マンションでは二人の男が和賀を待ち構えていた。警視庁の今西(渡辺謙)と
吉村(永井大)であった。
和賀はいよいよ自分にまで捜査が及んだことに大きく動揺するが、平静を装っ
て二人を部屋に入れる。玲子(佐藤仁美)と最近連絡を取り合っていたか、そ
して玲子の部屋から出て来た五線譜は和賀のものか、などと今西に質問された
和賀は“彼女とは昔付き合っていたので関川との子供の相談を受けていた”そ
して“付き合っていた頃五線譜の処理を玲子に頼んでいたのでそれをまだ持っ
ていたのかもしれない”と正直に答えた。そして最後「1月4日の夜から5日
の明け方までどちらにいらっしゃいましたか?」という今西の質問に“成瀬あ
さみと朝まで一緒にいた”と答える。二人を送り出した和賀は、どうすること
も出来ない恐怖に怯え、ひとり玄関で震えた。
一方、あの日の夜ぶつかった男は和賀なのではないかと疑い出したあさみ(松
雪泰子)は、衣裳室にあった大量のモスグリーンのコートの袖口を、ひとつひ
とつ確認し始めた。もしあの日の夜のコートだったら、袖口に自分の血が付い
ているはず…。そんなあさみの気持ちを裏付けるかのように、その中には血の
付いたコートがあった。衣裳の貸し出しノートから、モスグリーンのコートを
借りた宮田(岡田義徳)の名前を見つけたあさみは、宮田にコートのことを尋
ねる。すると宮田は、あの日の夜そのコートを和賀に貸したという。
4日の夜にぶつかった男が和賀だと確信したあさみは、和賀を助けようと血の
付いたコートを劇団から持ち出してしまう。更にあさみを訪ねて来た今西と吉
村の「4日の夜何処にいらっしゃいましたか?」という質問に、あさみは咄嗟
に“和賀英良さんと朝まで一緒にいました”と答えてしまう。
和賀、あさみ、関川(武田真治)、玲子の4人にアリバイが成立し悩んだ今西
と吉村は、和賀と関川の共通の知り合いである綾香(京野ことみ)を訪ねる。
そこで田所重喜(夏八木勲)の姿を見た今西は、伊勢の映画館で見た田所の写
真を思い出し、その足で伊勢へと向かう。伊勢の映画館に飾られていた写真に
は、今西が思った通り、和賀の姿があった…和賀が犯人だと確信した今西は、
吉村に和賀をマークさせ、再び亀嵩へと向かう。
そして三木をよく知る老人・桐原(織本順吉)に、三木が介抱したという“放
浪してきた親子”の話を聞く。桐原は重い口を開き、子供を連れて逃げ回って
いた父親の名は、本浦千代吉(原田芳雄)だと答えた。今西は、その名前を聞
いて言葉を失った。
同じ頃、あさみはフォルテを訪れていた。そこには、ピアノを弾く和賀の姿が
あった。あさみは和賀に「あなたは誰?」と聞く。それを聞いた和賀は「僕は
ただ、曲を完成させたいだけだ。完成した『宿命』を、君にも聴いてもらいた
い」と悲しそうに、そして強く答えたのだった…。