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http://www.excite.co.jp/music/report/0910_misia 今年7月にスタートしたツアー【星空のライヴV Just Ballade】。“星空のライヴ” (以下、星空)は2001年に、1夜限りのスペシャルライヴとして行われたのが始まり。 そのすばらしさがネットなどで話題となり、シリーズ化したもの。それが今回で5回目 を数えるまでになった。  今回のサブタイトルは“Just Ballade”。日本のみならず、アジアをはじめとする各 国でバラード歌姫として評価の高いMISIAならではのツアーといえよう。そんなライヴ に期待しないわけにはいかない。都内では年内最後になるライヴに、駆けつけた。 会 場となったJCB HALLはオペラシアターのような構造が印象的なホールで、歌声にじっく り耳を傾けるのにぴったり。週末に少しドレスアップした紳士淑女たちの静かな期待が 渦巻く中、流麗なフルートと柔らかなアコースティックギターの音色でライヴは始まっ た。始まりを告げた「少しずつ 大切に」での、少し優しくなった秋の陽射しのように 柔らかな歌声に驚かされた。盛夏の河口湖でのライヴで同曲を聴いたときは、爽やかな 夏の太陽と吹き抜ける風を連想した。落ち着きを取り戻した季節のように、歌声からも 季節の変化を感じることになろうとは…。  続いてはがらりと変わり、ドラマチックなピアノが印象的なナンバーに。ソウルフル でジャジーなアレンジに乗せ、誰かを愛する女性の一途な胸の内を、体全体を使って情 感豊かに歌い、オーディエンスを圧倒。大歓声と拍手が沸き起こった。   3曲目が終わると、MISIAは深々と頭を下げ、「ようこそいらっしゃいました」と挨拶 。「最高の夜にしましょう!」と語りかけた後、早速サプライズが(!)。「12月16日 に、9枚目のアルバム『Just Ballade』をリリースします。今、感じていることをギュ ッと詰めたアルバムです」。そう言った後、早速アルバムからの新曲「僕の気持ち」を 披露。「さぁ、皆さんも体をスィングさせてみて」と、微笑みながら体を左右に揺らす MISIA。明るいウォークテンポのナンバーに会場が一つに溶けてまとまったような気が した。   こんな風に観客とバンド、そしてMISIAの距離感が近いのも “星空”の楽しさ。全 編生バンドによるグルーヴ感だからこその、奇跡的な瞬間を体感できる。派手な演出や ダンスパフォーマンスはないが、一体感のある空間は、シンガー・MISIAの魅力をダイ レクトに感じられる。  それを強く感じたのは、後半の「地平線の向こう側へ」の時。静かに語るように始ま った歌は、次第にヒートアップするバンドサウンドとシンクロするように熱を帯び、ラ ストで爆発。MISIAが魂の歌い手であるのだと改めて知り、思わず肌が粟立った。   その後も、ピアノのみをバックにした繊細な「そばにいて…」や、ゆったりと、切な く、大人っぽく歌った「To Be In Love」など、楽曲群はオリジナルとはまた違った光 を放っていた。   ファンタジックでどこか夢見るようなステージに魅せられ、あっという間にラストへ 。バラードという制限の中で、人を惹き付け続けることは決して容易ではない。だから こそ、MISIAというアーティストは挑んでいるのだろう。これからは、“星空”がかつ て経験したことがない冬がやってくる。新しい季節の中で、彼女の歌声がどう変わり、 進化してゆくのか。 また、追加として発表された来年2月の【星空のライヴV Just Ballade ~MISIA with星 空のオーケストラ2010~】でオーケストラと競演する大阪城ホール/横浜アリーナでは どんな世界で魅せてくれるのか、ますます楽しみになった夜だった。 取材・文/橘川有子 -- ※ 發信站: 批踢踢實業坊(ptt.cc) ◆ From: 118.233.136.50