肥後、熊本の奥深い山中、あの剣豪、宮本武蔵に育てられた若者が
いる。名を松永誠一郎(堤 真一)。
亡き師、武蔵の遺言に従い山を下り、江戸最大の遊郭・吉原へと赴
くは、時に明暦三年八月十四日。
「ここは極楽だよ。そして地獄かな───」謎の老人・幻斎(藤村
俊二)が、謎の言葉で誠一郎を迎えた、その時。吉原を不穏な殺気
が取り巻いた。
次々と襲いかかる秘密組織「裏柳生」の総帥・柳生義仙(古田新太
)。それに抗し、誠一郎の助太刀を買って出る旗本・水野十郎左衛
門(梶原 善)。
血で血を洗う暗闘の中、戦いの理由を問う誠一郎に、義仙が言う。
「神君御免状はどこだ?」
将軍家剣術指南役、天下の柳生が何故吉原を襲うのか。義仙が狙う
「神君御免状」とは何か。吉原誕生に隠された大いなる謎を追うう
ちに、誠一郎は己自身の出生の秘密を知ることになる───
そして吉原きっての美しさ、名太夫、勝山(松雪泰子)と高尾(京
野ことみ)。ふたつの切ない恋心が、誠一郎に寄せる熱い情けの奥
底に、揺れるおんなたちの哀しみとは……。