第11話 アレルヤ
─ユニオン 対ガンダム調査隊─
ハワード「中尉。人革さんが空でガンダムさんとやりあったってのは、本当ですか?」
金毛「ああ、四散しているデブリの状況からして、
20機以上のティエレンが大破したらしい」
ダリル「やれやれ、ガンダムとやりあうのが空恐ろしくなってきましたよ」
ハワード「まったくだ」
金毛「モビルスーツの性能差が、勝敗を分かつ絶対条件ではないさ。
あてにしてるぞ、フラッグファイター」
馬尾「やはりこの特殊粒子は、多用変異性フォトンでしたか?」
教授「それだけではないぞ。
ガンダムは特殊粒子そのものを機関部で作り出しておる。
でなければ、あの航続距離と作戦行動時間の長さが説明できん」
馬尾「現在ガンダムが4機しか現れないことと、関連がありそうですね」
教授「げに恐ろしきはイオリア・シュヘンベルグよ。
2世紀以上も前に、この特殊粒子を発見し、基礎理論を固めていたのだからな」
馬尾「そのような人物が、戦争根絶なんて
……夢みたいな行動をなぜはじめたんでしょうか?」
教授「紛争の火種をかかえたまま宇宙に進出する、人類への警告、
そうわしは見ておるがな」
絕望「今回の人革連による軍事作戦、キュリオスを鹵獲寸前まで追い込まれ、
ナドレの姿を敵に露呈してしまった。
スメラギ・李・ノリエガ、すべては作戦の指揮者である、あなたの責任です」
皇「ごめんね。でもね、私も人間なの、時には失敗もあるわよ」
絕望「そんな問題では済まされない、計画にどれだけの支障が出た……」
錄音「ナドレを敵に曝したのは、お前だろう?」
絕望「そうしなければやられていた」
錄音「そうだとしても、お前にも責任はある。
ミス・スメラギばっかり責めるなよ、命があっただけでもめっけもんだ」
絕望「今後はヴェーダからの作戦指示を優先する。失礼」
ツエーリ「は~緊張したー」
克莉絲「あんなこと、みんなの前で言わなくたっていいのに」
錄音「かわいいよなぁー生真面目で、他人に八つ当たりなんかしてさ」
阿雷(あの機体……ティエレンの高機動超兵仕様。
間違いない、あれに乗っていたパイロットは、僕と同じ存在……
まさか、続いて? あの忌まわしい研究が)
─人革連 低軌道ステーション─
長官「鹵獲中に収集した羽付きガンダムのデータ、
ティエレンのミッションレコーダーに残されていた、
ソレスタルビーイングの移動母艦と、
デカブツが外部装甲をはずした映像……
数十万機の探査装置と、
20機以上のティエレンを失った代償としては少なすぎる」
熊叔「弁明のしようもありません。いかなる処分も受ける覚悟です」
長官「君をはずすつもりはない、辞表も受け付けぬ」
熊叔「ん?」
長官「確かに本作戦は失敗した、だが、君に対する評価は変わってはおらんよ。
ガンダムの性能が、我々の予想を超えていたのだ」
熊叔「お言葉ですが、ガンダムの性能は底が知しれません。
鹵獲作戦を続けることは、わが軍にとって……」
長官「それも分かっている。主席は、極秘裏にユニオンとの接触を図っておられる」
熊叔「ユニオンと?」
長官「ソレスタルビーイングへの対応が、次の段階に入ったということだ」
女兵「ピーリス少尉、次の作戦で、ミン中尉の、いえ、同志たちの仇を」
鎖碼「作戦完遂に全力を尽くします。
私は、そのためだけに存在を許されているのですから」
研究員(少尉のタオツーが近付けば近付くほど、
ガンダムのパイロットが受ける苦痛が増加している……
やはり、ガンダムのパイロットは脳量子波の影響を……
いる、被験者E-57。
E-57、脳量子波処置後、新たな人格が形成、凶暴性あり、データ収集後、
処分。いかんな、この事実が上層部に知れれば……)
熊叔「タオツーのミッションレコーダーから何か分かったことは?」
研究員「はっ、今のところは何も」
熊叔「私はガンダムのパイロットを、ピーリス少尉と同類と見ている」
研究員「我々以外にも、脳量子波処置を研究している国がある可能性を、
否定できません」
熊叔「もしそうだとすれば、この世界は歪んでいるな」
研究員「その意見に賛同させていただきます、中佐」
阿雷(どうする?この事実を報告するか?それとも……)
哈雷(やることは一つだろ?)
阿雷「ハレルヤ?」
哈雷「あの忌々しい機関が存続していて、
俺らのような存在が次々と生み出されている。
そいつは戦争を幇助する行為だ」
阿雷「叩けというのか?仲間を、同類を」
哈雷「お優しいアレルヤ様にはできない相談か?
なら、体を俺に渡せよ、速攻で片付けてやっからさぁー
あの時みたいに」
阿雷(俺たちは、死ぬのか?)
少年「死にたくない!アレルヤ!アレルヤーー!」
哈雷「ダメだ、お前は死ぬんだ」
少年「アレルヤ……」
哈雷「違う、俺の名は……」
阿雷「やめてくれ、ハレルヤ!何も殺すことはない、彼らを保護することだって」
哈雷「戦闘用に改造された人間にどんな未来がある?
そんなこと自分がよく分かってるだろ?
え?ソレスタルビーイングのガンダムマイスターさんよ!」
阿雷「違う!僕がここに来たのは……」
哈雷「戦うことしかできないからだ」
阿雷「違う!」
哈雷「それが俺らの運命だ!」
阿雷「違う!僕は! あ、刹那……」
剎那「どうした?」
阿雷「いや、何でもないさ」
─アザディスタン王国─
帥哥「受信アンテナの建設が、予定より遅れているようですが」
王女「作業の妨害が、幾度か行われたようです。
国民の中には、太陽光発電に反対する者たちもいますから」
國連人員「我々が派遣した技術者の安全を最優先にお考えください。
もしもの場合、私たちはこの国から退去することになります」
王女「軍にはそのように進言しています」
帥哥「姫様、一度建設作業現場へ表敬訪問なさってはいかがですか?
兵や技術者たちの士気も上がりましょう」
眼鏡娘「わざわざ暗殺されるために?」
王女「シーリン!」
眼鏡娘「コーナー大使、国連がアザディスタンへの技術支援を決めたのはなぜです?
中東には技術が立ち遅れている国が沢山あります。なのになぜ?」
帥哥「あなた方からの要請があったからではないですか?
国連としては、アザディスタン王国をモデルケースにして、
中東全土に支援の輪を広げていきたいと考えています。
それに、ソレスタルビーイングの存在も気がかりだ」
王女「ソレスタルビーイング」
帥哥「戦争根絶を唱える彼らが、小規模とはいえ、
紛争の絶えない中東へと介入してくるのは時間の問題。
紛争後の復興支援よりも、
争いをなくしていくための支援が重要だと私は考えます」
眼鏡娘「ご立派なお考えですこと」
王女「コーナー大使、あなたのそのお気持ちを、あなた方の神に誓えますか?」
帥哥「誓えます。アザディスタンの未来を、あなたの神にも」
皇「どうしたの?アレルヤ。もしかして君も怒ってるの?
そうね、散々な目に遭わされたんだもの。
ごめんなさいね、ダメな戦術予報士で」
阿雷「酔ってるんですか?」
皇「いけない?」
阿雷「少し、控えた方がいい」
皇「いやよ、私は、これがないと生きていけないの。 ねぇ、用がないなら……」
阿雷「スメラギさんとベヴェーダに、進言したい作戦プランがあります」
皇「作戦プラン?」
阿雷「紛争を幇助するある機関に対しての武力介入作戦。
その機関は、僕の過去に関わっています。
詳しいことはデータにまとめました。
酔いが醒めた時にでも見ておいてください。失礼します」
皇「人類革新連盟軍、超兵特務機関……これって……」
阿雷(この悪夢のような連鎖を、僕が断ち切る!今度こそ、僕の意志で)
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