http://music.emtg.jp/special/20170509941f228bd
MISIA、二次元を超え、見事な奥行きとともに三次元の世界を記録した映像作品に
ア-ティストのライブを記録した映像は数多いが、我々の居る三次元の世界が、二次
元へと置き換えられてしまう制約を伴う。しかしア-ティストの見事な創造性が観る者
の想像力を無限にかき立てた場合、その制約を越え、見事な奥行きとともに迫り来る。
これから紹介するMISIAの『THE TOUR OF MISIA LOVE BEBOP all roads lead to you
in YOKOHAMA ARENA Final』は、まさにそんな映像の記録である。
来年のデビュ-20周年を控え、昨年12月から今年の2月まで行われた“THE TOUR OF
MISIA LOVE BEBOP ”は、長い歴史を誇る同名ツア-の最終章となったが、ツア-・タ
イトルにもあるように、昨年1月にリリ-スされた最新アルバム『LOVE BEBOP』を引っ
提げてのものとなった。まず彼女に、このアルバムで意図したことを振り返ってもらっ
た。その際、キ-ワ-ドはまさに“BEBOP”だ。戦後すぐにジャズの世界で生まれた言
葉であり、より自由にミュ-ジシャンが己の感性を響き合わせる場所を獲得するための
“運動”が、この言葉とともに興ったのだった。
MISIA:そもそも私がアルバムを通じて伝えたかったことは、人や文化の多様性を肯定
し合おうというものでした。なのでミュ-ジシャンそれぞれの良さを認める“BEBOP”
の精神は、多様性ということでは通じるところがあるなぁって思ったんです。だったら
この言葉から発展させれば、多様性を認めて共存できる、そんな社会に向けてのメッセ
-ジも描けるのでは…、と、そう考えたんです
このステ-ジは、まずタイトル曲「LOVE BEBOP」で始まる。打ち込みサウンドのダイナ
ミズムに、ステ-ジ上の腕利きミュ-ジシャン達の熱演が融合し、さらにダンサ-達の
肉体が、伝わるリズム
MISIA:LOVE BEBOPという言葉は、この曲を作ったSAKOSHINさんの仮歌が何となく、そ
う聞こえるっということから始まったんですけどね(笑)それで、多様性を歌おうと決
めた時、2015年に全米で同性婚が認められた際に、ホワイトハウスにも掲げられた“
Love is Love”というメッセ-ジを思い出したんです。それで、ここから感じたこと
もメッセージとして歌おうと思いました。でも、あれですね。こうして“Love is Love
”、愛は愛だとか、言葉にすると照れくさいですね。でも一番大切なことだからこそ、
ステ-ジのパフォ-マンスを通じて、何よりもカッコよく表現出来たら、人間の根底に
ある、心のやわらかな部分にも挿せるものになるんじゃないかって考えたんですよ
今回のライブが“THE TOUR OF MISIA”の最終章であるという、そのことが意識された
としたら、どういう場面に於いてだろうか。でも彼女がティ-ンの頃から魅了され、感
性を磨き、夢を抱き、プロとして活躍する礎ともなったクラブ・シ-ンの文化が、アリ
-ナという広大な空間でもアプロ-チを変えず誇らしく響いていることこそが、何より
これまでの活動が一貫したものであったことの証拠なのである。
MISIA:当時は“アンダ-グラウンド”と呼ばれたカルチャ-を、“ぜひメジャ-にし
ていこう!”という想いがあって、それがコンセプトとして大きくまとまったものが“
THE TOUR OF MISIA”でした。もちろん毎回、内容は様々ですが、ライブの冒頭にHIP
HOPメドレ-を置いて、強いビ-トから思いっ切りスタ-トするというのは定番のよう
になっていきましたし、今回もそれは同じです。あと、DJが参加してくれるのも、こ
のツア-だけなんです
さらにBlu-ray&DVDの後半では、ドラァグクイ-ンもステ-ジに立っている。すでに“
THE TOUR OF MISIA1999-2000”において彼らは招かれ、今回、久しぶりの登場だ。当時
、日本におけるアリ-ナ・クラスのコンサ-トで、これほど明確にジェンダ-の多様性
への支持を表明したア-ティストはMISIAだけだった。
それが今回、再び成された時、そこには隔世の感もあったことだろう。今ではいわゆ
るJ-POPの中にもDJが加わったグル-プは珍しくないし、ドラァグクイ-ンにしても
、その存在自体を先端のア-トとして評価される流れは定着した。そしてこれは、“
THE TOUR OF MISIA”が最終章を迎えた理由にも関係があるのだ。
MISIA:当初はそうした目標を掲げつつやり始めましたが、あれから時間も経ちました
し、オ-ディエンスの人達も、当時はアンダ-グラウンドだったものにも、たくさん触
れる機会を得て馴染んだだろうし、だから私たちの願いも、そろそろ大成したんじゃな
かと思ったからなんです。もちろんここで“完結”というわけではないですけど、ひと
つの区切りを迎えたんだな、という感覚はありました。なのでいったん、“THE TOUR
OF MISIA”は終了なんですよ
彼女も言うとおり、これは区切りであり、ここでなにかが完結するのとは違う。
ここで自らを振り返ってもらい、ここまで歌い続けてきた自分の中に起こった変化に
ついて語ってもらった。何より嬉しいのは、来年、20周年を迎えるMISIAというボ-カ
リストを、何より彼女自身が愛しく思っていることだ。愛しく、というか、自分の中の
さらなる可能性を、確かに感じる今日この頃なのだという。
MISIA:今の自分の声が、一番好きですから。今が一番、表現の幅も増えましたし。音
域にしても、下のほうが、より太く出るようになりました。あと下だけでなく、上のほ
うもより太くなったと思います。これならバンドがど-んと来ても、負けずに歌うこと
が出来るというか…。あと、ツア-を続けてきたおかげで、2時間なら2時間、全力を
出し切ってパフォ-マンス出来るようになったんですよ。そうでなくても私のライブは
、いきなり120パ-セントの力でピ-クを迎えて、その後もずっと、100パ-セントを持
続していく気持ちでやってますので、今の自分の声が好きだということと、バンドと一
緒に歌うのが好きだ!という、そんなメンタルの状態でいられることこそが、すごく大
事なんでしょうね
こうした言葉を聞いていると、自ずと未来が拓いていくような気がする。
MISIA:でもそれも、納得出来る音楽を、常に作れていてこそのものでしょうし、私の
場合、ブレ-ンとなってくださる方達にも恵まれてきましたし、何より自分を、全部出
しつつ表現できる場にも恵まれたことが大きいんですけどね。ぜひみなさんに、今の自
分の歌こそを聴いて欲しい、きっと一番いい歌が歌えてると思いますから
最後に、来年の20周年にむけてのコメントをもらうことにしよう。
MISIA:ここまで19年やってきて、さらに20周年に向けて、今年は色々な音楽に触れた
いし、色々なミュ-ジシャンともやりたいし、楽曲も作って、特に最終形を決めず、様
々な“化学反応”を楽しんでみたいなと思ってます。日々をワクワクしたものにしたい
ですよね
今後のことに関しては、7月の“MISIA SUMMER SOUL JAZZ 2017”の日程が発表されて
いて、こちらは“THE TOUR OF MISIA”とも生演奏主体の“星空のライブ”とも違う、
まったくの新機軸となるであろろう。そして様々に、今は構想段階であるものの、様々
なアイデアが生まれつつあるという。
MISIA:いったん“THE TOUR OF MISIA”は終了しますけど、“終わっちゃったな”とい
うより、私はさらに羽ばたこうとしていますし、こうしてやりたかったことが実現して
みると、むしろ今までは、そのことに“縛られていたんだな”という気持ちにもなりま
すから。なのでこれからは、ここに何かを付け加わえるのもヨシ、より自由になるのも
ヨシ、という感じですかね?
まずは今回リリ-スされた『THE TOUR OF MISIA LOVE BEBOP all roads lead to you
in YOKOHAMA ARENA Final』を、じっくり観て楽しむのがいいだろう。
MISIA:収められているのは横浜アリ-ナの最終日ですが、今回のツア-を、別の場所
でご覧になってる方も、“あの日のライブ”を再び観ることにはならないと思うんです
。同じ高揚感であるかもしれないけど、違うものになっているはずです。でも、唯一無
二の“今日という日のライブ”をやるからこそ、毎回違うものになるんでしょうし、こ
れからも、そんなライブを続けていきたいですね
--
https://www.facebook.com/MISIAsupporter
MISIA 情報彙集應援專頁
--
※ 發信站: 批踢踢實業坊(ptt.cc), 來自: 118.233.137.15
※ 文章網址: https://www.ptt.cc/bbs/MISIA/M.1496077662.A.5E0.html