和賀(中居正広)が『宿命』の本番用の楽譜についに音符を書き込み始めた。
そんな中、蒲田西警察署では、吉村(永井大)による衣服の断片の発見により、
蒲田殺人事件捜査本部が再開した。今西(渡辺謙)と吉村はまず、服の断片を撒
いた女・玲子(佐藤仁美)の住むマンションへと向かったが、既に彼女は引っ越
した後だった。今西と吉村は、彼女が勤めていたクラブ・レインを訪ね顧客のリ
ストを入手。その中にあった関川雄介(武田真治)を訪ねるが、関川は何も知ら
ないと言う。
一方、和賀に一通の手紙が届く。それはあさみ(松雪泰子)から“もしバー『
フォルテ』のピアノが必要だったらいつでも使って欲しい”という内容の手紙
とフォルテの鍵だった。和賀は、その鍵をじっと見つめた。
引越した玲子は、関川を呼び出す。そして、お腹にいる赤ちゃんのことを関川
に打ち明ける。しかし、関川から返って来たのは「やめようよ、そんな冗談。
俺に押し付けるなよ」という、あまりにも酷な言葉だった。ショックを受けた
玲子は、寒い冬の町を悲しく彷徨った。
関川が突然和賀の家にやって来た。玲子の子供の父親は自分ではなく、もしか
したら和賀なのではないか、という疑いからだった。そして関川は和賀に、五
線譜と布切れが入った袋を玲子に渡しただろう、と問う。和賀は「そんな名前
の女性は知らない」と答えるが、彼の心は大きく動揺した。
翌朝、蒲田西警察署に一本の電話が入る。行方不明だった玲子が見つかったと
いう。しかし駆けつけた今西と吉村の前にいたのは、息を引き取った後の玲子
の姿だった。死因は流産による出血性ショックであった。玲子の死により、捜
査が壁美当たるかに思われたが、警察は玲子の引越し先を突き止めた。部屋か
ら五線譜と関川が載っている記事の切り抜きファイルが多数出てきた。更に、
部屋から大量の関川の指紋も検出。今西と吉村は関川を任意で事情聴取するた
め、蒲田西署に同行させた。取り調べで関川は、玲子の撒いた布を見て和賀の
名前を出す。
そんな中、捜査が着々と進んでいることを新聞で見た和賀は、不安に飲み込ま
れそうになる自分をフォルテのピアノにぶつけていた。一心不乱にピアノを弾
く和賀のその顔は、まさにあの日の夜と同じ顔だった…。
辛うじて冷静さを取り戻した和賀は自宅に戻った。地下の駐車場で車を降りる
と、そこには二人の刑事が待っていた。今西と吉村だった。和賀は最大の窮地
に追い込まれた・・・