朽ちた樒(しきみ)を抱いて
紅い淚零(こぼ)れ
剝き出しの爪先で
虛空(こくう)を摑(つか)めば
心さえ 闇の淵に溶かしたの
名前さえ 甘い夢に泡と消えるの
墮(お)ちる大廈(たいか)の影に
蒼(あお)き迦毘羅(かびら)と見(まみ)ゆ
張り裂けた激情が
私を包んでゆく
心さえ 闇の淵に溶かしたの
名前さえ 甘い夢に泡と消えるの
空蟬(うつせみ)の行く先は
虛無(きょむ)が眠る沼
心さえ 闇の淵に溶かしたの
名前さえ 甘い夢に泡と消えるの
體(からだ)さえ 夜の雨に流したの
名前さえ 熱く燃ゆる臆(おく)に匿(かく)して