sponichi
【西4-3ダ】最後の最後で伏兵が大仕事をやってのけた。シーズン出場わずか8戦の
犬伏が延長の死闘で決勝犠飛。優勝に貢献した。
「一番おいしいところをもらって感謝ですよ」
9回に追いつかれ、3─3で迎えた延長10回。1死一、三塁だ。代打で登場すると初
球を叩いて中堅へライナー。勝ち越しの走者を迎え入れた。
鋭い嗅覚(きゅうかく)で勝負どころをかぎつけていた。同点とされた9回はサヨナ
ラ負け寸前までいったが「延長になる。見せ場と読んでいました」という。「猛犬注意
」と記したヘルメットをかぶってベンチ裏で準備開始。狙い通りだった。
前回優勝した02年に対左腕打率・325の「左殺し」としてブレークした。オフに年
俸650万円から331%増。「年俸が4倍なら5万円の小遣いも4倍かな」と笑わせ
たが、昨年今年と若手の台頭で出場機会が激減。選手としては崖っ縁だった。そこで飛
び出した起死回生の一撃。苦労人は「シリーズでは山本昌さんや岩瀬を打ちたい」と復
活へどん欲だ。
そしてもう1人の伏兵も勝利に貢献した。6回1死満塁では石井義が代打で左翼フェ
ンス直撃の逆転二塁打。日本ハムとの第1ステージ第2戦以来の打席ながら「久しぶり
の割に球が見えました。チャンスに使ってもらえたので打ててうれしい」と期待に応え
た。
横浜から移籍2年目。昨年は腰痛を抱えながら新しい環境に苦労し「パの野球が分か
らない」と悩んだが、今季途中から1軍に定着した。持ち前の打力でたびたび先発出場
。「横浜で優勝した時(98年)は2年目で輪に入れませんでしたから」と“初優勝”を
喜んだ。
就任時に「1、2軍全員が戦力」と宣言した伊東監督。言葉通り開幕を2軍で迎えた
脇役が最高の結果で応えてくれた。