歴史とフィクションを組み合わせ、ダイナミックなストーリーと痛快なヒーローを次々
と生み出し、いまやひとつのジャンルとなった、劇団☆新感線のいのうえ歌舞伎。今度
は初めて、小説を原作にするという。時代小説の傑作と熱烈なファンも多い、隆慶一郎
の「吉原御免状」だ。主人公の誠一郎を演じる堤真一と、プライベートでは大の仲良し
、今作では最強の敵である義仙役の古田新太が、新たな挑戦の入り口で語り合った。
──原作は、かなりファンの多い小説ですね。
堤「だから原作モノをやるのは嫌なんだよ(笑)。読んだ人はみんな違うイメージを
持ってるでしょ。」
古田「そうそうそう。当然、今回も原作の誠一郎ファンから『えーっ、堤真一じゃ
ない!』ってダメ出しが入る(笑)。オイラがやる義仙も、本来はもっとゴツ
イ人だろうしね。」
堤「まぁ、でも、舞台だからね。映像だったら妙にリアリティを追求されたりする
けど、舞台は嘘つきですから。大体、リアリティで言ったら、誠一郎って25歳
ぐらいでしょ。それを40歳のオレがやるわけだから。」
古田「それを言い出したら…(笑)。」
──今のお話をうかがっていてもわかりますが、おふたりはとても仲良しですよね。
堤「普段わざわざ連絡とって会うってことはないですけど。」
古田「会えば飲む。お互いの公演を観に行ってね。」
堤「このあいだ、オレが観に行ったときは、次の日が仕事で早いから、夜観に行く
と飲まなければいけない状況になるんで、昼公演を観に行きました。」
古田「その前にオイラがツッツンのを観に行ったときは、腰痛だったんで帰ったよ
ね…じゃあ、飲んでもいないか(笑)。」
──では、せっかくですから今日、お互いについて話をしていただきたいんですが。
堤さんからご覧になった古田さん、古田さんからご覧になった堤さんを。
堤「オレはなんか、古田といるとあんま余計なことしなくていいんで、そういうと
ころがいいです。ふたりでなにかやれば絶対おもしろい作品に出来ると思える
。台本もない段階で偉そうですけど。だから『おもしろいものにしてやる』と
いう気になりますよね。」
古田「僕ら、意外にも前向きですから。共通点は、自分のことより、その作品をな
んとか良くしようっていう考え方をするところなんで。芝居が終わった後に
「私どうだった?」と聞く人ではない。
堤「作品の出来を差し置いて『オレいいだろ?』『私よかったでしょ?』って人、
多いですからね。……あ、でもオレ、古田に1回聞いたことがあったな、『オレ
どうやった?』って(笑)。」
古田「あった。それで『まあまあ』って答えたんだ(笑)。でも終わったあとの感想
だけじゃなくてね、基本的な姿勢みたいなものが信用できる。最初に共演し
たのがNODA・MAPの『キル』だったんですけど、ツッツンが真ん中に立ってて
、オイラがサイドに立ってて、非常に安心していられたのを覚えてる。自分
しか観てないような人の横にいると、『お客さんのためにも、これは(作品全
体を)どうにかしなくては』って思っちゃうんですけどね。」
堤「オレ、態度いいもん(笑)。」
古田「だから新感線も誘ったし。」
堤「なかなか出してくれなかったけどね。『出たい』といったら『ダメ』って。『
まだ早い』と言われました。オレが無茶苦茶やるのがわかってたから(体力的に
)潰されるだろうって、愛情持っていってくれたんやと思うけどね。そういうの
も含めて、すごく信用出来る。」
──おふたりの共演以外にも、今回のキャストは楽しみな顔ぶれが揃っていますが。
堤「そうえば、まっちゃん(松雪泰子)にこの間会ったら、新感線に出ることをすご
く喜んでたよ。」
古田「松雪さん、いいよね。オイラ、初めてなんだけど、きっとハマると思うな。
(京野)ことみちゃんは新感線・いのうえ作品という形では初参加になるか。
でも打ち上げとか飲みの席にはしょっちゅういるから、初めてという気はし
ないな。」
堤「そうだよね、オレもよく見かけるもん(笑)。」
古田「あと(梶原)善ちゃん、おひょいさん(藤村俊二)は新感線経験者だから安心だ
し。」
堤「オレ、(高田)聖子ちゃんと初めてなんだ。」
古田「あの人はおもしろいよー。」
堤「おもしろいよ。大好きだもん。観てていつも「この人、芸人さんみたい」と思
う、おもしろくて。」
──では最後に、稽古もこれからということで、演出のいのうえひでのりさんに希
望があれば。
堤「特にない。というか、今回はオレ、あんまり動かなくていいと聞いてるから。
『そんなに殺陣はないから』って。」
古田「お互いに、そこは切実だよね。でもフタを開けてみないとわかんないよ、新
感線は(笑)。」
文:徳永京子 撮影:源賀津己
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