http://music.emtg.jp/pickUp/20140103410c6f798
天国に響け!日本語ビート
先日、武道館にMISIAのライブを観に行った。その際、ドラムの最初のフレーズを聴
いたとき、「あ、青純(青山純さんのニックネーム)がいるな」と直感した。青山さん
は初期からMISIAを支えてきたドラマーなのだが、体調を崩したこともあって最近は
FUYUがMISIAのドラムを担当。この日もFUYUが叩いていたのだが、僕は彼の一瞬のフレ
ーズに“青純”の痕跡を感じた。FUYUはニューヨークで学んだとても優秀なドラマーな
のだが、僕は彼のドラミングにずっと“英語”のニュアンスを感じ続けてきた。それが
武道館の最初の一打に、日本語を感じ、さらにそれが青純ゆずりのものだと悟ったのだ
った。
不思議に思う人がいるかもしれない。が、メロディにも“日本語を呼ぶメロディ”と
、“英語を呼ぶメロディ”があるのと同じで、ビートにも英語ビートと日本語ビートが
ある。青純はもともと山下達郎のリズムセクションで活躍した天才で、今、リスナーが
グルーヴィーなJ-POPを聴けるのはこの人のお陰と言ってもいい。FUYUは青純とツイン
ドラムで叩いたりして、青純の生んだ日本語ビートに間近で触れる機会に恵まれていた
。その成果が、この日の武道館に表われたのだった。
僕はその“継承”が嬉しかった。ところがその後、僕はもっと驚かされることになる
。うかつにも僕は、青山さんが昨年12月に亡くなったことを知らなかった。なので
MISIAがMCで哀悼の辞を述べたとき、言葉を失った。同時に、FUYUとMISIAに青純のビー
トが確かに息づいていることに感動した。
英語の音は“ひとつながり”でビートを形成することができるが、日本語は音のひと
つひとつがバラバラに離れている。なので、“日本語ドラマー”は一打にビートを込め
る。青山さんは一打にビートを宿すことのできる稀有のドラマーだった。そのため、僕
が見学させてもらった、あるレコーディングでは、1拍ずれたまま最後まで叩いてしま
うという珍事を目撃したことがあった。それでも音楽として成り立っていたのだから、
名人芸と言うしかない(笑)。
そんな青純の最後のプレイは、MISIAの最新シングル『僕はペガサス 君はポラリス
』のカップリング「Jewelry」で聴ける。僕のおススメは、山下達郎の82年のアルバム
『FOR YOU』の1曲目「SPARKLE」だ。どうか天国でも変わらずに、ばりばり青純ビート
で叩いてください。
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