永作博美さんx寺島しのぶさんx羽田美智子さんx高島礼子さん主演の4人による
スペシャル対談
Q:ご自身キャラクターをどのように捉えていらっしゃいますか?
永作:私が演じる詩文は、高校時代から人と距離を置いてひとりでいることが多
かったんです。なので、みんなと集まって言いたい放題言い合うようなシ
ーンでも、その距離感がぶれないことがいちばん大切ですね。
高島:ネリは、常に仕事中心で患者さんと自分のことしか考えていないので、人
の中にいてもあまり他人の話を聞いていないですし(笑)、仕事にも自信
を持っていて、しっかりしすぎているので、頑固で柔軟性に欠ける部分が
あると思います。
寺島:満希子は、人のために何かをやっているということが楽しくて、そのため
に生きている人間。自分のことよりも人のことでいろいろやって一日が過
ぎてしまうという、すごく忙しい役です。
羽田:美波は先に死んでしまうので、天上からみんなの生き様を見て、女って可
愛い生き物だなって愛おしさを感じています。そこまで達観できたのは、
平凡に生きるはずだったけれど、最後に愛を見つけて、愛のために死んで
いくという、究極の女性の幸せを選んだからなのかな。そんな美波の強さ
を出せればいいなと思っています。
Q:ここまでで、印象的なセリフやシーンがあったら教えてください。
高島:「患者のために精一杯やってきた。恨まれるようなミスをしたこともない
し、医者として恥じるようなことはないのに、医療ミスなんか疑われたら
耐えられない」というセリフを英児に言うシーンがあったのですが、その
言葉が彼女の全てを現しているような気がします。それが医者としてのネ
リのプライドであり、人生だったのかなって。
永作:私が印象的だったのは、「その日暮らしでいいわ」っていうセリフ。もち
ろん将来を考えてお金も貯めなきゃいけないし、娘のことも考えなくちゃ
いけない。考えることはいっぱいあるんですけど、「まぁいいや」って、
それも開き直りではなく言っている感じが、私自身には真似できないな…
…と思った反面、そんな詩文には共感できるなぁって思いましたね。
羽田:私はナレーションで毎回「これ、どういう意味かしら?」って考えさせら
れるんです。若くして死んでしまって、世間では不幸な事故と思われてい
るのに、「ごめんなさいね、誰よりも幸せになってしまって」って誇らし
げに勝ち誇っているのは、「生きているうちは何もないよりドラマチック
な恋があった方がいいじゃない」っていうことを言いたかったのかなぁ…
…とか。平凡に生きることが決して悪いことではないけれど、自分のオリ
ジナルの人生を生きることが最終目的だとしたら、美波はそこに自分は到
達した思いがあるのかなって。最終的に自分の初恋だった人と結ばれて死
んでいく、家族を捨てても、それで自分が幸せだったと言い切れるのって
、すごいなと思いますね。私の中にそういう強さがあるかなと言われれば
、ちょっと微妙ですけれどね。
寺島:自分のセリフというよりも、満希子がほかの人の言葉にすごく敏感に反応
しているのが印象的ですね。結局自分に置きかえたときにそこには何もな
いんですよ。さっきの詩文のセリフに対しても、満希子は「その日暮らし
なんてできないわよ」って思うし、ネリに対してもお医者さんとしてのス
テータスがなにもかもうらやましくて仕方がない。もちろん真似したくて
もできない。人の言葉に敏感に反応して興味を持つけれど、いま自分がい
る場所でしか生きられない、主婦として必死に生きている満希子が愛おし
いなと思います。でも、そんな満希子も、美波の死とともに何かが動きだ
すんですよね。
Q:このドラマのどんな部分に、面白さを感じていますか?
羽田:私は美波を演じていますが、4人全員に共感できるんです。満希子の部分
もあるし、詩文の部分も、ネリの部分もあるから、いろんな人に感情移入
してしまって。なんだか女性の縮図がここにあるような感じがしますね。
高島:みんなそれぞれにテーマが決まっているんですよ。ネリは仕事、詩文は自
由奔放、満希子は家族、美波は愛。その嘘と真実が描かれていくところが
面白いですよね。
永作:みなさんそれぞれ、どの要素も持っていますよね。自分がどの人に近いか
って考えてみても、全員の要素を持っているから、この人って決められな
い。でも、どの人とも思えない(笑)。台本で読むのと、実際に演じてみ
た印象も全然違うんです。みんなよくあんなに言い分があるなぁって思う
し(笑)、ただそれだけ聞いているとものすごく強く感じるんですけど、
全員が同じレベルで言っていると、普通の言葉に聞こえてくるから不思議
です。言いたい放題言ってすっきりして、なんだかんだで集まっている3
人が、なんだか滑稽だなと思いますし、それも人間の縮図なのかもしれな
いですね。
羽田:誰にも共感できるし、誰の欠落部分も目に留まるんですよね。でも完璧な
人間なんていないし、ドラマを観ている方たちにも「自分は誰に近い人生
を生きているんだろう?」っていう目線で観てもらえるんじゃないかな。
その共感部分を探しながら観ると、すごく楽しめると思います。
寺島:大石さんの脚本が面白くて、絶妙なセリフが多いんですよ。よくよく考え
ると、「これって、ちょっと軽いホラーかも」って思うような、ゾッとす
るようなことを言っていたりする、そこがこのドラマの楽しいところです
ね。
永作:そこは言っちゃいけない境界線だろうっていうのが多いですよね(笑)。
寺島:普通に「あんたは人を傷つけてきたからダメなのよ」って指をさして言う
んですよ(笑)。ト書きにそう書いてあるんです。さりげなく言っている
ことでも、みなさんが観終わった後、夜中とかに「あっ、あのセリフって
?」って思い出してくれれば、うれしいですね。ほんと、このドラマ怖い
なぁって思いますもん。
永作:台本読むのが怖いですよね。次はどんなことが書かれているんだろうって。
羽田:怖いけど面白い。なんて言うんでしょう、「あるなぁ」とか「わかる、わ
かる」って。
高島:私は、詩文のことを「この人は転びそうで転ばない」って言っている美波
のナレーションが、すごくおかしかった(笑)。「わかる、わかる」って
。なんかこの人得しているって思っちゃうのね。
寺島:意外と美波さんがいちばん言ってますからね(笑)。
羽田:美波は死んでしまっているから怖いものないんですよ。死んでいるからこ
そ、誰よりも本音を語れるっていう部分もあるのかな。
高島:最後に「私は死にたくなかった」っていってくれれば救われるけど(笑)
。確かに、いちばん正直なのは美波かもしれないですね。
羽田:よくも悪くも天上から全部見えていますからね。嘘も秘密も心の中に抱え
ている闇みたいなものも。美波のナレーションで、「みんなこれでいいと
思って生きている、これではいけないと思って逃げている」というのがあ
ったんですけど、このセリフにすべて集約されていると思うんです。確か
に、これでいいと思わなかったら生きていけない、だけど、核心には入り
切れない。入ってしまったら今の生活を壊すことになってしまう。だから
、逃げているんだって。
Q:ご自身の立場から、同世代として感じることは?
羽田:40代ってそれぞれの人生でのいろいろな経験を積んで、武器をたくさん持
っていると思うんです。色鉛筆で言えば、20代、30代のときは12色とか24
色だったのが、36色、48色といろいろな色が増えていく世代。それだけ、
選択肢も多い。周りを見ても魅力的な40代の方がいっぱいいますし、やっ
ぱりこの世代って“活きがいい”と思うんです。まだまだ若いですし。そ
れに、これだけ違う生き方の女性を演じていても、どこか共通点がある。
昔は敵対関係にあって今もどこか嫌いだったりするんだけど、会えば良く
も悪くも通じ合って盛り上がる……とかね。そういう裏腹な感じだから、
喧嘩しながらも仲間なのかなって。この世代、すごく面白いと思います。
永作:40代の方にお話を伺うと、「40代は面白い」ってみなさんおっしゃいます
ね。目の輝きを見ていてもそうなんだろうなって。きっといろいろなこと
から自由になるんでしょうね。もちろん色も増えているけど、必要のない
色は省くこともできている年齢だと思うんです。身を軽くすることも重く
することもできる、生き方によってだいぶ差が出るところでもあるんでし
ょうが……。面白い年齢なんだろうなって私も期待しています。
高島:私だけ40歳を超えているんですけど(笑)、今回印象的なのが、永作さん
と寺島さんが41歳を演じるということで、劇中でかなり地味な服を着られ
ているんです。「30代にとって40代ってそういう風に見えるんだ!」って
思うと、面白かったですね。
永作:私は貧乏な役なので、服もあまり持っていないという設定なんです(笑)。
高島:確かに、40歳くらいになると楽しい。身体にもガタが来たりはするんです
けど、45歳を過ぎた先輩から「まだまだ若いわよ。これから老眼、更年期
といろんなことが待ち構えているんだから」って言われて。これからいろ
いろあるんだって思うと、細かいことをひとつひとつ真剣に受け取ってい
たら生きていけないんですよ。だから「ま、いっか」って開き直っちゃう
というか。現場でも汗かくと「エストロゲンが足りないのかしら?」って
ね。
永作:素直に何かのせいにもできるってことですね(笑)。現実に抵抗もしない
みたいな。
高島:そうそう、すべて受け入れながら「OK、OK」みたいなね(笑)。
Q:それぞれの役はどんな嘘をついていると思いますか?
高島:嘘というよりは、気づいていないけど実は……みたいな感じがしますね。
ネリで言うと、仕事は充実しているけど、恋愛関係では満たされていない
。自分では全然そんなことを気にしていないつもりでいたけど、本当は興
味があるのに気づいていないだけなんですよ。本当の自分が分かっていな
い。40歳過ぎて本当の自分を探すのも変な感じですけど。
永作:言い方を変えれば、強がりを言っているような部分もありますね。どれを
とっても嘘にも聞こえるし、どれをとっても心から言っていることにも聞
こえるし。
高島:言葉では嘘をついていないんですよ。詩文の「その日暮らしでいいや」っ
てセリフがまさにそう。嘘をついているようには見えないし、さすが恐れ
入りましたって納得しちゃった。
永作:ある程度のハッタリもないと生きていけないですよね。それを嘘ととるか
どうか……。「そういう風にしか生きられないんだからしょうがない」っ
て、気づいてしまうんだろうな。難しいですけれど、何かしらの嘘をつい
ているとは思います。でないと生きていけないですから。
寺島:満希子の場合は、きっとベールで自分を覆ったんでしょうね。アナウンサ
ー志望だった人間が挫折して、結婚してからは旦那のため子供のために働
いて、そのうちそれが楽しみになったけど、「あなた幸せなの?」って聞
かれたら、口では「幸せよ」って言っているんだけど、きっとどこかで「
どうなのかな?」って疑問に思う部分もある。だけど、こうせざるを得な
いというか、それこそ自分自身に対してのハッタリですよ。それが自分に
対しての嘘なのか、人に対しての嘘なのかは、取り方によるのかなと思い
ます。
Q:最後に、ドラマをご覧になっているみなさまへのメッセージをお願いします。
永作:大石さんの脚本が本当に面白いし、普段言ってはいけないようなセリフが
たくさん出てくるので、このドラマを観て、すっきりしていただければと
思います。
高島:世代を超えてたくさんの方に観ていただきたいですね。いつか「こんなド
ラマあったよね」って思い出すような、記憶に残るドラマだと思うんです
。いまはわからないことでも、この年代に達したときに必ず思い出します
。そして、同級生で集まるときには「四つの嘘しない?」って言ってもら
えるような流行り言葉にしたいですね(笑)。
羽田:いいですね、それ。私は視聴者のみなさんと同じ目線で楽しめる立場にい
るので、出演者のひとりでもあるんですけど、一ファンとして、このドラ
マにハマっているんです。本当に面白い、本音のドラマです。嘘の中に真
実があると思うので、そういう目線で見てもらえたらうれしいです。特に
大人の女性に見ていただきたいですね。
寺島:傷口に塩を塗っているようなドラマだと思うので、どのシーンが……とか
どのセリフが……というのではなくて、「なんか気になるんだよね、あの
ドラマって」っていう風に思ってもらえたらいいなって思います。
永作:このドラマで、「私、やっぱり嘘ついてるかも…」って気づいちゃうかも
しれないですね(笑)。
http://www.tv-asahi.co.jp/4lies/sp_taidan/01.html
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