鬱瀨身(うつせみ)に光は照りつけ
懊惱の果ての業曝(ごうざら)し
迴りだした意識の聲(こえ)は
遠く冥(くら)い澱の底から
殘念、觀念の幻想
射乾玉(ぬばたま)の夜の亂れ髮
眥(まなじり)の奧の惑わかし
迴りだした意識の聲は
遠く冥い澱の底から
殘念、觀念の幻想
「產の上にて身まかりたりし女、
其の執心、此のものとなれり
其のかたち、腰より下は血にそみて、
其の聲、をばれう、
をばれうと鳴くと申しならはせり」
馱螺(だら)だらだらだら…だらだらと
眩暈阪(めまいざか)は續いてゆく
「うふふ。遊びましょう」
「朦朧と煙る視界の中で
少女の白い脛(すね)は朱に染まり
私の耳元で、淫らに…
私は畏(おそ)れた。
私は走った。
ざわざわと鳴る漆黑の闇を…
狂っているのは
少女なのか
或いはこの私であるのか」
迴りだした意識の聲は
遠く冥い澱の底から
殘念、觀念の幻想