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新戦力の台頭で不安材料をカバー
就任1年目でリーグ優勝を果した伊東監督【 共同 】
昨年はリーグ2位に終わった西武。今季から伊東監督が就任し、2年ぶりのリーグ制
覇を目指したが、開幕前の下馬評は決して高いものではなかった。9年間、西武の不動
のショートだった松井がFAでメジャーに移籍。さらにシーズン序盤は四番カブレラを
欠き、抑えの豊田が腰痛、先発の柱・西口が内転筋を痛めたりとケガ人も多かった。し
かしその一方で大沼や帆足が先発に中継ぎにとフル回転。帆足は自身初の2ケタ勝利を
マークした。5月12日のダイエー戦では新人の山崎がプロ初勝利を挙げ、中継ぎでは
2年目の小野寺が台頭。野手では中島がショートとして全試合出場を果たし、さらに佐
藤友・赤田が成長を見せ、新一、二番コンビとして定着した。新戦力の台頭で不安材料
は見事にカバーされ、最後はソツのない西武らしい試合運び、勝ちパターンを確立して
つかんだ優勝だった。
松坂で開幕戦を落とし黒星スタートも……
プロ野球史上59人目のサイクル安打を放った細川【 共同 】
開幕戦はロッテとの対戦。満を持してエース松坂が登板したが、初回に4安打を打た
れ先制を許す。西武も和田とフェルナンデスの本塁打で追い上げを見せるが、序盤の失
点が響き5対3で開幕戦を落とした。松坂は9回を投げ切ったが、9安打5失点で黒星
スタート。チームは翌日、延長戦の末、サヨナラ勝ちで今季初勝利を挙げた。
その後、ダイエーに3連敗を喫し、3月は結局、1勝4敗。開幕ダッシュには失敗し
たが、4月に入って巻き返しを見せた。4月3日の日本ハム戦から6連勝。10日の近
鉄戦で連勝は一旦ストップしたが、翌11日には和田のサヨナラ満塁本塁打で単独首位
に浮上した。ここから再び6連勝を見せるなど、この月は17勝8敗と大きく勝ち越し
た。4月4日の日本ハム戦では、細川が史上59人目のサイクル安打を達成。4月13
日のロッテ戦では4年目の中島が自身初の満塁本塁打で試合を決めた。投手陣でも、同
じく4年目の大沼が4月19日の日本ハム戦でプロ入り初勝利を挙げるなど、若手の選
手たちの活躍もチームに勢いを与えた。
4月中旬以降は、ダイエーとともに優勝争いを一歩抜け出した。5月も13勝8敗1
分で、首位をキープ。6月12日にダイエーに首位の座を奪われたが、開幕前に右腕を
骨折したカブレラが、6月下旬から復帰。四番が戻ってきたことで打線に厚みが増し、
再び首位に浮上して前半戦を折り返した。だが、後半戦が始まるとオリックス・日本ハ
ム・近鉄相手に3カード連続の負け越しで、またもダイエーに首位の座を明け渡してし
まう。
巻き返しを図りたい8月は、松坂、張、和田一が五輪代表としてチームを抜けたが、
7日の近鉄戦から7連勝をマークしてダイエーを追撃。16日のロッテ戦では、9回二
死走者なしから3点差を追いついて延長戦に持ち込み、最後は劇的なサヨナラ勝ちを見
せた。21日には首位ダイエーにゲーム差なしの2厘差まで肉薄したが、27日からの
直接対決3連戦で1勝2敗と負け越し。首位奪回はならなかった。その後、選手会のス
トライキにより、9月18日、19日のダイエーとの最後の直接対決は中止に。結局首
位から4.5ゲーム差の2位でプレーオフ進出が決定した。
息詰まる熱闘が続いたプレーオフ
全試合出場を果した中島(左)と投の柱としてチームを引っ張った松坂【 共同 】
プレーオフ第1ステージは日本ハムとの対戦。初戦は10対7で乱打戦を制したが、
続く第2戦は逆に日本ハムに1点差で逃げ切られ、勝負の行方は第3戦へ。初回に3点
を先制された西武は、3回にカブレラの満塁本塁打で逆転。9回に日本ハム木元の2ラ
ンで一旦は同点に追いつかれるが、その裏、先頭の和田がサヨナラ本塁打を放ち、劇的
な幕切れで第2ステージへ進んだ。
リーグ優勝を賭けたダイエーとの第2ステージ。1、2戦は互いに打線が爆発して1
勝1敗。第3戦は西武が6対5で逃げ切って、優勝に王手をかけた。しかし第4戦でダ
イエーが意地を見せ、決着はとうとう最終戦まで持ち越されることに。第5戦の先発は
中3日でエース松坂。城島の本塁打で先制を許したが、西武は6回に一死満塁から代打
・石井義の適時二塁打などで3対1と逆転。松坂は6回1失点でマウンドを降り、中継
ぎ陣に後を託すが、1点リードで迎えた9回に守護神豊田が同点打を打たれ、試合は3
対3で延長戦へ突入した。10回表、西武は先頭の小関が二塁打で出塁。一死一、三塁
で代打犬伏がきっちり犠飛を決めて勝ち越した。その裏、西武のマウンドには石井貴。
第2ステージ初戦で先発し、5失点で黒星を喫した男が最後にきっちりリベンジを果た
し、貴重な1点を守りきった。プレーオフ第1ステージから合計8試合。短期決戦で息
詰まる熱闘を勝ち抜いた西武が、2年ぶり15度目のリーグ優勝を決めた。