http://www.sony.jp/active-speaker/special/lounge/interview/misia/
MISIA featuring「SRS-X9」
破格のスケールを感じさせる歌声と緻密なサウンド・プロダクションで、圧倒的な存在
感を放つMISIA。彼女が約3年ぶりのオリジナル・アルバム『NEW MORNING』をリリース
する。
その新作に込められた思いや、音へのこだわり、そして完成したばかりの『NEW
MORNING』のハイレゾ音源を、アクティブスピーカー「SRS-X9」でMISIA自身に試聴して
もらったインプレッションをお届けする。
デビュー16年目のアルバム『NEW MORNING』に込められた思い
2013年から1年間にわたり、デビュー15周年記念ツアーで77本もの公演をおこなってき
たMISIA。そしてデビュー16周年となる今年、「僕はペガサス 君はポラリス」「幸せ
をフォーエバー」を含む、全14曲収録をしたニューアルバム『NEW MORNING』を4月2日
にリリース。初回限定盤には2014年1月に行われた日本武道館のライヴ音源も含まれる
全16曲を収録している。
──約3年ぶりのオリジナル作となりますが、今回はどのように制作を始められたので
しょうか。
MISIA デジタル・サウンドと生音の融合をテーマにした前作『SOUL QUEST』を経て、
今回は生音に立ち返り、オーガニックなサウンドを追究したいと思っていました。昨年
デビュー15周年を迎え、“星空のライヴ”という生演奏を中心とした公演を1年間続け
てきたので、そのバンド・メンバーたちと一緒にスタジオに入って作り上げていったと
いう感じです。
──1曲目の「HOPE & DREAMS」から、新たな扉をパッと開け放つような明るさを感じま
した。
MISIA 昨年リリースしたベスト・アルバム(『MISIA SUPER BEST RECORDS -15th
Celebration-』)ではこれまでの15年を辿ったので、今回のアルバムはこれからの日々
へ向かっていくための作品となります。だから次のステップへ向けて希望のあるスター
トにしよう、という思いがありました。それが『NEW MORNING』というアルバム・タイ
トルにもつながっています。
──なかでも、「蒼い月影」と「Jewelry」はジャジーでしっとりした曲調が新鮮です
ね。
MISIA この2曲はジャズとソウル、両方の要素を感じさせる絶妙なバランス感のある楽
曲だと思います。作曲はジャズ・シンガーでもあるギラ・ジルカさん、アレンジはどち
らも同じアレンジャーの方なのですが、今回はそれぞれタイプが異なるドラマーに叩い
ていただきました。「蒼い月影」はFUYU君、「Jewelry」は青山純さん。その結果、「
蒼い月影」はシュッと引き締まったグルーヴが生まれているし、「Jewelry」はどっし
りとしたキックやスネアの音がウォーミングなムードを生んでいます。「Jewelry」は
、去年突然にお亡くなりになられた青山純さんの遺作となってしまいました。この音は
青山さんにしか出せない…。彼のドラムで歌えたことは、私にとって宝物です。
──一方、「魔法をかけたのは君」は、とてもかわいらしいラヴソングですね。これも
また新鮮でした。
MISIA 作詞は大宮エリーさんにしていただきました。ここ最近は恋愛の歌でも、“愛
”について歌うことが多くなってきていたので、身近な“恋”について歌いたいなと思
っていました。人はみんな誰かを好きになって、1対1の世界観からスタートして、そこ
から初めて広い世界を見られるようになる。恋の歌って、愛にも通じるし、平和にも通
じるし、いろんなメッセージを込められるんですね。だから今回はいちど小さな視点に
戻って、大事なことを歌いたいなと思ったんです。
楽曲中の“ブレス”も歌の一部として聴いてほしい
──制作するなかで、特に心がけたことはありますか。
MISIA 昨年デビュー15周年イヤーでライヴを続けるなかで、デビュー曲や代表曲を歌
う機会が多くありました。たとえば「つつみ込むように…」はデビュー当時から15年歌
っていますが、これだけ長い間歌い続けられたのは、やはり楽曲に力があるからだと思
います。だから今回のアルバムを制作しているときも、この先15年間ずっと歌い続けら
れるものを作りたいという、未来に向けての思いがありました。
──ライヴで受け取った思いが、制作に大きな影響を与えるんですね。
MISIA そうですね。私はミュージシャンとして、いろんな人に音楽を聴いてほしいと
いう気持ちをもっています。そして、それが一番報われるのは、実際に歌って、目の前
でファンの方がワーッと盛り上がってくださるときなんです。その瞬間、やっていてよ
かったなと思うし、みなさんと会話ができている感じがする。だから制作のときも、こ
の音の先には聴いてくださる人がいるということをつねに意識しながら作っています。
──レコーディングにおいて、独自のこだわりはありますか。
MISIA マイク選びはこだわりますね。普段は、アンティークのマイクを好んで使って
います。というのも、そういったマイクが、私の歌声にあうから。私の声質はレンジ(
声の音域)が大きいので、人の耳に聞き取れないとされる高い音までひろってくれるマ
イクが良いようです。
けれど、私は“人の耳では聞き取れない”とされる音も含め、人はすべての音を聞き取
っていると思っています。その帯域が出ている出ていないでは、明らかに音が違います
から。それはライヴで、お客さんの反応を見ているときも感じます。
今回のアルバムに関しては、アンティークではなく、ほぼすべてソニーさんのマイクを
使いました。時代に合っていると感じたので。
──“聞き取れない”とされる音は、空気感とかフィーリングとか、そういった言葉で
表される感覚ですよね。
MISIA そうですね。だから私は、歌のブレス(歌唱中の呼吸)にもすごくこだわってい
ます。最近の音楽はわりとブレスの音を切ったり、ノイズゲートをかける傾向にあるん
ですが、私はブレスも歌の一部として聴いてほしいと思っているんです。ミュージシャ
ンたちは歌のブレスや息づかいからリズムを感じ、互いの呼吸をあわせ、グルーヴを生
んでいきます。だからレコーディング中は歌以外の楽器の音を録るときも、バンド・メ
ンバーたちに「一緒にスタジオに入って歌ってほしい」と言われるんですよ。
──ハイレゾではそうしたブレス音や、立ち上がりの音がより豊かに表現できると言わ
れています。ではさっそく試聴していただきましょう。
ニューアルバム『NEW MORNING』を「SRS-X9」で聴いて
ここでMISIAに『NEW MORNING』ハイレゾ音源を、ソニーのアクティブスピーカー「
SRS-X9」試聴してもらった。比較のためにAAC音源も用意。ハイレゾ音源と「SRS-X9」
に対するMISIAの感想は?
<試聴曲「蒼い月影」>
MISIA 圧縮音源と比べると、ハイレゾのほうは出だしのトランペットやヴォーカルの
抜けが全然違いますね! 聴いた瞬間、はっきり違うことがわかります。
<試聴曲「Re-Brain」>
MISIA うわ、きれい! 低音がすごくクリアに聞こえます。(ボリュームを上げて)
すごく大きな音で聴いてもクリアなままで、しっかりと引き締まってる。小さい音量で
も充分伝わりますが、これはボリュームを上げて聴いてもらうと、違いがよりわかると
思います。
──実際に聴いてみて、いかがですか。
MISIA 私たちミュージシャンはつねに音の響きにこだわりながら細かく作り込んでい
くのですが、今は聴き手の環境も多様化していますから、作り手としてはどういった環
境に合わせるべきか、考えこんでしまうときもあります。だから、こういった(「
SRS-X9」のような)良い音の環境が広がってくれるのは作り手としては、とてもうれし
いことですね。
コンパクトなサイズからは想像できない伸びのあるサウンドに驚き
『NEW MORNING』レコーディングエンジニア
川口 昌浩氏
MISIAのCD、DVD全作品を手掛けるエンジニア。打ち込み、ダンスミュージックをはじめ
、生楽器、オーケストラ、ライブステージまで幅広いジャンルのレコーディング・ミキ
シングに定評を得る。また、MISIA のライヴDVD『THE TOUR OF MISIA 2002 WOWOW
EDITION』は社団法人BS デジタル放送推進協会が選出する5.1 サラウンド賞を受賞。
──ソニーのアクティブスピーカー「SRS-X9」で『NEW MORNING』ハイレゾ音源を聴い
ていただきましたが、いかがですか?
川口 音のよさにビックリしました。こうした小さなサイズのスピーカーは、大きさに
限りがあるため、低音域というのはどうしても作り込んだ感じになるんです。でも、こ
のスピーカーは低音も人工的な感じがしないし、ローエンドもハイエンドも音の伸びが
いいですね。MISIAも言っていましたが、「蒼い月影」のイントロで流れるリード・ト
ランペットの音は(圧縮音源と比べて)もう別の楽器じゃないかと思うくらい(笑)、
よく聞こえてきました。
──MISIAさんのヴォーカルとハイレゾの相性はいかがでしょうか。
川口 人間の耳は20kHzぐらいまでしか聞こえないと言われていて、それより上の域を
“エア”といいます。MISIAの歌声は、この“エア”の部分を大きめにとったほうが、
より豊かに伝わるんですね。聞こえない音であっても人の耳は倍音を感じるので、音に
艶感が出るんです。そうした空気の震えや、身体全体で感じる響きが、この比較的小さ
なサイズのスピーカーからよく出ているなと思います。
僕らはレコーディング・スタジオで最新鋭の機材を使い、丹念に音を作りあげています
。その音をそのまま届けることは難しいけれど、このスピーカーがあれば、スタジオの
音響とほぼ近い状態で聴いてもらえると思います。それはすごくうれしいことですね。
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