「忠志(佐戸井けん太)が危険な状態にある」と聞いた安藤(石黒賢)は、忠志の部屋
に駆けつける。だが、それは都倉(織田裕二)が安藤へ仕掛けた罠だった。期待に胸が
膨らむ安藤だが、部屋に入ってその目に映ったのは、目を開けて自分を見つめている忠
志だった。パニックになる安藤。そんな安藤に都倉と由希子(松雪泰子)は、21年前の
犯人は安藤なのだと確信する。二人は、今まで手を出さなかった安藤の思惑を確かめる
ため、様子を見ることにする。
一方、泉田病院の患者数が減少傾向にあった。順真大学と提携したせいか、院長の腹違
いの息子が病院にいたというスキャンダルが原因か、会議は紛糾する。都倉は転院を望
む患者の受け入れ先がすべて慶明系の病院であることに気づき行動に移す。
その頃、安藤は慶明医大の小笠原教授(津嘉山正種)室にいた。「順真大へ乗り換えた
罰は受けるのが当然」という小笠原に対し、安藤は賛同。さらに2000万円を積み、「教
授の力で泉田一族を追い出し、私を院長に」と打ち明ける。
忠志の部屋の前には警備のため、警官が配備される。その忠志は少しずつ回復の兆しが
あった。由希子は、安藤は都倉の母に好意を寄せていたが相手にされずに暴力的な行動
に出たという可能性もあり、真相は知らないほうがいいこともあるというが、都倉はど
んなことでも受け入れると話す。由希子ももう少し安藤を泳がすことにする。
泉田病院の危機にも関わらず、俊介(阿部寛)は、都倉に対してこだわりを捨てきれな
いでいた。慶一郎(長塚京三)にも「いずれ都倉先生のことはけじめをつけてください
」という。検査結果を報告する都倉に、自分の家庭がこんなに脆いとは思わなかったと
本音を漏らす慶一郎。都倉は「人間の体には再生能力がある。手術で傷つけられた体を
助けるのは、患者の意思だけ。家族もそういうものじゃないでしょうか」と言う。
一方、引継ぎで一瞬警備が手薄になったのを見た安藤は、忠志の部屋に侵入する。そし
て、ゆっくりと気管挿管のスイッチに手をかけたところで都倉に阻まれてしまう。さら
に確信した都倉は安藤を呼び出し、事件について問いただす。やがて、安藤は自分がや
ったと話し始めた。「バイクが動かなくなって歩いていたら、ぬかるみにはまった都倉
の乗る車を見つけた。自分は善意で助けようとした。でもその時にいきなり対向車が現
れ、事故が起こった。巻き込まれて人生を台無しにしたくなかったのが真相だ」と。「
事故の相手(忠志)が植物状態で生きていることを知り、この病院に潜り込んだ。自然
に死んでくれればいいと思っていたが覚醒しそうになったから殺そうとした…。都倉を
病院に呼んだのは、ここで働いているうちに金持ちオーナーと自分との違いを思い知ら
されたから、都倉を呼んで家族をメチャメチャにしたかった」と涙ながらに話す安藤。
そんな安藤に都倉は「病院から出て行ってください」と言い放つ。
都倉は由希子の下を訪れ、安藤が犯人だと告げる。参考人として引っ張るという由希子
を制し、都倉は忠志の過去を調べて欲しい、僕はもう一つやらなければいけないことが
あるという。
由希子が調べた結果、別の真相があった。建設業者から賄賂を受け取っていた安藤の父
を忠志が内部告発をし、安藤の父親はそれを苦に自殺していた。安藤は父親の敵を討と
うとしていたのだった!さらにその思いは21年間たった今でも変わっていないのだ。
…カッパを着た男が忠志の病室に侵入する。殺気立った男の目。安藤だ。だが、思いが
けず忠志はいなかった。代わりにいたのは都倉。安藤の行動を察知した都倉は忠志を別
の部屋に移動させていたのだ。興奮した安藤は注射器を都倉の頬につきつけ、忠志の居
所を問い詰める。「あいつを覚醒させたところでお前の役目は終わったんだよ!…やっ
と親父の恨みを晴らせるときが来たのにどうして邪魔するんだ」と鬼気迫る安藤に対し
ても都倉は冷静に「寂しくないか?あなたの人生はどこへ行ったんだ」と話し掛ける。
「偉そうな口叩くな!」と今にも注射する勢いの安藤に銃口が向けられる。…由希子だ
った。
「あなたは都倉先生と私から母親を奪い、父から21年の時間を奪ったのよ。それでもま
だ満足できないの?」と3人は対峙して───。
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