album: ブーゲンビリア (1997.05.21)
10. やわらかな傷跡
小さなわたし 乾いた道を
汗ばむ背中 陽射しに揺れ
若い夏草のよう
細い坂を登れば
両手ひろげて
流れる雲に 愛を夢見た
絡まる髪が
とまどいながら
同じにおいと出会い
縺れ溶け出す頃
*明るくなってゆく空を
ふたりは 憎んでいたけど
いつの日か 幼い愛は
抜殻を残して
飛び立つことを 知っていた
ブーゲンビリア 蔦を這わせて
織り重ねては 時間を敷きつめ
刺さる棘に気付くと
木陰からこぼれる あの太陽が
見えない腕で 明日を急かした
歩くために
失くしたものを
拾い集めて
手首に刻み込んでも
*repeat
窓たたく季節を
もう何度 数えたのだろう
手を伸ばせば 届きそうなほど
残酷に朱く
置き去りにしてきた記憶を
腫れ上がる 傷跡たちを
やわらかな あなたの温度を
狂おしく愛していたから
明るくなってゆく空を
ひとりで 憎んでみたけど
いつの日か 幼ない愛は
抜殻を残して
飛び立つ時を 待っていた
--
※ 發信站: 批踢踢實業坊(ptt.cc)
◆ From: 140.127.98.96