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Passion~情熱の系譜 女優 松雪泰子~揺れる女性を演じた透明な存在感  もっと深い領域にある感覚を表現したかった  直木賞作家・藤田宜永の同名小説を原作とするこの作品で、新生児誘拐犯という  過去をもつ女性、愛子を演じた松雪泰子。自分が誘拐した男の子と知らずに17歳  の真人(柄本佑)と再会し、親子とも男女ともつかない愛情をきずいていく愛子  役は、微妙なバランスと不安定さが必要とされる難役だ。  「罪を犯し、ただ生を重ねるために生きるしかなかった愛子が、真人と深い愛情   を確認しあったとき、一瞬で癒され、変わっていく。互いを無条件に受け入れ   られる出会いが一度でもあると、人は生きていけるんだなと感じました」  「愛子は情熱的で思いが強すぎるゆえに、素直に思いを表現すれば自分でもコン   トロールがきかなくなってしまう。彼女自身それを恐れるゆえ心を閉じてしま   い、誰も受け入れられない。だから、あらゆることに敏感で繊細。そんな女性   がどう変化していくのかを、丁寧に表現できたらいいなと思いました」  真人との微妙な関係を演じるのは、霞をつかむような作業だったという。すべて  のシーンにおいて、割り切れる感情というのがひとつもない。たとえば、女とし  て彼を見ているのか、母性的な思いが芽生えているのか--自分でもうまく認識で  きないところで物事がどんどん進んでいくという感覚だ。  「今このシーンで、彼と会っているときに愛子はどういう感情なのかと、答えを   出さずに表現していくというのを積み重ねていった気がする。母性愛でもない   し、男女の愛でもない、なにということではない、でいいんだと思って演じて   いました。そこに明確なものを持たせると、逆に嘘っぽくなっていく。もっと   深い領域にある感覚を表現したかったので」  日々、「手放していく」ことを意識しています  繊細な気持ちを撮影中ずっとキープするのも大変といえば大変だったが、そのあ  たりは暖かく見守ってくれる監督や共演者、スタッフに支えられたという。若松  節朗監督とは、シーンごとに互いのプランを確認しながら作業を進めていった。  「監督とは、多くを語らなくてもお互いの方向性があまりぶれなかったですね。   とても信頼して撮影を進めることができました」と、松雪は話す。ポスターな   どで使われている海に浮かぶシーンも彼女の提案だ。  「ある出来事の後、愛子が波立つ気持ちをクールダウンさせるシーンを入れたい   ね、と監督と話したんです。そこで私が、精神的にも肉体的にもほてりをさま   すという意味で、夜の海に浮かんで月光を浴びるシーンを入れたいと提案した   。海には浄化作用があるし、月も女性にとってはそういう作用がありますよね」  実はインタビュー前、挨拶をかわした松雪の表情に同じ女性でありながら一瞬く  らっとさせられた。きゃしゃな体から発せられるたおやかな色香、である。透明  感のある女性として彼女に憧れをもつ人は多いが、それを保つよう意識している  のだろうか。  「意識はしていますね。心身ともに循環してクリアでいる状態をつくりたいので   、日々デトックス(解毒)することを心がけている。最低でも週に3回はワー   クアウトに行って、あとはヨガをやったり、バレエをやったり、歌の練習をし   たり。マッサージを受けて癒されるのではなく、自分でストレッチをしたり、   食事に気をつけたりと、毎日の生活で続けられることを中心にしています」  松雪がいう「循環」は、体を使って新しいことを次々と表現していく女優にとっ  て非常に大切なことだろう。それでも忙しいスケジュールの中、フレッシュな感  覚を失わずにいるのは意外にむずかしい。  「いらないものをためこまないように、日々、『手放していく』ことを意識して   います。あとは、今この瞬間に意識をシフトすることかな。だから過去にもと   らわれないし、未来にも意識がいかない。とにかく、何かにとらわれて自分自   身をがんじがらめにしないことが大切だと思う」  「ハンディがあって、生きる道を模索していて、なにかをきっかけに変化してい   くキャラクター」に引かれることが多いと話す松雪。次回は、どんな彼女に出   会えるだろうか。 ストーリー 直木賞作家・藤田宜永の同名小説を映画化した作品。新生児の頃に誘 拐された体験を持つ17歳の少年、真人(柄本佑)。裕福な家庭で、物質的には何不 自由ない生活を送る彼だったが、精神的に満たされないものを感じていた。そんな なか、かつて自分を誘拐した犯人の女性が沖縄に住んでいることを知り、彼の地へ と旅立つ。素性を隠し、その女性、愛子(松雪泰子)に近づく真人。交流をもつう ちに、2人の間に微妙な感情が芽生え始める…。 大橋 希(おおはし のぞみ) 1970年東京生まれ。1992年東京大学文学部卒業。フォーブス日本版編集部を経て、 現在、ニューズウィーク日本版編集部在籍。翻訳・編集のほか、家族、教育、社会 問題の取材・執筆を行っている。近著に『セックスレスキュー』(新潮社刊)があ る。 http://www.nikkeibp.co.jp/style/life/person/passion/070111_matsuyuki/index.html