良夫(香川照之)がゆかり(木村佳乃)の自殺の原因を突き止める妙案を持ってき
た。自殺前のゆかりからのメールを全て削除した、という香織里(高岡早紀)の話を思
い出した良夫は、ゆかりのパソコンを調べればその送信メールが残っているとにらんだ
のだ。さっそくゆかりの部屋に行った玲子(深田恭子)らは、パソコンを調べるが、玲
子に送った最後のメールしか残っていなかった。
ところが、ガックリと肩を落とす玲子らの前に、思わぬ人物が現れた。それは、携
帯の登録にもなかった松ノ木与一(小山慶一郎・NEWS)というゆかりのマンション
前のコンビニの店員。ゆかりに以前から思いを寄せていた彼は、監視カメラに写ったゆ
かりの姿を全て集めて編集していた、というのだ。自殺の前日もゆかりがいつもと変わ
りなかったという松ノ木は、そのテープを玲子に手渡す。それを見た玲子と良夫は、思
わぬゆかりとの再会に胸を熱くした。
そんな中、一人シラケていたハジメ(長瀬智也)が、いきなり“携帯巡り”からの
脱退を宣言した。“玲子狙い”が無理だと悟ったハジメは、3人で携帯巡りをする意味が
なくなってしまったのだ。自分もゆかりも遊びで一度関係しただけだと告白したハジメ
は、それぞれの思いが渦巻く玲子と良夫の前から姿を消してしまった。
携帯巡りの9人目の人物は、2年ぶりにゆかりに連絡してきた渡部護(岡田浩暉)で
、『みちくさ』というフォーク系バンドのリーダーだった。小さなライブハウスに渡部
を訪ねた玲子らは、自殺の一件を説明して話を聞こうとするが、護の口はなぜか固い。
だが、そこにハジメが現れたことから、意外な話が明らかになった。
ハジメと顔見知りの渡部は、3年前、ゆかりが詩を提供したことがきっかけで同棲し
たことがあった。ゆかりは渡部のフォークシンガーとしての才能にほれ込んでいたが、
飛び込んできたメジャーデビューの条件はなんとラップ。意に反してデビューし、ダン
サーとして一緒に活動したのがハジメだった。人気はあっという間に衰えた。再びフォ
ークでやりなおそうとしていた渡部の元に、ゆかりが自殺の前日、新しい詩を送ってい
た事実が判明する。ハジメは、そんな話に全く興味がなかったが、やがて始まったライ
ブで渡部が歌うゆかりの詩を聴き、愕然。その詩にこめられたメッセージとは─。