間は、陽が落ちる > まで。暗くなったら、あそこの大木の下で集まって、この町に戾ろ > う。外は暮れちゃうと馱目だけど、町の中ならそれからでも何とかな > るし」 > 「それしかないか。…でも、ばらばらになって大丈夫か?」 >  虎王は心配そうにワタルを見た。 > 「大丈夫。自分の面倒すら見られない奴はいないよ。さあ、行こう」 >  立ち上がって、彼らは三方に別れた。やるべきことが決まったの > だ。もう誰も、ためらわなかった。 >  海火子が決められた場所に戾ってくると、まだ誰もいなかった。溜 > 息をついて、樹の根元に座りむ。 >  あちこち步き回り、數軒の家を尋ねもしたが、結局何の手掛かりも > 得られなかった。どうやら虎王の云った通り、姿を變えている可能性 > が高く思われる。 > 「海火子!」 >  ワタルが手を振りながら、走って戾ってきた。海火子の前で立ち止 > まると、大きく息をつく。 > 「早かったね。…で、どうだった?」 >  ワタルの質問に、海火子は首を振ることで答えた。 > 「そうか…僕のほうも、馱目だったよ」 >  海火子の鄰に、同じように腰を降ろし、ワタルは笑った。見つから > なかったことには、あまり落膽していないようだ。 > 「お前な、何だってそんなに無防備に來るんだよ。オレがその魔物だ > ったら、どうすんだ」 >  怒ったような口ぶりだが、海火子が本氣で心配しているのは、ワタ > ルにも良くわかる。自然と、口許がゆるむ。 > 「わかるよ、それくらい。どんなに上手に化けてたって、絕對わか > る。虎王と、海火子と   あと、クラマや先生、ヒミコはね」 >  膝を抱えて、ワタルは得意氣な顏で目を閉じた。その意味するとこ > ろを察して、海火子は僅かに頰を紅潮させた。 >  どうしてこう、ワタルは人を好い氣分にさせるのが上手いのだろ > う、そう思う。以前、星界山で一緒だったときもそうだった。一番欲 > しいものを、一番欲しかった言葉や態度で容易く示す。それも、押し > 付けがましい偽善ではなく、正直な本心で。 > 「そんなこと云ったら、僕がそうだったかも知れないんだよ。もしそ > うなら、どうする?」 >  ワタルは、肩が觸れるくらい、側へにじり寄った。 >  心臟が跳ねるのを、海火子は感じた。ワタルの表情に、見覺えがあ > る。昨夜、明りの無い部屋で。昨日、宮殿の廊下で。 > 「ど、どうもしないさ。違うんだからな」 >  慌てて視線を逸らし、ぶっきらぼうに言う。 > 「そう」 >  氣を惡くするでもなく、ワタルは、海火子の腕をとった。その瞬 > 間、はっきりと身体が震えたのをお互いに知っている。 > 「海火子」 >  呼ばれて、海火子は振り向いた。ワタルの顏は、予想していたよ > り、ずっと優しかった。何も彼も、許してしまいそうになる程。 > 「…ワタル」 >  何を言おうとしていたのか、自分でも分からなかった。ただ、この > まま默っているのが苦痛だったのだ。 >  その唇に、ワタルの指が押し當てられた。 > 「…默って」 >  海火子は息を吞んだ。逆らえない。これから、何をされるのか分か > っているのに   頭よりも、身体で   抵抗できない。いや、も > しかしたら分かっているから、抗えないのか。 >  ワタルの指は、海火子の頰を辿っていた。ゆっくり、ワタルの顏が > 近づいてくるのを、海火子は茫然と見ていた。 唇が觸れた。思いが > けないくらい柔らかく觸れられて、海火子は反射的に目を閉じた。 >  觸れて、離れ、そして少しずつ深い口付けになっていく。 >  それは、氣持ち好かった。ワタルの舌が齒を割っても、今度は驚か > ずに受け入れられた。ワタルが髮を撫でているのも、惡くなかった。 > その腕に抱き寄せられても、海火子は目を閉じたままでいた。 > 「待ってた?」 >  耳の、ほんの側でワタルは囁く。息が耳朵をくすぐり、ぞくりとし > た感覺が掠めていく。 >  ワタルの手が、上衣の袷から忍びんできて、初めて海火子は拒否 > の言葉を口にした。 > 「だ、馱目だ。止せ、ワタル…!」 >  木の幹に背が押し付けられていて、思うように動けない。兩手でワ > タルを押し返そうとするが、ワタルは一向に動じない。 > 「噓ついちゃ馱目だよ、海火子。見てるより、したほうがずっと氣持 > ち好いんだから」 >  やっぱり、ワタルも氣付いていたのだ。昨夜、海火子が見ていたこ > とに。そして、自分も欲しい、と思ったことに。 > 「やめ…」 >  制止の台詞は、キスに消えた。肩に、胸に、外氣が觸れる。晝の熱 > 氣に、夜の冷たさが微かに混じりんでいる。 >  神龍劍が、音をたてて地面に落ちた。鞘が著いたベルトが外された > のだ。その音に、我に返って海火子は抵抗したが、ワタルの力は緩ま > なかった。 > 「ワタル、こんな事…っ」 >  いつか、上著は剝ぎ取られていた。ワタルの手が、我が物顏であち > こち這い迴っている。押さえられず、身体を震わせる度、その場所を > 刻みむように、キスが加えられる。 > 「止めろ、っ!」 >  その手が股間に觸れたとき、海火子は叫んだ。 > 「止めていいの?こんなになっているのに」 >  ワタルはゆっくり、その形をなぞった。その動きに、ますます身体 > が熱くなる。よけいに堅くなっていくのを、止められない。 > 「欲しいんでしょ、海火子」 >  唇を嚙み締めて、海火子は橫を向いた。ワタルの含んだ笑い聲が、 > 耳許でした。 > 「僕は、虎王みたいに優しくないよ」 >  傷つけられた後を、ワタルの舌が舐めた。それから、胸の突起に觸 > れる。そのどれもが、否定できない快感を伴って、海火子を熱くして > いく。 >  まだ陽は落ち切っていない。こんな所で、こんなふうに服を剝がさ > れ、愛撫を受けるなんて。そう思うと、情けないような、許し難い冒 > 瀆を受けているような氣がする。 >  しかも、それを、半ば自分から求めているのだ。 > 「い、厭だ…」 >  聲に淚が混じっている。それが腹立たしい。既に、海火子は全裸に > なっていた。ワタルの動きに合わせるように、腳を開く。抵抗してい > るはずなのに、受け入れる行動をとってしまう。 >  ワタルは海火子の感じやすいところを辿って、降りていく。そのく > せ、海火子自身には觸れようともしない。 > 「あ、…あ」 >  掠れた聲が押し出される。元ュハスキーな聲が、不思議に濕った艷 > をもって、甘く響いた。 > 「海火子」 >  ワタルは身体を重ねながら呼んだ。前髮を梳かれて、海火子はうっ > すら眼を開く。ワタルは光龍劍こそ降ろしているが、服裝は亂れてい > ない。劍にしても、何かあったときにはすぐ手が屆くよう、側に置か > れている。そんな余裕が海火子には堪らない。 > 「可愛いよ」 >  觸れるか觸れないか、ぎりぎりのところまで唇を近づけて、吐息で > 口付けするように、ワタルは囁く。はっきりした真っ直ぐの眉と、目 > 尻が上がった切れ長の眼を持つ海火子より、ワタルのほうが、ずっと > 可愛いという形容は似合うはずだった。それをワタルが口にしても、 > 何の違和感もない。 > 「…これ、…解る?」 >  太股に押し付けられた物がなにか、理解して海火子はまた視線を逸 > らせた。 >  布越しなのに、その硬さも熱さも、そのまま傳わってくる。腳を絡 > めてゆっくり動かされると、行き過ぎる刺激を追って、身体が動いて > しまう。 > 「もっと、欲しい?」 >  尖った顎を嚙んで、喉を舐め降ろす。どの愛撫も、たまらなく優し > い。決して海火子を傷つけたりはしなかったが、本當に『優しい』譯 > ではない。焦らして、その反應を樂しんでいる。 > 「…は…」 >  熱い息が漏れるのを、ワタルは聞いた。身を捩るのが、逃げるため > なのか、求めるためなのか、海火子にもわからない。 > 「あ、…ああ、…」 >  海火子は兩手を頭の上で組んだ。こうしていないと、もう我慢でき > ない。ワタルが欲しくて、その背にしがみつこうとするのだ。 > 「く…、ふ…っ」 >  首を振り、ワタルの愛撫から逃れようと這い上がる。荒い息遣いに > は、隱しようもない悅びが滲んでいた。 >  このままだと、氣が狂ってしまいそうだ。何處を觸れられても感じ > てしまうのに、どうしても達することができない。ワタルにしてもそ > れは解っているだろうに、海火子が一番欲しい物は決して与えようと > しなかった。 > 「どうしたの。…どうして欲しいのか、言ってごらん」 >  顎を捕らえ、自分のほうに向けながらワタルは言った。 >  そんなことは聞かなくても解っているが、その口で、自分から求め > させたかった。 >  海火子は唇を嚙んだまま、ワタルを睨付けた。しかしその眼も、い > つものようなきつい光はなく、欲望の霞がかかっている。 > 「…言わないと、あげられないよ」 >  ワタルの唇が、頰に、顎に、眉に觸れる。指は膝をくすぐり、腳を > 外へ廣げるようにしながら、這い降りてくる。 >  海火子は、人差し指をきつく嚙んだ。震える唇が、微かに開かれた > とき。 >  すい、とワタルが身体を離した。 >  不思議に思って、海火子は上半身を起こした。そこに立つ人影を見 > て、ぎょっとする。 > 「何やってるんだ」 >  二人を見下ろしたまま、怒った樣子もなく、虎王は言った。幹に片 > 手をついて、蛢きむ。 > 「海火子、強情なんだ」 >  髮を搔きあげ、ワタルは片膝を立てた。誘う視線を、虎王に投げ > る。それを海火子は、荒い息のまま茫然と見ていた。 >  ワタルにとって、自分との行為は、浮氣以外の何物でもないだろ > う。虎王より自分が大切に思われているとは考えられない。ワタルが > どれほど虎王を思い、虎王がどれほどワタルを思っているか、それは > 羨ましいくらいなのだ。 >  それなのに、ワタルは少しも慌てないし、虎王も怒鳴らない。虎王 > の性格からして、腹を立てないはずはないのに。 >  海火子をちらりと見遣って、虎王は笑みを唇の端に浮かべた。 > 「じゃあ、そんな奴放っといて、オレ樣とやろうぜ」 >  兩手を上げると、虎王は髮を結わえる紐を解いた。跳ね上げられる > 紐に金糸が曳かれ、夕陽を跳ね返して廣がった。ただ一度、首を振る > と、見事なほど表情を變えて、ワタルに微笑みかける。 >  負けん氣の強そうな、子供じみた顏は鳴りを潛め、妖しく綺麗な顏 > がそれにとってかわった。 >  ワタルは、やっぱり優しそうな笑顏を浮かべたまま、虎王に向かっ > て腕を差し伸べた。 >  虎王が近付きながら、首のマフラーをほどいた。その音は、海火子 > の凍りついた身体を解きはなった。 >  力の入らない身体を後ろの大木に預け、しどけなく開いていた腳を > 閉じ合わせる。 >  ワタルの前に膝を付き、虎王は口付けを求めた。上衣は自ら脫ぎ捨 > てられ、外された雷龍劍の上に落ちている。 > 「…ん」 >  舌の絡み合う音がする。虎王はワタルの髮をまさぐっている。明ら > かに海火子を意識した動きで、ワタルは虎王の背に爪をたて、撫で降 > ろした。 > 「ワタル、もういいから…」 >  その手をキみ、虎王は下腹に導いた。 > 「すぐ、欲しい」 >  挑發的な光が、深い湖の色をした瞳に宿る。ケからワタルを抱き締 > め、上著の裾を引っ張り出す。 > 「…せっかちだな」 >  口ではそう言いながら、ワタルは指を動かし始めた。要求通り、前 > 置き無しのきつい愛撫だ。 >  虎王は背を反らせ、溜め息をついた。倒れかかるのにまかせ、橫た > わった虎王にワタルは身体を重ねた。今はワタルも身に付けていたも > のを脫ぎ去っている。 > 「…は…」 >  白い虎王の肌が、鮮やかに紅く染まっていく。 >  昨夜、闇のなかで見たときには解らなかった事が、また海火子を昂 > らせていく。ワタルが離れたといっても、熱くなった身体はまだ冷め > てはいないのだ。 > 「あ、あ…っ」 >  虎王の聲に、海火子は身動ぎした。ワタルの髮を兩手でキんで、虎 > 王はより強い刺激を求めている。 > 「どう…氣持ち好い?虎王」 >  僅かにくぐもったワタルの聲。その質問に、虎王は首を振った。否 > 定ではなく、耐え切れない快感の肯定だった。 > 「…!」 >  虎王は息を吞み、のけ反った。ワタルの舌が、ゆっくりと、硬くな > ったそれを舐め上げる。海火子にもその樣子は良く見えた。いや、ワ > タルが見えるようにしているのだ。 >  虎王と同じように、自分も追い上げられていく。左腕を握った右手 > に力を入れても、震えは止まらない。それどころか、ますます感じ易 > くなってしまう。 > 「あ…ッ!」 >  虎王の全身が強張ったかと思うと、長い溜息が漏れ、それから馳緩 > した。呼吸は荒く、閉じられた睫は濡れている。 >  ワタルは身体を起こすと、口許を拭った。海火子を見遣りながら、 > 下唇を、舌で濕す。 > 「…あ」 >  海火子は首を振った。今、ワタルに觸れられたら、きっと何も考え > られなくなるだろう。それが解っているから、拒否するつもりだっ > た。 > 「海火子」 >  ワタルに呼ばれて、身体が固くなる。 > 「どうする?自分でする?」 >  ワタルの言っていることは、容易く理解できた。 > 「それとも、して欲しい?」 >  言いながら、ワタルは右手を舐めた。それは、まだ濡れている。虎 > 王の息遣いが聞こえる。しかしそれは何處か遠くから聞こえてくるよ > うだ。 > 「お、オレ…」 >  聲が掠れた。思っていることと、違うことを言ってしまいそうだ。 > 唇を嚙んで、耐えようとしたが、もう かった。 > 「…ワタルに、…」 > 「僕に?」 >  いつの間にか、ワタルはすぐ側にいた。いつも、戶惑いを誘った黑 > い瞳が、じっと海火子を見ている。こんな時でも優しくて、噓をつか > せない。 > 「…て、欲しい…」 >  言ってしまうと、慌てて橫を向く。その頰に、ワタルは唇を押し當 > てた。つ、と動く舌に身体が震える。指がケ腹をくすぐって、それか > らそっと包みむ。 >  力が拔けていく。唇から吐息が漏れる。 >  これが、待ち焦がれていたものなのだ。ゆっくりと、快感を汲み出 > していくもの。 >  自ら觸れるのとは、ずいぶん違う。自分以上に、感じやすいところ > を、それは知っていた。撫であげ、輕く爪をたて、そして先端を擦 > る。その度、それが脈打つのを感じる。 >  腳を押し廣げると、ワタルはそこに顏を埋めた。 > 「ッ…!」 >  羞恥心と、綯い交ぜになった淫猥な感情。もっと、ワタルが『欲し > い』と思った。もっと強く、もっと奧まで。 > 「海火子」 >  耳元で、虎王の聲がして、海火子は眼を開いた。目の前に虎王の顏 > があった。深い蒼色の瞳が、微かな笑みを含んで見つめている。虎王 > の長い爪が、顎の線を辿り、自分のほうを向ける。 > 「ん…」 >  ワタルの愛撫に溢れた吐息を、虎王の唇が吸い取った。 >  ワタルのキスとは、また違う。ワタルほど優しくは觸れないが、そ > の分、焦らしたりしない。片方だけの牙が、絡められた舌を刺激す > る。 >  虎王の腕にキまって、海火子は喘いだ。さっきから、もう達しそう > になっているのだ。それを更に燃え上がらせようと、虎王は海火子の > 耳朵を咬む。 > 「あ、…く…ッ」 > 「いいよ。…海火子。イっちゃえ」 >  ワタルが囁いた。輕く齒をたてられ、吸い上げられる。 > 「さあ…」 >  海火子は身体を震わせた。いつか、虎王にしがみついている。背に > 回した手が、爪を立てる。 > 「…!」 >  これまで、感じたこともない絕頂感。言葉もなく海火子は息を吞ん > で、それに身を任せた。 >  荒い呼吸を繰り返す海火子の唇に、ワタルの唇が重ねられた。微か > に苦い。それに、海火子は自分から舌を絡めた。 > 「まだだよ。もっと、好くしてあげる」 >  言うと、ワタルは海火子の身体を俯せにした。腰を浮かせ、そっと > 指を侵入させる。 >  今まで何も入りんだこともないそこは、最初抵抗を示したもの > の、しばらくすると、海火子にまた違う感覺を目覺めさせた。 > 「ワタル、こんな…」 >  異議を唱える海火子の前髮をキみ、虎王は意地惡く笑った。 > 「何も考えられなくしてやるよ。ワタルと、   オレ樣でな」 >  虎王の口付けに氣を取られている間に、異物感が增していた。ゆっ > くりとそれは身体の中に入りんでくる。じわりと痛みが廣がる。悲 > 鳴をあげるほどではなかったが、それは內壁を擦り、呻き聲を誘っ > た。 >  ワタルの腕は海火子を抱き、這っていた上半身をかかえ上げた。 > 「あっ…く!」 >  思わず海火子は悲鳴を上げた。奧まで貫かれ、身体が軋む。喉のす > ぐそこまで、熱いもので埋まっているようだ。身体は苦痛に疼いてい > るが、それより強い感覺があった。 >  胸に、虎王の唇が觸れた。再び欲望を汲み出そうと絡み付くのは、 > 虎王の指だろうか、それともワタルの指だろうか。 >  きつく目を閉じたまま、海火子は彼らの動きに身を任せた。身体の > 奧に感じる壓迫感は、いつか痺れるような疼きに變わっていく。溜息 > と嬌聲を交互に漏らしながら、徐ュに昂っていく。 >  ワタルの指が、口腔に忍びむ。舐めて、と耳許で囁かれた甘い命 > 令に、何も考えずに從う。そこがそんなに感じ易いとは、思ってもみ > なかったほど、それは海火子を狂わせた。 > 「は…」 >  虎王が聲を漏らした。今まで海火子に銜えられていた指が、虎王に > 侵入したのだ。 >  そんなことを、海火子は知らない。前と後ろで、別ュに加えられる > 愛撫に我を忘れている。自分が何をされているか、認識できない。そ > のくせ、耳朵にかかるワタルの呼吸が次第に速くなっていくことや、 > 虎王の舌が何をしているかは、見るよりもよく解る。 >  虎王が海火子を這わせた。髮をキんだ彼が、何を要求しているか、 > 言われる前に理解できた。 >  海火子はためらわなかった。そんな余裕はなかった。少しでも感じ > ることなら、何でもできる。今の海火子は、そんな狀態だった。 唇 > を開き、虎王を受け入れた。それはひどく熱かった。 >  ワタルが動いている。身体が突き上げられる。その度、上体が搖 > れ、海火子のみならず虎王も呻いた。 >  最初に、長い吐息をついたのは、誰だったろう。ようやっと解放さ > れ、海火子は地面に身体を投げ出して喘いだ。 > 「…大丈夫か?」 >  そう聞く虎王の息も彈んでいる。その言葉の意味を理解するのに、 > 隨分時間がかかる。 >  海火子は弱ュしく首を振った。これが精一杯だ。痛みはそれほどで > もなかったが、なにしろ力が入らない。全身が馳緩して、痺れたよう > になっている。 > 「しばらく動かないほうが良いよ。…落ち著いてから、ゆっくり身体 > を起こして」 >  そう言いながら、ワタルは海火子に上著を掛けた。陽は地平に沈 > み、最後の光を世界に投げかけている。 > 「…こんな…」 >  海火子は いた。腕をあげ、顏を覆う。淚が溢れているが、止めら > れない。 >  自分が信じられなかった。あんなに亂れるなんて。   それも、 > 虎王とワタルを相手に。 > 「ホントに好きな奴とすると、もっと氣持ち好い。…身体も、心も。 > そして、もっと好きになるんだ」 >  虎王が、海火子の赤い髮を搔き回しながら言った。とても、優しい > 聲で。 >  夜は町を包んでいた。人通りは少なくなり、家ュの窗から漏れる明 > りだけが足下を照らしている。 >  晝間にも話を聞いた宿屋で、食事を取りながらワタル達はまた宿の > 主人に質問をしていた。今度は黑い影の話ではなく、變わったことが > なかったか、あるいは魔界に關する言い傳えがこの邊りにないか、そ > んなことが中心になった。 > 「變わったことは…別にないねえ」 >  恰幅のいいその男は、人のよさそうな赤ら顏の、二重になった顎を > 撫でながら考える。 >  こんな小さな安宿に、救世主や皇子が泊まるとあって、妙に緊張し > ながらも、役立とうと一生懸命だ。 > 「魔界かどうかはわからないけど、この邊にそんなような劍があった > って話は聞いたことがあるよ。隨分古い話だから、誰も詳しいことは > 知らないけど、この町の外れにある石碑の下に埋められているっ > て聞いたなあ」 >  そう言ったのは、集まっていた人ュの一人だった。ほかにも幾人 > か、同じような話を知っていると言った。少しずつ違ってはいたけれ > ど、何かが   それは劍であったり、あるいは死体であったりした > が   町外れで苔むしている岩の下にある、ということでは一致し > ている。 > 「仕方ない、朝を待ってそれを見に行こう」 >  ワタルの言葉に海火子はーュ頷いた。氣持ちは焦っているが、確か > にこんな夜分に調べに行っても無馱だろう。 >  本當にいいのか、と尋ねる主人を說き伏せて、ワタル達は一緒の大 > 部屋に宿をとった。 > 「今夜は何もしないでくれよ」 >  劍を壁に立て掛け、ベッドに腰を下ろして海火子は言った。口調は > ふざけているが、全身は警戒心で緊張している。 > 「わかんねえなあ、そんなこと」 >  虎王はいつもより少し意地惡そうに、笑った。齒を見せて、兩端を > 上げて笑うその表情は、負けん氣が強い虎王によく似合っていた。 >  ワタルは、といえば笑って二人の會話を聞いているだけだ。光龍劍 > をおろすどころか、靴まで脫いで、ベッドで兩足を伸ばしている。 > 「ワタルと逢っていられるのは短いんだ。だからオレ樣は絕對、した > いようにするって決めてる。そんな約束はできないね」 >  ワタルの側まで行くと、虎王は俯いてワタルの首に腕を回した。困 > ったような、呆れたような顏をして、ワタルは海火子に片目を瞑って > 見せた。 >  そんな仕種をしながらも、虎王を輕く抱き寄せたその顏は、今まで > 海火子が見た中で一番優しい。 >  虎王も、普段の生意氣な樣子は鳴りをひそめている。安心しきっ > た、甘えたその姿は、ワタルに對してだけ見せるのだろう。 >  それだけ、お互いに好きなのだ。虎王が魔界の者でも、ワタルがこ > の世界の者でなくても、   次に逢える保証がなくても。 >  あまりに二人が明るくて氣が付かなかったが、彼らは必ず別れなく > てはならないのだ。ワタルが救世主で、虎王が翔龍子の變えられた姿 > であるかぎり。 > 「強いよな、お前たち」 >  海火子の言葉がよく解らない、といったふうに虎王は首を傾げた。 > 「…どうしてだ?」 > 「どうしてって…」 >  ワタルが虎王の髮を、そっと撫でた。その動きに、虎王が擦り寄 > る。まるで貓が甘えているようだ、と海火子は思った。 > 「難しいことじゃないよ」 >  掠めるほどのキスを額に贈りながら、ワタルは言った。 > 「ただ、好きなだけなんだ。どんなことがあっても好きにならずにい > られないほど、本當に好きなら、逢うためのどんな辛いことだって平 > 氣になるよ」 >  何氣ない、優しい喋り方。そんな科白を、こんなふうに言えるよう > になるまで、どれだけの時間と努力が必要だったのだろう。何にも搖 > るがない、その心をどうすれば手に入れられるのだろう。 >  自分はどうなのだろう。そんなに好きな誰かがいるだろうか。今は > いなくても、何時かはそれほど誰かを好きになれるだろうか。 >  海火子は膝を抱えて視線を落とした。一番好きな人は、誰なのだろ > う。戀人である必要はない。兩親だろうか、それとも綠の眼をした兄 > 貴ぶる奴だろうか。 > 「ワタル!」 >  不意に身体を起こして、虎王が低く言った。うってかわった緊張し > た聲に、ワタルも海火子もさっと氣を引き締める。 > 「どうしたの、虎王」 >  ワタルが囁くように聞く。すでに右手には光龍劍を握っていた。海 > 火子もベッドから降り、神龍劍を手にしている。 > 「魔界の感じがする。…近づいて來てる」 >  ドアが叩かれた。控え目なノックは、夜 いということを考慮して > か、それとも救世主や皇子を訪ねるためか。 > 「…こいつか?」 >  海火子がノブに手をかけて聞いた。壁を背に、いつでも飛び掛かれ > るように、膝を曲げている。 > 「解らない…氣を付けろよ」 >  頷き、海火子はゆっくりドアを開いた。薄暗い廊下に立っていたの > は、わだかまる闇でもなく、血走った眼をした男でもなかった。ワタ > ル達とさほど歲の變わらない少女だった。 >  やや年下だろうか、この邊りに住んでいる人らしく、陽に燒けた肌 > と、鳶色の大きな眼をしている。 > 「君は?」 >  それでも警戒を解かないで、海火子は訊いた。女の子に、魔物が化 > けていないとも限らないのだ。 > 「あ、あの…町外れの岩の話を知りたがってるって聞いて…」 >  海火子は振り返ってワタル達を見た。虎王はまだ威嚇するように眉 > を寄せているが、ワタルは少し考えてから頷いた。 > 「解った…入って聞かせてくれ」 >  海火子は一步さがって、少女を招き入れた。 > 「救世主樣は?」 > 「あ、僕です」 >  ワタルが立ち上がって微笑んだ。一見、氣の好い笑顏だが、まだ信 > 用はしていない。その証據に、右手は劍を握ったままだ。 >  少女が近づいてくる。ゆっくりと、ワタルに向かって。 >  その手が服のポケットに入ったのと、雷龍劍が青い光を放ったの > は、同時だった。 > 「ワタルッ!」 >  虎王が叫んだ。振りかざされた手に、黑い短劍が閃くのを、確かに > ワタルは見た。油斷していた譯では決してない。しかし、その動きは > 早かった。刺される、とワタルは一瞬覺悟を決めた。 >  橫に身をかわそうとしたワタルに、虎王が覆い被さった。 >  その腕を、劍が掠めた。虎王の呻き聲を耳にした、と思った途端、 > 床に身体が落ちる。 >  思いがけない邪魔に、舌打ちをし、それはもう一度劍を振るった。 > 「この野郎!」 >  海火子が割って入った。神龍劍と短劍がぶつかり、火花が散った。 > 少女とは思えない力に、身体がよろめく。 > 「氣を付けろ、海火子!その劍は、ただの劍じゃない!かすり傷で > も、命を奪われるぞ!」 >  そう叫ぶ虎王の聲は掠れていた。魔界に屬する虎王に、魔界の力は > 效きにくい。それなのに、全身から力が拔けていく。海火子やワタル > なら、おそらくその瞬間に命はないのではないか。 > 「…くっ!」 >  劍を交えながら、海火子は唸った。この少女を傷つけるわけにはい > かない。そいつに、肉体を作るほどの力はないはずだった。少女は支 > 配されているに過ぎない。 >  しかし、こうして受けているだけでは、いつか追い詰められてしま > うだろう。それまでに、活路を開かねばならない。 >  そいつが、不意に動きを止めた。それが急に部屋に生まれた光の所 > 為だと、振り向いて初めて海火子は理解した。 >  その光はワタルの光龍劍から溢れていた。ワタルはいつか立ち上が > り、柄を握りしめている。 >  ゆっくり、光龍劍が拔かれていく。それに從い、金色の光が部屋を > 滿たしていく。その聖なる光に、少女は悲鳴をあげた。兩手で眼を覆 > い、身を捩る。 > 「海火子、劍だ!」 >  虎王の聲に、考える間もなく身体が反應した。踏みむと、短劍を > 叩き落とす。 >  氣合を洩らしながら、海火子は床に落ちた劍に、神龍劍を突き立て > た。黑い刀身は音をたて、粉ュに碎け散った。 >  少女の身体から、黑い影が立ちのぼった。それが離れると、少女は > 床に崩れ落ちた。 >  虎王が影に突っんだ。雷龍劍が實体とも見えないそいつを貫き、 > 聲にならない悲鳴が響いた。 >  海火子が、神龍劍で切り付けた。斷末魔の聲をあげ、身を捩るそれ > に、ワタルは光龍劍を振り上げた。 >  三本の劍に貫かれ、それは千切れ、色を無くし、そして消えた。  > 茫然とする海火子を現實に引き戾したのは、耐え切れないように倒れ > た虎王と、それを抱きかかえるワタルの聲だった。 > 「虎王!」 > 「…大丈夫だ。少し休めば元に戾るさ」 >  ほっとしたように、ワタルは頷いた。 >  神流劍は星界山の、雷龍劍は創界山の力を象徵している。それに對 > し、光龍劍は力の源を救世主に求める。星界山にも、創界山にも屬さ > ないかわり、それは二つの世界を統べ、さらなる力を生み出すのだ。 >  ただし、それがいかほどの力を生み出すかは、救世主の心次第だ。 > 人ュを救いたいと、どれだけ思うか。 >  今、魔界の者を壓倒したその力は、星界山の為でも、創界山の為で > もなかった。ただ一人の人のために、一つの世界を救うほどの力が發 > 揮されたのだ。 >  海火子は、そっとベッドに座った。使命を果たした高揚感より、も > っと柔らかな感情が滿ちている。 >  それが何なのか、今の海火子にはうまく表現できない。敢えて考え > ようとも思わない。いつか、自然に言葉になる日がくるだろう。その > 時まで、大切にしまっておけばいい。 >  じっとしていられなくなって、海火子は立ち上がった。 > 「オレ、この娘を送ってくる。   先に寑んでてくれ」 > 「…あ、海火子」 >  ワタルの聲にも振り向かず、右手をひらひら振ると、海火子は少女 > を抱き上げ、ドアを開けた。 > 「…氣を遣ったのかな、あいつ」 >  後ろ姿を見送って、虎王は いた。まだ顏色が惡い。ワタルの腕に > 抱かれたまま、答えを求めるようにワタルを見上げる。脂汗に、張り > 付く髮を掬い取りながら、ワタルは、さあ、と首を傾げた。 >  宿の主人を起こして、海火子は少女の介抱を賴んだ。 >  彼は慌てて少女を空いているベッドに寑かせ、妻に世話を任せる > と、少女の兩親を呼びに走った。 >  やがて目を覺ました少女は、昨日、やはりあの岩のところで短劍を > 拾ったと言った。それからのことは何も憶えていなかったが、それは > 海火子も予想していたことだ。 >  この前、星界山がドアクダーに支配されたときも、魔界の者に變え > られていた間のことを、憶えている人はいなかった。それがいいこと > か惡いことか、海火子にはわからない。 >  ワタルがどう思っているか、聞いてみたい氣がする。それでいいと > 言うだろうか。變わらない笑顏に、微かな悲しみを浮かべて。 >  今夜は此處に泊まり、翌朝出發する旨を告げると、海火子は部屋に > 戾った。輕く叩いた二回のノックに、應えたのはワタルの聲だけだっ > た。 > 「あの娘、大丈夫だった?」 >  虎王はすでにベッドに入って、寑息をたてている。その枕許に椅子 > を持ってきて、ワタルが座っていた。 > 「ああ、何ともない。   それより、虎王はどうなんだ?」 > 「ちょっと辛そうだったけど、今夜眠ればもう平氣だと思う」 >  ワタルの鄰まで步いて行くと、海火子は虎王を蛢きんだ。もう、 > 顏色は隨分いい。呼吸が少し苦しそうに、速いだろうか。 > 「う…」 >  虎王が呻いた。ワタルは、そっと汗を拭う。 > 「水を ってこようか?」 > 「あ、うん…そうしてくれると、助かるよ」 >  ワタルは笑顏になったが、やはり何處か心配そうだ。大丈夫、と言 > いながらそれを一番信じたいのはワタルだったろう。 >  結局、虎王が落ち著くまで、ワタルが付いていることになった。寑 > てしまって、と言われ先にベッドには入ったものの、そうそう眠れる > ものではない。斷わればかえってワタルに負擔をかけることが分かっ > ているから、頷いただけなのだ。 > 「ワタル?」 >  虎王の聲がして、思わず海火子は起き上がった。 > 「馱目だよ、虎王。寑てなくちゃ」 >  海火子からはワタルの背しか見えず、虎王の顏も見えない。聲の樣 > 子からすると、虎王の聲にはずいぶん張りがある。ワタルも安心した > のか、その物言いには、本當に優しい響きがあった。 > 「ずっと起きてたのか?」 > 「ううん、ちゃんと休んでるから。それより、虎王、氣分はどう?」 > 「ああ。もう、ずっといい。だから、ワタルももう寑てくれ」 >  ワタルはしばらく默っていたが、ややあって頷いた。 > 「わかった。…おやすみ、虎王」 >  そう言って屈みんだのは、キスをしていたのだろう。さらに二言 > 三言、低く囁いて、ワタルは身体を起こした。 >  再び、虎王が寑息をたて始めるのに、さほど時間はかからなかっ > た。大きな溜め息をついて、ワタルがようやく振り返る。 > 「もう大丈夫そうだな、虎王」 > 「ああ、そうだね」 >  しかし、ワタルの表情は海火子が考えていたのとはまるで違った。 > ほっとした笑顏を予想していたのだが、怒ったような嚴しい顏をして > いた。 > 「ワタル…?」 >  ワタルはベッドに上がりこむと、口もきかないで、兩膝を腕に抱え > んだ。 > 「どうしたんだ、一体」 >  訝しげな海火子に、ワタルは唇の片端だけで皮肉な笑みを浮かべ > た。それも束の間、顏を腕に埋める。 > 「…ごめん。今の僕、どうしようもなく嫌な奴だから…」 >  話掛けるな、ということだろう。それは解ったが、かといって素直 > に從う譯にもいかない。ワタルは落ちんでいる。何が原因かは解り > きっている。虎王のことだろう。 > 「お前の所為じゃないさ」 > 「…解ってる」 > 「じゃあ、そんなふうに辛氣臭いのは止めろよ」 >  海火子の言葉に、少し顏をあげて、ワタルは笑った。今度は、苦笑 > が近かったけれど、本當の笑顏だった。 > 「どうして、虎王はあんなに強いんだろうな」 >  ぽつりと言う。その言い方は愚痴めいていて、海火子は今回の旅で > 初めてワタルの弱音を聞いたような氣がした。 > 「もっと、僕が強くなくちゃ、そう思うんだけど…」 >  それは虎王を傷つけたくない、という當たり前と言えば當たり前の > 感情だった。海火子にしても、自分の好きな人を危險には晒したくな > いし、そんなことがないくらい強くなりたいと思う。 >  相手が自分より弱いとか強いとか、そういう事は關係ない。守りた > いという願いは、好きだという想いと同じものかも知れなかった。 > 「何言ってんだよ、虎王が強いのはお前がいるからじゃないか」 >  何とはなしに癪だったが、海火子は口を開いた。 > 「お互いにそんなに好き合っているくせに、まだ不滿だなんて、すげ > え贅澤だと思うぜ」 >  ことさらぶっきらぼうで、不貞腐れたような言い方だったが、卻っ > て海火子の本心を露にした。 >  隱しようのない憧憬と自分への苛立ち。 >  なにしろ、まだ自分自身と向き合うことすら、出來ないのだから。 > 「さ、さっさと寑ちまおうぜ。オレはもうくたくただ」 >  ワタルから何か言われる前に、海火子は背を向け、布團に潛りん > だ。後ろで、ワタルの忍び笑いが聞こえる。 > 「おやすみ。…ありがとう、海火子」 >  照れ臭くて、一人顏を赤くしながら、海火子は眠りやすいように身 > 動ぎをした。 > 「…僕達と同じようになる必要はないと思うよ。僕は、こんなふうに > 虎王を好きになったけど、もっと緩やかに好きになる人だっている > し、なかなか氣が付かない人だっている。ためらってばかりの人もい > る。…だけど、どれが良くて、どれが惡いかなんてありはしないん > だ。本當に『好き』って言う氣持ちがどんなものか、それは人それぞ > れだし。…でも、いつか、絕對これがそうなんだって、思う時がある > よ。誰にだって、必ず」 >  海火子が聞いていなくてもかまわない、そんな感じでワタルは話し > かけた。海火子への何かの回答になるとも思っていない。ただ、自分 > の考えを話さずにいられなかったのだ。 >  きっと、海火子なら、解ってくれるだろうから。 >  自分の氣持ちや、虎王の氣持ちを不安に感じたことなどない。いつ > でも、どんな處でも、何があっても。逢えなかったことと比べれば、 > そんなことは大した事ではない。 >  部屋の燈りを吹き消して、ゆっくり身体を橫たえながら、ワタルは > もう一度、海火子におやすみ、と聲をかけた。 >  ワタルはその想いを持て余して、海火子はその想いを見つめて、暫 > し眠れない時間を過ごした。 >  まだ、心は幼さを殘し、しかし精神は大人にならずにいられない。 > そのアンバランスな隙間に、時にこうして心がかりな氣持ちが忍び > む。 >  眼を閉じ、そして眠りが訪れるのを、彼らはじっと待ち侘びた。 >  宮殿に戾ると、創界山からクラマが來ていた。 >  創界山に殘った魔物も、間もなくすべてが滅ぼされ、もしもワタル > 達が手間取っているようなら、手助けをするつもりだったと彼は言っ > た。 >  宴が催され、それは朝まで續いた。主役のはずの救世主は、いつの > 間にか創界山の皇子と姿を消し、海火子は一人で次ュと述べられる祝 > 辭に答えなければならなかった。 > 「よう、大變だな」 >  そう海火子に聲をかけた、昔は鳥の姿をしていた青年は、壁に背を > 預けて、酒を傾けていた。 >  皮肉っぽい口許と、それに似合わない優しい瞳が、自分に向けられ > るときにさらに優しくなるのを、海火子は心の奧で嬉しく思った。 > 「そう思うんなら、助けてくれればいいだろう」 >  海火子が星界山の皇子だとわかった直後は、クラマの口調がやたら > 丁寧な他人行儀になり、それを散ュ苦勞して元に戾したのだ。 > 「そうはいかない。皇子の務めは果たさなくちゃな」 > 「ちぇっ、勝手に言ってろ」 >  海火子は肩を竦めた。その樣子に、クラマは少し首を傾げた。 > 「何かあったか?…どことなく感じが變わったな」 >  樂しげに、海火子は笑った。何か、どころではない。何も彼も、 > だ。 >  ワタルや虎王と話したこと、彼らに抱かれたことも、海火子の考え > 方を變えるのに充分だった。 >  きっと彼らは今頃、一緒にいられる時間を惜しんでいるだろう。そ > れを誰も咎められないし、止めることもできない。 > 「何もないさ」 >  そう言いながら、クラマを見つめる。 >  今、感じている感情は何だろう。大切にしなければならないもの、 > いつかはきっと解るもの。 >  ふいに海火子は、ワタルに問われて素直にいえなかったことを、今 > ここでその人に向かって言いたくなった。 > 「オレ、クラマに逢いたかった」 >  そしてその時、確かに何かが始まったのだ。海火子だけでなく、ク > ラマの上にも。 > -------------------------------------------------------------------------- < 作者: wataruXtorao (虎王又熱又鹹,的確可口) 看板: BB-Love 標題: Re: [各位好]不知是否有人願意幫忙? 時間: Thu Nov 18 02:41:23 1999 ※ 引述《joeys (餃子皮)》之銘言: : 這...這...這不會是魔神英雄傳的同人誌小說吧......^^b : 有點嚇到說......^^bb : 不過我翻不出來,我只能看的懂一點點而已 : 最近大地頻道再演新版的魔神英雄傳哦!! : 人物都很可愛哦!!^^ 諾,這是翻譯. 「你們在做什麼」 一支手靠著樹幹探出頭來注視著兩人但並沒生氣的說著。 「海火子還蠻固執的」 ワタル抓著頭髮、站起了一支腳並向虎王使個要不要也一起的眼色。 海火子則是喘著氣發呆似的看著。 對ワタル來說自己的行為並不算是對虎王的不忠。也沒去想過虎王是不是比自身還重要。 說到ワタル和虎王雙方的感情,應該是好到會讓人忌妒的。 話雖如此,ワタル一點也不慌張,虎王也沒氣的大叫。 如果是照虎王的性恪來說,不可能不生氣的呀。 海火子瞄了一下虎王,看到了虎王嘴角起了笑意。 「那樣的話,你就不要理那個傢伙,交給我吧」 虎王舉起了雙手把頭髮上的髮帶給拉開, 躍起的髮帶牽引著金髮就像是要把夕陽給全反射回去的樣子散開, ワタル對就像是變得很完美的樣子的虎王投以微笑。 而虎王的臉則從那個不服輸且小孩子氣的臉換成非常妖艷美麗的臉。 ワタル還是溫柔的向虎王伸出了雙手。 虎王邊靠近邊將脖子上的圍巾解開,那個聲音讓海火子動彈不得的身體恢復了正常。 使不出力的身體靠在背後的大樹,並合起了雙腿。 虎王自己脫了上衣放在剛卸下的雷龍劍上,膝蓋靠在ワタル的跟前要求接吻。 「…ん」 發出了兩人舌頭纏在一起的聲音。虎王抓弄著ワタル的頭髮。 ワタル的手則在虎王的背後慢慢的個對撫摸,這個動作明顯的讓海火子有所感覺。 「ワタル,已經可以了…」 虎王抓住了ワタル的手向自己的下腹部移動。 「現在就想要」 在虎王那像湖底深處的眼中閃著挑動的光芒。從ワタル的腋下抱著並拉出上衣的衣擺。 「…真性急呀」 ワタル邊說著邊動起了手指。就像是虎王所要求的一樣,沒有前戲就直接開始深度的愛撫。 虎王向後彎並發出喘息聲。直接向ワタル的身上倒了下去,兩個人的身體就這樣貼在一起。 現在ワタル身上的衣物也全部都已脫去了。 「…は…」 在虎王那白色的肌膚上染上了非常鮮豔的紅色。 昨晚,在那暗闇中所看到的事又讓海火子開始興奮起來。 雖然ワタル的身體已離開了,但是發熱的身體還是沒有恢復正常。 「あ,あ…っ」 虎王的聲音使得海火子的身體有所反應。 虎王抓著ワタル的頭髮想使得ワタル給予自己更剌激的感覺。 「如何…很舒服吧?虎王」 ワタル用很小聲的問著。虎王則是搖著頭。 這並不是在否定,而是忍受不住快感而給予的肯定。 「…!」 虎王閉著氣並向後仰。ワタル的舌頭慢慢的舔著那逐漸變硬的地方。 海火子也清楚的看到。不,那是ワタル故意讓海火子能清楚的看到的。 和虎王同樣的,自己也愈來愈興奮。 縱使左手使力的握住右手,還是阻止不了右手的抖動。也因此覺得愈來愈敏感。 「あ…ッ!」 本來以為虎王的身體非常的僵硬,在一陣很長的嘆氣聲之後,就開始鬆弛下來。 呼吸變得急促,合起來的眼睫毛也變得濕潤起來。 ワタル起身擦了一下嘴角。邊看著海火子邊舔著自己的下唇。 「…あ」 海火子搖了一下頭。現在如果被ワタル給愛撫的話,一定會變得什麼也不能思考的。 因為了解了這樣,所以打算給予拒絕。 「海火子」 由於ワタル的呼聲,使得身體僵硬起來。 「怎樣?是要自己來嗎?」 ワタル是指什麼,是非常令人容易理解的。 「還是希望我來?」 ワタル邊說邊舐著自己的右手。那個還是持續濕潤著。 虎王的喘息聲好像不知是從遠方的那個地方所傳來的。 「我,我…」 輕輕的說著,卻是說得和心裡所想的不一樣的話。 雖然咬著嘴唇想忍著,但已經太遲了。 「…被ワタル,…」 「被我?」 不知是那時候,ワタル已經來到身邊了。 和以往同樣的,覺得困惑的黑色眼睛一直看著海火子。 就算是這時候,還是非常溫柔、並且誠實的。 「…想要…」 在說了之後急忙的轉向旁邊。 ワタル則是將自己的唇親吻上了海火子的臉頰。 ワタル移動的舌頭使得海火子身體抖動起來。 手在側腹上遊移,然後慢慢的抱了起來。 力量放鬆之後,也開始喘息。 這是由於渴望,然後慢慢的引出快感的緣故。 和自己愛撫自己有明顯的不同。會比自己還清楚最敏感的地方是那裡。 在每次的給予愛撫,用手輕輕的抓,然後摩擦前端,就會感覺到每次的跳動。 ワタル把將海火子的腳打開,然後把臉靠了過去。 「ッ…!」 和羞恥心互相交纏而成的淫猥表情。 ワタル認為那是海火子更想要的表情,然後更大力、更深。 「海火子」 在耳邊聽到了虎王的聲音,海火子因而打開了眼睛。眼前出現了虎王的臉。 深青色的眼睛好像隱含著笑意的虎王注視著海火子, 並伸出了指甲沿著下顎向海火子的方向去。 「ん…」 虎王親吻上了因ワタル愛撫而喘息的海火子的嘴唇。 這又和ワタル的親吻方式有所不同。 雖然不像ワタル那樣的溫柔,但也不是很粗暴的方法。 用一邊的牙齒剌激著正交纏在一起的舌頭。 海火子抓著虎王的手腕並喘息著。從剛才就好像快到高潮一樣。 好像要使海火子更有快感一樣的虎王咬起了海火子的耳朵。 「あ,…く…ッ」 「沒關係。…海火子。去吧」 ワタル小聲的說著。輕輕的用牙齒靠著,開始吸吮著。 「來吧…」 海火子身體開始抖動起來。不知道什麼時候被虎王抱了起來。 撓在背後的手指甲立了起來。 「…!」 這是從之前到現在沒感覺過的高潮。海火子什麼話也不說的將身體交給他們。 ワタル親吻上了海火子那一直在重覆著急促呼吸的唇。 雖然有點難過,海火子還是用舌頭和ワタル一起交纏。 「還不夠。還會再讓你更舒服的」 剛說完,ワタル讓海火子的身體扒著,讓腰浮著,慢慢的將手指插入。 從以前到現在從沒有東西進入的那裡,一開始是抵抗著的。 過了一會,海火子又有了不同的感覺。 「ワタル,這種…」 虎王抓著海火子的前髮,並露出了惡作劇樣子的笑容。 「ワタル和我可是什麼也沒想就做的」 當在虎王說的話的時候,又覺得異物感又增加了。 慢慢的進了身體中。慢慢的愈來愈覺得疼痛感增加。 雖然沒到大叫的程度,但在內壁中摩擦的感覺而使得想呻吟出來。 ワタル抱著海火子,並把扒著的上半身給拉起來。 「あっ…く!」 直接貫穿到了最深部,海火子身體傾斜的尖叫了起來。 那個溫熱東西好像直接到了喉嚨的樣子。 身體雖然覺得很疼,但是還有一種更強烈的感覺。 虎王正用他的唇愛撫著海火子的胸部。 好像要再次把卻望引出來的那個愛撫的手指是虎王的,還是ワタル的。 海火子把眼睛緊緊的閉著,將身體交給了他門。 身體中的那個壓迫感是從那時候變成了像是會令人麻痺般的疼痛。 喘息和嬌聲交互著愈來愈覺得興奮。 ワタル的手指悄稍的伸進了海火子的口中。舐吧,並在海火子的耳邊輕輕的命令著。 海火子則什麼也沒想的就照ワタル說的做著。 那邊是那麼的敏感,一定也沒想過的海火子卻因此而感到如此的興奮。 「は…」 虎王的聲音漏了出來。從剛才一直在海火子身上的手指,現在侵入了虎王的身上。 海火子一點也不知道。那則是因為前、後加在身上的愛撫的關係。 雖然分辨不出自己到底被如何的愛撫, 但耳朵卻聽見ワタル的呼吸愈來愈急促和虎王的舌頭在做什麼, 海火子比自己親眼看見更知道是怎麼回事。 虎王愛撫著海火子。 抓著海火子頭髮的虎王在海火子說出想要什麼之前就能了解他要的是什麼。 海火子則沒有那個多餘的注意力。 現在的海火子的狀態是只要有一點點能有所興奮的行為都能使自己興奮起來。 海火子打開了雙唇接受了虎王那好像很熱的那裡。 ワタル身體向前的動作著。每次一搖動,虎王也像海火子一樣的呻吟著。 是誰最先達到的。好不容易解放的海火子向地面躺著並喘息著。 「…還好吧?」 虎王聽到了但還是喘著氣,雖然知道那句話的意義,但是還是需要點時間調整一下。 海火子慢慢的擺著頭。這已經是用盡全力了。 雖然不是痛到那樣,卻一點力量都使不出來。全身放鬆之後就好像麻痺了一樣。 「暫時不要動比較好。…等到了較平靜之後,再慢慢的立起身子」 ワタル邊說邊把上衣蓋在海火子的身上。 這時太陽正快要從地平線落下,正在向世界灑下最後的光芒。 「…這樣…」 海火子輕輕的說著。舉起著手放在臉上,眼淚則一直溢出來,一點也阻止不了。 是因為不敢相信自己會那樣,而且還是和虎王和ワタル。 「如果是和真心喜歡的傢伙,則會更舒服的。 …不管是身體還是心。然後就會更加喜歡彼此的。」 虎王邊玩著海火子的頭髮邊用溫柔的聲音說著。