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--- 時代小説界の寵児 隆 慶一郎のデビュー作『吉原御免状』舞台化に際して 今回この『吉原御免状』の企画が持ち上がったのは前田三郎氏の一言からでした。ある 日、おっしゃったのが“新感線で隆慶一郎さんの原作をやってみるのはどうか?『吉原 御免状』はどうだ?”。この一言で、私たちは未だかつて新感線が取り組んだことのな い小説が原作であるというものに興味をひかれました。活劇にこだわって、芝居を作っ てきていた私たちが、時代活劇の小説を原作に芝居を作っていくというのは簡単に思わ れそうですが、原作という逸しがたい物語性をいかに表現しうるかということに、オリ ジナルとの取り組みには決してない困難と向き合うことになるのです。原作の意図する ものを汲み取りつつも、演劇としての表現を生かす為に、どう舞台化の脚本を組み立て ていくべきなのか?脚本の中島かずきの思いと原作者側の思いを、企画の前田氏、新潮 社の池田雅延氏のお力をお借りしてようやく成立させることができました。 --- 謎が渦巻く江戸・吉原の世界に堤真一・松雪泰子・古田新太らが足を踏み入れる この新たな私たちの挑戦には、2001年の『野獣郎見参』で主役の野獣郎を演じていただ いた堤真一さんが不可欠でした。松永誠一郎という澄んだ心の腕の立つ男をイメージし た時、今考えられるイメージとして作家・演出家・制作の全員一致で堤真一さん以外に ありえまいということになりました。この堤さんの松永誠一郎を中心に私たちの『吉原 御免状』を膨らませてまいりました。 不思議な雰囲気を醸し出しつつこの物語の芯を語る吉原の重鎮・幻斎に藤村俊二さん( 01年『大江戸ロケット』にご出演)、松永誠一郎との友情を深める旗本・水野十郎左衛 門に梶原善さん(04年『髑髏城の七人~アカドクロ』にご出演)を迎えます。また、吉 原の里という華やかな遊郭の花魁でもあり松永誠一郎をめぐる運命の女として描かれる 勝山太夫に松雪泰子さん、もう一人の運命の女・高尾太夫を京野ことみさんという、新 感線初登場のお二人が演じます。 また、脇を固める新感線の看板役者・古田新太は松永誠一郎を付狙う裏柳生の柳生義仙 を、その兄で誠一郎と柳生家の間で苦悩する公儀隠密柳生宗冬を橋本じゅんが、裏柳生 の義仙の配下で誠一郎を狙う狭川新左衛門を粟根まことが、吉原の里を語る熊野比丘尼 の総帥・八百比丘尼を高田聖子が演じ、ほかに新感線のメンバーがこの我々の『吉原御 免状』を構成していきます。中島かずきの脚色のもと、私たちの『吉原御免状』のイメ ージは地固めが出来ました。そして、演出のいのうえがさらに生の役者で膨らませてい きます。私たちの『吉原御免状』が皆様に気に入っていただければ幸いです。 最後に、原作のご承諾をいただきました故・隆先生とご家族に感謝いたします。