石原光子役 高島礼子 インタビュー
4世代の子どもたちの母を演じました
このお話を最初に頂いた時は、もう単純に嬉しかったです。石原裕次郎さん
と石原慎太郎さんの母、どうやってあんなお子さんたちを育てられたのか、興味
津々でした。
私が演じたのは、27歳から60歳まで。苦労なんてなかったですね。現場にい
るうちに、だんだん彼女に入っていきました。子供たちが4世代にわたって代わ
っていますでしょ。勝手に私の目の前で子供が大きく成長してくれる。その子た
ちの母なんだと、その時の気分でやっていけばいい。だから楽でした。一人の人
生を何十年にわたって演じられるのは、役者冥利につきます。役者として癖にな
る楽しさです。
(夫役の渡さんは?)やはり緊張します。私が新人の頃、現代劇での初仕事
でご一緒させて頂いた方。私の緊張を無くそうと声を掛けて下さった、その渡さ
んと夫婦役です。役になることで渡さんに返したいと、緊張してる場合じゃなか
ったですね。
潔さんは、女性が惚れる男。光子さんは何よりも潔さんを愛していたと思い
ます。日本の家庭ですと子供中心が多いと思いますが、光子さんは子供よりも潔
さんが一番。それが逆に子供たちにいい影響を与えたんじゃないでしょうか?私
もまず潔さん、という気持ちで演じました。実力、人間性、男らしさ、女性から
見てとても魅力的。人生掛けていい男性だと思います。
子どもたちで印象的だったシーンは?
一代目の子たちは、家族写真の撮影の時ですね。小さいキャピキャピしそう
な子たちですけど、カメラが撮り始めるとじっとして私たちの子供になっている
。本当の家族のあったかい雰囲気で、“石原家”になっている。不思議な気分で
した。
二代目の子供たちが、一番長い付き合いになりました。だんだん成長し、冬
の小樽から最後の初夏の小樽までで10cmくらい大きくなりました。ある意味一番
印象的。子役と呼べない位、気力、体力、精神力を使ったでしょう。怪我、ケン
カ、泥、そして叩かれて……。慎太郎さんと裕次郎さんの性格がはっきりしてき
た世代の、波乱万丈なシーンの数々を見事に演じていました。
一番心に残っているのは、雨の中遅く帰ってきた兄弟を潔が叱り、慎太郎を
思い切り叩いたところですね。父の愛情の一叩き。いいですよ、このシーン。叩
かれた慎太郎が目をウルウルさせて、でも泣かない。じっと父を見ながら弟を庇
う兄。それを黙って見ている母の光子。これぞ石原家なんだと、家族が一つにな
ったシーンです。
三代目の兄弟では、裕次郎が飛行機作りに凝り学業をおろそかにしていたシ
ーンですね。それを慎太郎が父に告げ口し、潔さんが飛行機を燃やしてしまう。
光子は兄がしたことに気づき叱りつける。その時、慎太郎がなんとも言えない表
情をしたんです。成長した子と母の闘いですね。子どもの変化に、母としてぞっ
としました。
四代目は長瀬さんと徳重さん。長瀬さんは元々明るくて、現場を賑やかにし
てくれる楽しい方です。でも芝居となると、キリッと変わる。恐るべし長瀬(笑
)。長瀬さんと徳重さんも会うたびに成長していました。私の知らない家の外で
大きくなっているようで、シーンの合間の人生が入っている。母としては楽しみ
であり悲しみでもありました。徳重さんは、まだ怖いもの知らず。生意気っぽい
ところもあれば、思いやりをふと見せたり。掴みきれないところが興味深いです。
慎太郎さんと裕次郎さんが、あれほど魅力的に育った石原家という家族。潔
さんと光子さんが、子供たちの個性を見抜きそれを殺すことなく育てあげられた
。光子さんは、自分の趣味もしっかり持ち、だんなさまを愛した。潔さんは、家
族一人一人をこよなく愛し、立派に家族を守った。理想的な家族、素晴らしいと
いう印象しかありません。でも、そこに行き着くまでには、いろいろな苦労や闘
いがあったんですね。自分が光子さんを演じてみて、色々な意味で完成された家
族だなと思いました。
スタッフとキャストが一体だった撮影現場
若松監督との仕事は初めてです。俳優の皆さんの人気が高い監督ですから、
一度是非お仕事をさせて頂きたかった。実際に現場に入ると、やりやすいという
かやりにくいというか……。役者をとても信じてくれるので、それがプレッシャ
ーであり、心地いい。期待に応えなくちゃ、という気持ちが湧いてきます。これ
が人気の秘訣なのかと実感しました。監督って、世間話のように役の話をするん
です。その中で、監督が求めている光子像を語られる。そして「まずはやってく
ださい」という雰囲気。あとは監督の中のバランスで、ここは抑えてとか、強く
とか、言われます。
撮影は、まずセットがすごかった。例えば逗子の石原家のセット。家の中に
は時代考証を重ねた家具がいっぱい。庭には本物の芝が敷かれ、どこから見ても
OKという状態です。テレビドラマであれほどのセットは、なかなかないです。
ロケもいろいろ行いましたが、やはり小樽での撮影は石原家の気持ちが伝わって
きました。
若松監督をはじめとするスタッフ、キャストの皆さんの作品にかける気持ち
が一体になって、現場全体の雰囲気が心地いいですね。現場をまとめる渡さんの
オーラも感じます。無理せず、受け入れ体制が万全、演じる上で最高の条件を整
えてくれる現場でした。
素敵なだんなさまに恵まれ、すばらしい子供たちと幸せな4ヵ月間でした。」
http://www.tv-asahi.co.jp/otouto/13_interview/index.html