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MISIA 『THE TOUR OF MISIA LOVE BEBOP all roads lead to you』リリース!“THE
TOUR OF MISIA”に込めた思いとは?
来年デビュ-20周年を迎えるMISIAの、19年目こそが見逃せない展開となっている。
最新アルバム『LOVE BEBOP』を引っ提げてのツア-は、2月に横浜で終了したが、その
模様が『THE TOUR OF MISIA LOVE BEBOP all roads lead to you』として、今回
Blu-ray&DVD化された。
なお初回限定版には、敢えて音源だけをREMIX したCD、「THE ELEPHANT MISIA V.S.
KING COBRA」が含まれていて、二度オイシい構成だ。このアイデアは、クラブ・カルチ
ャ-の普及に情熱を注いできた、MISIAならではのものと言えるだろう。
─来年20周年ということですが、ここまで歌い続けてきて、ご自身のなかで変化してき
たことというと?
「まず2時間なら2時間、全力を出し切ってパフォーマンス出来るようになったことで
しょうね。デビュ-当時はもう、30分でもヒ-ヒ-してましたから。全力で歌い続ける
のって、『ドラゴンボ-ル』でいうところの“かめはめ波”と“元気玉”を連発してい
くようなものなんですよ(笑)。みなさんも、カラオケに行かれれば分かると思うんで
すけど…。」
─分かる気がします(笑)。エネルギ-が必要な歌だと、1曲歌うだけでも大変ですか
らね。ところで歌声そのものも、以前と今では違ってきてるんですか?
「実は、今の自分の声が一番好きなんですよ。今が一番、表現の幅も増えましたしね。
音域にしても、下のほうが、より太く出るようになりました。」
─そうした具体的な変化もあるわけですね。
「あと、下だけでなく上のほうも、より太く出るようになってます。昔は今より、細く
高く出る歌い方をしてて、でも実は、その歌い方が私自身は嫌いで…。少し下がっても
いいから、太く出る歌い方に変えたんですよ。これならバンドがど-んと来ても、負け
ずに歌うことが出来るというか…。」
─負けない音圧で返せたら、伝わる迫力も違ってきそうですね。でも今の自分こそが一
番だと思えるのは、何にも代えがたいことのような気がしますけど。
「さらに歌い続けていく上でも、そうしたメンタルの状態こそが、すごく大事なんでし
ょうね。でもそれも、納得出来る音楽を、常に作れていてこそのものでしょうけどね。
私の場合、ブレーンとなってくださる方達にも恵まれてきましたし、何より自分を、全
部出しつつ表現できる場にも恵まれたことが大きいんですけどね。」
─表現できる場といえば、まさに今回『THE TOUR OF MISIA LOVE BEBOP all roads lead
to you』として映像化された、“THE TOUR OF MISIA”のシリ-ズが筆頭でしょうね。
ただ、今回でいったん、幕を閉じるそうですね。これは20周年を目前にしていることと
も関係あるんでしょうか?
「もともと私のプロデューサーは、アンダーグラウンドだったクラブ・カルチャ-を“
なんとかメジャーにしていこう!”という想いがあった人で、そんなテーマも根底にあ
りつつ続けてきたのが、“THE TOUR OF MISIA”なんです。19年前、まずはクラブでの
ツア-から始めて、ライヴハウスからホールへ、アリーナへと、ありがたいことに、徐
々に大きなところで歌えるようになりましたけど、その想いはブレずにずっと持ち続け
てきました。ただ、当初はそんな目標を掲げつつも、あれから時間が経って、オーディ
エンスの人達も、当時はアンダーグラウンドだったカルチャーにも、たくさんそれらの
ものに触れる機会を得て、馴染んで来ただろうし、役割を果たせたのかな、というか、
だったらここらで区切りにしよう、ということなんですよ。なので「終わっちゃったん
だな」という想いというより、むしろ来年の20周年に向けて、今年はさらに様々なもの
吸収して、さらにさらに羽ばたこうとしているところですね。」
─『THE TOUR OF MISIA LOVE BEBOP all roads lead to you』の見どころというと、ど
のあたりでしょうか。
「毎回のことですが、まずオ-プニングですね。これまでも、ステ-ジ自体が上から降
りてきたり、ステ-ジ上の飛行機のウィングが開いていって、その上で歌い出すとか、
巨大なバル-ンが広がり、中から私が出てきたりと、もう演出が毎回素晴らしいんです
。今回はステ-ジの上手と下手に黄金の巨大なキングコブラが出てきて、私自身もビッ
クリしました。私のプロデュ-サ-が毎回演出していらっしゃるんですけど、キングコ
ブラにしても、サウンドとともに映像となった時の効果が凄いんですよね。天才だと思
います。」
─MISIAさんの歌の力が中心となっているのは当然でしょうが、ダンサブルなステ-ジ
でもありますよね。
「デビュー当時から、日本でトップクラスのダンサーさんがサポ-トしてくださってい
て。彼らはダンサーの世界では、HIP HOP・HOUSEなどそれぞれの分野のトップが集結し
ているという意味で、リスペクトを込めて“misiaダンサ-”と自然にそう呼ばれるよ
うになっていったと聞いたことがあります。“misiaダンサ-”になるのが目標だと若
いダンサーさんに言われた時は、彼らは凄いな、嬉しいなって思いました。彼らはステ
ージの上の“リズムの体現者”ですから、バンドの演奏にも影響を与えるし、私自身の
歌に関しても、彼らが居てくれることで、リズムの取り方も分かるし、アドリブの入れ
方も変わるし、教えてもらったことは、とっても多いです。今回、ライヴに参加してい
る若手のダンサーは、そんな彼らを観て育った世代。中には教え子もいます。」
─ライヴを拝見していると、衣装チェンジのタイミングが何度かありましたけど、ただ
服装を変えただけじゃなく、ステ-ジの方向性の変化ともリンクしているように思えた
のですが。
「楽曲によって視覚的な表現も変えていく、というのは、大事なことでもありますから
ね。そのタイミングではステージから不在になりますけど、逆にその時間を使って、ミ
ュ-ジシャンにしてもダンサーにしてもDJにしても、“私のブレーン 素敵でしょ?”
って、紹介したい気持ちでもあります。今回も、そこは見所です! 」
─あと印象的だったのが、MISIAさんが“ラブビバップしてるぅ~?”と呼び掛けると
、お客さん全員が“ビバってるぅ~”と返す、独特なコール・アンド・レスポンスだっ
たんです。まさに今回のツアーならではのものだったようですね。
「そもそも今回のアルバムが『LOVE BEBOP』というタイトルになったのは、「LOVE
BEBOP」という曲のデモを頂いた時、作者のSAKOSHINさんが“♪ラッ ビバッ ラッラッ
ビバッ”って仮歌を入れてくれてた部分があって、それが「“LOVE BEBOP”って聞こえ
るよね」というところから始まったんですよ。“BEBOP”って、音楽用語としてはよく
使うけど、改めて意味を掘り下げたら、戦後にジャズの世界で生まれた、それぞれのミ
ュージシャンがよりアドリブを効かせつつ自由に創り上げていったスタイルだと知った
んです。そもそも私がアルバムを通じて伝えたかったことは、人や文化の多様性を肯定
し合おうというものでした。ミュージシャンそれぞれの良さを認める“BEBOP”の精神
は、多様性ということでは「通じるところがあるなぁ」って思ったんですよ。だったら
この言葉から発展させれば、多様性を認めて共存できる、そんな社会に向けてのメッセ
ージも描けるのでは…、と。」
─なるほど…。そういうことだったんですね。
「また、この曲は、2015年に全米で同性婚が認められた時、ホワイトハウスにも掲げら
れた“Love is Love”というメッセ-ジに感激したことからも、インスピレーションを
受けて歌詞を書きました。愛の多様性を歌いたいなと。ただ、“Love is Love”、愛は
愛だとか、言葉にすると照れくさいし、説教くさくもなるじゃないですか? でもステ
-ジのパフォーマンスを通じて、一番大切なことだからこそ何よりもカッコよく表現出
来たら、人間の根底にある、心のやわらかな部分にも挿せるものになるんじゃないかっ
て考えたですよ。このBlu-ray&DVDを観て頂けたら、それが照れくさくなく、表現され
ていることが分かって頂けると思うんです。その意味では演奏したすべての曲が、充分
“ビバってる”のが今回だと思ってます。」
─20周年に向けボーカリストとして、どんな歌を目指したいですか? 最後にこの質問
をさせてください。
「日々、もっと上手くなりたいとは思っているんですけど、さらに突き詰めるとそれは
、“上手く歌う”というより、“いかに歌うか 歌い尽くすか”、なんですよね。特に
ライヴは、その言葉の通り、“生きてる”ことのドラマを伝えるためにあるのでしょう
し、昨日とは違う100パーセントを出して、明日後悔しない“今日だけのライヴ”をや
り続けていきたいです。」
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