<日本シリーズ:西武7-2中日>◇第7戦◇25日◇ナゴヤドーム
打ち取れそうで打ち取れない。3回2死三塁、打席に立った西武佐藤が、ドミンゴの
繰り出すストレートをことごとくカットした。ただでさえ、ボークを取られてイライラ
する右腕の球が、徐々に上ずっていく。連続10球続けた真っすぐを、ついにセンター
方向へはじき返す。ドミンゴのグラブに当たった打球はセカンドへの内野安打。今シリ
ーズ、絶好調の佐藤が、先制タイムリーをたたき出した。
優勝を決める大一番でも4打数2安打。日本シリーズ7試合で放ったヒットは13本
で日本一チームのシリーズ首位打者だ。「自分の仕事はできたと思います。いい流れを
つくれたんじゃないですか」と笑顔で話せる大活躍の裏には、打撃スタイルの確立にあ
った。
ボールを引きつけて打つ徹底した右打ちだけではない。配球を読み、状況に応じて打
つ方向を決めたり、球種を絞ったり、内外角のコースにヤマを張ることもある。頭を駆
使した打撃を見せつけたが「シーズンの起用法を見てくれれば分かりますが、まだレギ
ュラーじゃない。日本シリーズはレギュラーになるための試練みたいなもんなんです」
と気持ちは来年の戦いに向かっている。日本シリーズだけでなく、来季こそ松井稼頭央
(メッツ)が抜けた「1番打者」という大きな穴を埋めてみせる。【小島信行】
〔2004/10/26/08:19 紙面から〕