倒れた慶一郎(長塚京三)は心不全だった。救うには心臓の筋肉を切り取って縫い合わ
せるバチスタ手術しかない。非常に難易度の高い手術だ。都倉(織田裕二)と俊介(阿
部寛)はそれぞれ自分が執刀すると主張する。
意識を取り戻し、自らの病状を知った慶一郎は俊介の目の前で都倉を病室に呼びだし、
自分の手術を執刀するよう指示する。身内の俊介には冷静な判断は無理だというのが理
由である。
俊介は納得がいかないまま部屋を出る。都倉と二人きりになった慶一郎は、都倉が慶一
郎との関係を知って泉田病院に来たものと考え、都倉の目的を問う。
ところがその会話を俊介が聞いていた。俊介は自分と都倉が兄弟であることを知り、愕
然とする。都倉も慶一郎が放つ母への言葉があまりにも冷たいことにショックを受けて
いた。
俊介は慶一郎が病床にある間、院長代理として、慶明医大との関係を絶つことを決意し
た。そうなれば慶明医大からバチスタ手術の経験者を派遣してもらうはずの都倉の第二
外科では慶一郎の手術は出来なくなってしまう。俊介は、慶一郎を恨んでいる都倉には
どんなことがあっても手術をさせるわけにはいかないと考えていた。そのため、熱川(
渡辺いっけい)に、出身校からスタッフを紹介して欲しいと頼み、病院の改革を開始し
た。
結果、第二外科スタッフが泉田病院から去り、慶一郎のオペは俊介が担当することにな
った。だが、都倉はマキ(田中美里)にバチスタ手術の助手ができるようオペ室で教え
込む。俊介もイメージトレーニングを始めるが、先のイメージがどうしても進まなかっ
た。肉親の心臓を切り取る恐怖に襲われていたのだ。
その時熱川が俊介に大学病院でバチスタ手術が入ったため、こちらにスタッフを回せな
いことになったと告げる。そして安藤(石黒賢)からその話を聞いた都倉は、ますます
マキとの練習を強化するのだった。
俊介は都倉にオペを任せると言う。都倉を医者としては一流だと認める俊介は、「親父
を助けてくれ」と全てを都倉に託す。それは慶一郎も同じだった。
そして手術は成功。
由希子は、都倉に慶一郎の家族にも事故のことを話したほうがいいと調べていた新聞記
事を渡す。都倉はその記事から離れた場所にあった、ある見出しに?となる。
そこには大雨でその地方は高速道路が一時不通と書いてあった。事故のあった時間と重
なり、車で帰ることは不可能だった。事故の時間だと最終電車にも間に合わず、香織の
誕生日に立ち会うことは不可能ということになる。都倉は、自分があの日に見た、雨の
中、森に消えていった男は慶一郎ではなかったことを知る。
数日後。慶一郎は順調に回復に向かっていた。
話の流れから都倉が事故のことを勘違いしていると分かっていた慶一郎は、由希子も呼
ぶよう伝え、二人に真実を告白する。
21年前のあの夜、車を運転していたのは確かに慶一郎だった。だが、都倉が熱を出し、
急いで家に戻る途中、大雨で前が見えなかったこともあり、慶一郎は運転を誤り道路脇
の溝に脱輪させてしまった。一人ではどうしようもない状態だった。だが、東京にいる
妻の出産にも立ち会わなければいけないことを知っていた都倉の母・亜紀枝(八木小織
)から自分だけで何とかできるからと言われ、慶一郎は町まで歩き通りがかった車に助
けを求め、自分は東京行きの最終電車に乗った。そして翌日新聞で事故を知った───
。それが全てだった。
そして、慶一郎は院長室の中の一室を開けた。そこには巨大なジオラマがあった。山・
線路・湖、そして富士美駅…。あの場所を忘れたくなかった。亜紀枝を忘れたくなかっ
た。だから、自分にとってはここは亜紀枝の墓だ。そうして、慶一郎は、由希子と都倉
に詫びた。「悪かった、隆」。その一言は都倉の心を軽くした。だが、一方でもう一人
の男の存在が気にかかるのだった。
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