第八話 無差別報復
阿雷「私設武装組織、ソレスタルビーイングによる武力介入の即時中止、
及び武装解除が行われるまで、我々は報復活動を続けることとなる。
これは悪ではない。我々は人々の代弁者であり、
武力で世界を押さえつける者たちに反抗する、正義の使徒である、か。
やってくれるよ、まったく」
剎那「無差別、爆破テロ」
絕望「国際テロネットワーク」
錄音「くそったれが」
哈囉「ロックオン、ロックオン 怒ってる、怒ってる」
錄音「悪いなハロ、少し一人にさせてくれ。 狙い撃つ、狙い撃つぜ」
ツエーリ「無差別テロって、あり得るとは思ってたけど、うちらの風当たり、
また強くなっちゃうっスね」
ラッセ「嫌われもんはいまさらだろ。どっちみち空にいる俺らにゃ、
何にもできねえ。地上のやつら任せるさ」
管家「お帰りなさいませ、お嬢様」
王留美「用事があるので、お世話の必要はなくてよ」
紅龍「失礼」
阿雷「なぜそんな格好を」
皇「カムフラージュよ、カムフラージュ」
シエラ「ちょっと、趣味が入ってるかも」
阿雷「今がどういう状況か分かってるんですか」
皇「分かってるけど、
今は王留美が放ったエージェントからの情報を待つしかないもの。
あーそれにしても暑いわね、冷えたビールとかないの?」
阿雷「はぁ……神経が太いというかなんというか」
錄音「強がってるんだよ」
シェラ「こっちからエージェントに連絡できればいいのに」
絕望「実行部隊である我々が、組織の全貌を知る必要はない」
阿雷「ヴェーダの采配に期待するさ」
哈囉「久しぶり フェルト 久しぶり」
フェルト「ハロ」
紅龍「特定領域の暗号文で、全エージェントに通達を完了しました」
王留美「各国の状況は?」
紅龍「主だった国の諜報機関は、国際テロネットワークの拠点を探すべく、
すでに行動を開始している模様です。
テロ発生。人革領です。これで、ユニオン、AEU、人革連、
すべての国家群が、攻撃対象になりました。
やはり、国際テロネットワークの犯行である公算が大きいようです。」
王留美「支援国家の存在も、否定できない。
いやなものね。待つしかないということは」
皇「国際テロネットワークは、複数の活動拠点があると推測されるわ。
相手が拠点を移す前に攻撃するためにも、ガンダム各機は所定のポイントで、
待機してもらいます」
錄音「悪いな、お別れだ」
哈囉「フェルトまたな フェルトまたな」
フェルト「ハロ……」
剎那「GNシステムリポーズ解除。プライオリティを刹那・F・セイエイへ」
阿雷「GN粒子の散布濃度を正常値へ。キュリオス、目標ポイントへ飛翔する」
絕望「ヴァーチェ、ティエリア・アーデ、行きます」
哈囉「エクシア、デュナメス、出撃準備 出撃準備」
剎那「エクシア、刹那・F・セイエイ、目標へ向かう」
錄音「デュナメス、ロックオン・ストラトス、出撃する」
─人革連 低軌道ステーション─
人革大叔「わがほうにも爆破テロだと?」
士兵「死者24名、重軽傷者67名です。諜報部が捜査に乗り出したようですが」
大叔「分かった。なにかあったら報告してくれ」
士兵「了解しました、中佐」
大叔「どうした?」
銀髮「今回の件は、中佐が関わることではないと思いますが」
大叔「多発テロの原因はソレスタルビーイングだ。
となればやつらがこの事件に絡んでくる可能性もある。そういうことだ」
ダッジ「中尉。こんなことしても敵さんは見つかりませんぜ」
金毛「分かっている。私は我慢弱く、落ち着きのない男なのさ。
しかも、姑息な真似をする輩が大の嫌いときている。
ナンセンスだが、動かずにはいられない」
ハワード「お供しますよ、中尉」
金毛「その忠義に感謝する!」
─AEU スコットランド─
眼鏡娘「モラリア紛争に同時多発テロ、姫様の外交にはケチがつきっぱなしね」
王女「テロの影響で、イギリス外務省との会談も延期されたわ。
すべて、ソレスタルビーイングのせいよ」
眼鏡娘「ふふ、休暇だと思って楽しみなさいな」
王女「よく言えるわね、そんなこと」
眼鏡娘「先日議会が紛糾してね、
保守派の重鎮が改革派の暴行を受けて怪我を負ったわ」
王女「そんなことが」
眼鏡娘「市民の衝突にまで発展するのは時間の問題。
あなたの旅は、これが最初で最後かもしれないわね」
─経済特区 東京─
沙慈「ああ、ルイス?僕だけど、どう?平気かい?」
露意絲「あたしは大丈夫。けどママがスペインに戻って来いってしつこくって」
沙慈「一度戻って安心させてあげたら?」
露意絲「だめよ、もともと留学には反対だったんだから。
あれこれ理由つけて引き止められちゃうもの」
絹江「ただいま」
沙慈「姉さんが帰ってきた。またね、ルイス。何かあったら連絡して」
露意絲「うん、それじゃあ」
沙慈「お帰り、姉さん。て、疲れてる?」
絹江「そりゃ疲れるわよ。
モラリア大規模戦闘に同時多発テロ、各国首脳陣の公式声明、
世界中で起こっているソレスタルビーイングの排斥デモ、
社員総出で取材しても、しきれないって」
沙慈「正直、今まで人ごとのように考えてたよ」
絹江「何が?」
沙慈「なんていうか……世界の状況みたいなこと。はい」
絹江「ありがと」
沙慈「ソレスタルビーイングが現れても、ここは戦争なんかしてないし、
自分には関係ないことだって。でも、バスが爆破されて、
大勢の人が巻き込まれて、それを見たとき、関係なくないんだって、
分かってなかっただけで、何も知らなかっただけで」
絹江「あたしもよ。さっき、被害者の遺族を取材してきたけど、正直きつかったわ。
何もしてないのに、ただその場所に居合わせたというだけで、
その人の一生が消えたのよ。
遺族たちがソレスタルビーイングを恨む気持ち、分かるわ」
沙慈「どだい無理なんだよ。世界から戦争をなくすなんて」
絹江「彼らもそう思ってるんじゃないかしら」
沙慈「どういう意味?」
絹江「戦争根絶なんていう無茶な目的の裏には何かがある。
ソレスタルビーイングが成し遂げたいと思う、本当の目的が。
ただの憶測だけどね」
沙慈「でも人が死んだよ?大勢死んだ。悲しんでる人たちもいっぱいいる」
絹江「そうね。本当そう思うわ」
沙慈「父さんたち生きてたら、どう思うだろう」
絹江「きっと悲しむわ。沙慈のように」
─オーストラリア 山間部─
絕望「ヴーチェ、目標ポイント到達。待機行動に入る」
─人革連 砂漠地帯─
阿雷「キュリオス、待機行動を続ける。 いつまでかかるんだか」
─ユニオン 南米 森林地帯─
錄音「じれるぜ」
─AEU スコットランド 山間部─
剎那「行っちゃうのか?」
友「当たり前だ。俺は神の代わりに務めを果たしにいくんだ」
剎那「だめだ、死んじゃうよ!」
友「なんだお前、死ぬのが怖いのか?それは神を冒涜する行為だぞ!」
鬍子「彼は神のために生き、神のために死んだ。
これで彼の魂は、神の身もとへと誘われいることだろう」
剎那「死の果てに神はいない。
熱源反応?テロ襲撃予測地点に近い。 やはりテロか。 刹那だ」
王留美「監視カメラを経由して、爆発現場から立ち去る不審者を発見しました。
現場から一番近いのはあなたです。任されてもらえる?」
剎那「了解。現場に向かう」
王留美「今、エクシアを使うわけにはいかなくてよ」
剎那「分かっている」
王女「テロが起こったというのは本当なのですか?」
部下「確定情報です。郊外のホテルを手配しました」
王留美「不審者は車に乗って逃走。茶色のクーペです」
剎那「目標を確保する」
警察「おい、何をしている?」
警察「貴様、何をしようとしていた?」
刹那「別に」
警察「IDを確認する!どうした?早くIDを出せ!」
部下「失礼。この少年は我々の連れなんですが」
警察「あなたは?」
部下「こういうものです」
警察「し、失礼しました!」
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