推 KiraAthrun:thank u 12/02 19:30
第9話 大国の威信
錄音「ん? 一体誰が…… もしかして、あの人が?」
〔阿寶〕
西暦2307年、ソレスタルビーイングが武力介入を開始してから、
4か月の時が過ぎようとしていた。
彼らの介入行動回数は60を超え、人々は、好むと好まざるに関わらず、
彼らの存在を受け入れていく。
ソレスタルビーイングを否定する者、肯定する者、どちらの気持ちも、
戦争を否定するという意味では一致していた。誰も争いを求めたりはしないのだ。
地球にある三つの国家群のうち、ユニオンとAEUは、同盟国領内での紛争事変のみ、
ソレスタルビーイングに対して、防衛行動を行うと発表。
しかし、モラリア紛争以来、大規模戦闘は一度も行われていない。
それを可能にしたのは、モビルスーツ士ガンダムの卓越した戦闘能力にある。
世界中で行われている紛争は縮小を続けていたが、
武力による抑圧に対する反発は消えることはない。
そして今、唯一彼らに対決姿勢を示した人類革新連盟で、
ある匿秘作戦が開始されようとしていた。
─人革連高軌道ステーション─
大叔「特務部隊超部隊員諸君。
諸君らは母国の代表であり、人類革新連盟の精鋭である。
諸君らの任務は、世界中で武力介入を続ける武装組織の壊滅、
及びモビルスーツの鹵獲にある。
この任務をまっとうすることで、我ら人類革新連盟は世界をリードし、
人類の発展に大きく貢献することになるだろう。諸君らの奮起に期待する」
シエラ「デュナメス、着艦終了。引き続きエクシアの着艦作業に入ります」
フェルト「コンテナオープン。相対誘導システム作動」
刹那「誘導システム同調。エクシア、着艦する」
シエラ「エクシア、着艦しました」
阿伯「いい着艦だったぞ、刹那」
剎那「整備を手伝う」
阿伯「部屋に戻って休んでいろ。人の仕事を取るんじゃない」
哈囉家族「兄さん」「兄ちゃん」「お兄さま」
錄音「感動の対面だな」
哈囉「整備開始 整備開始」
哈囉家族「了解 了解」
錄音「頼んだぜ」
阿雷「スメラギさん、オーバーホール中にもし敵に襲われたら?」
皇「神を恨むわ」
阿雷「戦術予報士のセリフですか?それ」
人員A「姿勢御完了。ハッチオープン」
人員B「リニアカタパルト、電圧上昇。双方向通信システム、射出準備完了」
人員A「射出」
人員B「通信子機、全体分離」
─人革連 高軌道ステーション 管制室─
人員A「通信子機、全体分離開始。予定位置に移動中。双方向通信、正常です」
ミン「これでわが軍の静止衛星軌道領域を、80%網羅したことになります」
大叔「うむ」
ミン「ガンダムが放射する特殊粒子は、
效果範囲内の通信機器を妨害する特性を有しています。
それを逆手にとり、双方向通信を行う数十万もの小型探査装置を放出。
通信不能エリアがあれば、それはすなわちガンダムがいるということ。
中佐、魚はうまく網にかかるでしょうか」
大叔「そうでなくては困るよ、ミン副官。
これほどの物量作戦、そう何度もできはしない」
沙慈「ソレスタルビーイングの動向における世界紛争の今後。
何て面倒なレポートなんだ」
露意絲「そんなの適当に書けばいいじゃん」
沙慈「そういうわけには……」
露媽「ルイスーー!」
露意絲「マ、ママ?」
沙慈「ママ?」
露媽「会いたかわったわルイス!」
露意絲「今は渡航規制がかかってるのに、どうして?」
露媽「代議士の先生にお願いしてね。ルイス、こちらの方は?」
露意絲「前に言ったでしょ?私のボーイフレンド」
沙慈「沙慈です。沙慈・クロスロードです」
露媽「そぉ~娘がお世話になっております」
沙慈「あ、いえ」
露媽「でももうけっこうですので。さ、帰るわよ、ルイス」
露意絲「何言ってるの?ママ」
露媽「世界がこんな状況なのに、一人娘を留学させておけないでしょう?さ!」
露意絲「やだ!帰らない!なんとか言ってよ、沙慈!」
沙慈「と言いわれても……」
露意絲「恋人が連れてかれちゃうのよ!?」
露媽「恋人!?」
沙慈「い、いつのまに!?」
露媽「あなた!」
沙慈「ご、誤解です!お母さん!」
露媽「お母さん!?」
沙慈「いや、そういう意味でなくて、その……」
露意絲「男の子ならはっきりして!」
沙慈「ええ~?」
露意絲「沙慈~!」
─JNN本社─
長官「イオリア・シュヘンベルグの調査報道?」
絹江「ソレスタルビーイングの創設者を調べれば、
彼らの本当の目的が分かると思うです。是非ともやらせてください」
長官「どの国の諜報機関もお手上げの状態だと聞いている。お前一人で何が……」
絹江「それでもやりたいんです!お願いします、デスク」
長官「一か月以内に、報道特集一時間分のネタ、集められるか?」
絹江「はい!」
主播「次のニュースです。
エネルギーの枯渇状況が深刻な中東のアザディスタン王国に、
国連による援助が行われる模様です」
─アザディスタン王国 アザディスタン国際空港─
主播「すでに国連の視察団が現地に到着しており……」
王女(国連大使との会談がまとまれば、この国にも、太陽光発電システムが……)
官員「姫様、いらしたようです」
王女(この方が、アザディスタンを救ってくれる)
帥哥「お初にお目にかかります、国連大使のアレハンドロ・コーナーです」
王女「アザディスタン王国第一王女、マリナ・イスマイールです。
わたくしたちの援助要請を受けていただき、
この国を代表してお礼申し上げます」
帥哥「国連とは本来、こういうことを行うための組織です。
とはいえ、加盟国からの負担金が滞っている今、
やれることは限られていますが」
王女「それでも、感謝しています」
眼鏡娘(この時期での国連の援助、見返りはなにもないというのに。
あの男、何を考えているの?)
ツエーリ「あれ、フェルトは?」
シエラ「気分が悪いからって、モレナさんのところにいったわ」
ツエーリ「当直連荘スか」
シエラ「そうなのよね~」
ツエーリ「ここ俺見てますから、食事してきていいっスよ」
シエラ「え、本当?優しい!」
ツエーリ「それほどでも……」
シエラ「でも、好みじゃないのよね~」
ツエーリ「悲しい……」
錄音「よ、何してる?」
フェルト「ロックオン」
錄音「どうした?」
シエラ(気まずい!)
ツエーリ「GNドライブチャージ、100%到達っと」
人員A「AE3288の双方向通信が途絶えました」
人員B「中佐に報告」
人員C「AR9763もです。位置は、エアン07」
ミン「まさか、これほど近くにいたとは」
大叔「特務部隊超部の総員に通達。モビルスーツ隊、緊急発進」
─人革連 多目的輸送艦 ラオホゥ-
人員「緊急出撃準備、0655より、一番艦から順次出撃する!
全搭乗員は加速に備えよ!140秒後に緊急加速を開始する」
大叔「ピーリス少尉、全感覚投影システムの具合はどうか」
銀髮「問題ありません、中佐、オールグリーンです」
大叔「中尉にとってこれがはじめての実戦になる。
この前のようなことはごめんこうむる」
銀髮「承知しています、中佐」
人員「全艦、加速可能領域に到達、加速開始します」
錄音「へーフェルトの両親はソレスタルビーイングにいたのか」
フェルト「二人とも、第二世代のガンダムマイスターだって」
錄音「そうかい、俺は君の両親のおかげで戦えてるんだな。
そんでもってフェルトは、ホームシックにでもかかかったか」
フェルト「今日は命日、二人の」
錄音「何があった?」
フェルト「分からない。ただ、死だとしか」
錄音「ソレスタルビーイングのメンバーには守秘義務がある。
俺も今のメンバーの過去を知っちゃいないが……
そうか、両親の情報もか? 両親の意志を継いだんだな?
君は強い、強い女の子だ」
錄音「ニールだ」
フェルト「え?」
錄音「俺の本名。ニール・ディランディ」
フェルト「あなたの名前」
錄音「ああ、そうだ。出身はアイルランド、両親はテロで殺された」
フェルト「どうして?」
錄音「教えてもらってばかりじゃ不公平だと思ってね」
フェルト「優しいね」
錄音「女性限定でな」
阿雷「ロックオン……! し、失礼」
錄音「誤解をするな!」
シエラ「ああ、もうあんな状態じゃ味なんか分かんないって」
ツエーリ「何?」
シエラ「なんでも。 Eセンサーに反応? これって、通信装置!」
ツエーリ「何スか?」
シエラ「バカ!」
ツエーリ「何で?」
シエラ「敵にこっちの位置が、探知されてるのよ!」
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