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MISIA、新境地の<SOUL JAZZ>ツアーをWOWOW独占放送「SOUL JAZZを目撃してください
!」
2017年7月、自身初の“SOUL JAZZ”をテーマとしたミニアルバム『MISIA SOUL JAZZ
SESSION』の発表と合わせて、名古屋・東京・大阪を回るライヴツアー<MISIA SUMMER
SOUL JAZZ 2017>を開催したMISIA。同ツアーより、彼女のバースデーでもある7月7日
にファンクラブ限定で開催された東京・Zepp DiverCity(TOKYO)公演の模様がWOWOWにて
独占放送される。
今回のツアーでは、『MISIA SOUL JAZZ SESSION』にも共同プロデュース/アレンジ/
演奏で参加したトランペッター・黒田卓也を筆頭に、クレイグ・ヒル(Ts)、コーリー
・キング(Tb)、大林武司(Key)、ラシャーン・カーター(B)、アダム・ジャクソン
(Dr)らニューヨークの精鋭プレイヤー陣との競演が実現。ソウル・ジャズ・アレンジ
が施された自身の名曲群やミニアルバムからの新曲、さらに映画『SING/シング』日本
語版での歌唱も話題を呼んだスティーヴィー・ワンダーの「Don't You Worry 'Bout a
Thing」など、イマジネーションと音楽愛に満ちた熱気あふれるセッションでファンを
魅了した。
ジャパニーズR&Bの先駆けとしてシーンを牽引し走り続けてきたMISIAは、デビュー20周
年を目前に、どのような思いで新たな挑戦に臨んだのか。新境地を開いた“SOUL JAZZ
”ツアーやミニアルバム、その飽くなき音楽的探求の原動力について訊いたインタビュ
ーをお届けする。
■初めてセッションしたときに、「ここから面白いことが始まるんだ」と強く感じた
──まずは、キャリア初の試みとなるツアー<MISIA SUMMER SOUL JAZZ 2017>を終え
た今のお気持ちを教えてください。
MISIA:どの会場もとっても盛り上がりましたし、ライヴを観てくれた人から、「想像
以上だった!」「もう一回観たい!」「またやって!」という言葉をたくさんもらって
、とても手応えがあったツアーでした。私も刺激をたくさんもらいましたし。やってみ
たいことに出会えるって凄いギフトだなと思います。しかも結果、素晴らしいものが生
み出されたわけですから、最高のギフトですよね。ツアーではバンマスの黒田卓也君(
日本人で初めて米ブルーノート・レコードと契約したトランペット奏者/アレンジャー
)をはじめ、彼がいつも一緒に音楽を作りライヴをしているバンドメンバーにほぼ参加
してもらえたことも幸運でした。『MISIA SOUL JAZZ SESSION』のアルバムを伝えるの
に、最高のメンバーなわけです。ツアーのうち一日が私の誕生日だったことも含め、最
高でした。
──キャリアを重ねるほど、失敗やリスクを恐れて挑戦することへ不安も募るのでは?
MISIA:それはないです。不安もないし、勇気も要りません。ただただ「やってみたい
!」、それを実現させられて嬉しいという気持ちが何よりも大きいです。
──今回のツアーやそのメンバーと創り上げたアルバム『MISIA SOUL JAZZ SESSION』
は、2016年9月に<Blue Note JAZZ FESTIVAL in JAPAN>で共演したことがきっかけだ
とか?
MISIA:はい。昨年、一日限りのライヴで黒田君をはじめバンドメンバーとセッション
して、それまで私がイメージしていたジャズ、主にスタンダードなジャズというものだ
けでは到底語れない音楽の深さを肌で感じました。また、世代が近いせいだと思うんで
すが、私が聴いてきた音楽……ソウルやヒップホップ、アフロビートなどを彼も通って
きているだろうなってすごく感じるところもあって。セッションしたときに、「ここか
ら面白いことが始まるんだ」と強く感じたし、とても一日だけでは足りないと思ったの
で、それをライヴが終わった瞬間に伝えたんです。
──心震える出会いだったのですね?
MISIA:あれから1年も経たずしてアルバムを作って、ツアーも回れたので、黒田君と「
すごいことだね」って話し合ったりしています。
──ジャズミュージシャンたちの演奏で歌う際、これまでのライヴと意識の違いはあり
ましたか?
MISIA:うーーん。普段、私が一緒にライヴをしているバンドも素晴らしいですからね
! ジャズミュージシャンもいますし。だから、ミュージシャンの違いというより、い
つものライヴでの“私とバンドのスタンス”と、今回のツアーでの“私と黒田バンドと
のスタンス”が違う、という感じです。ソロ同士の競演という気持ちがあったと言えば
いいでしょうか。通常のツアーでは「この曲はこういう思いで作っているから、演奏は
こうしてほしい」とリクエストすることが多いんです。でも今回は「どういう想いで、
このアレンジをしたの?」「どういう音の会話がなされているの?」って、私も耳を傾
けているというか。だから、自ずと普段とはリクエストの仕方も変わりますね。
──本当の意味での競演、コラボレーションですね。
MISIA:ええ。だから緊張もしました。もしも仮に、私が強く主張したら黒田君もそれ
を受け入れてくれるかもしれないけれど、それでは今回一緒にやる意味が薄らいでしま
う。それにジャズのプレイヤー独特のものかもしれませんが、誰かがメインになると他
はすっと引いて場所を開けてくれるんです。ライヴで私が歌い出した瞬間、自然と引く
感じがしました。それも伴奏というのではなく……私もソロのパートのひとつという捉
え方だったのかなと思います。
──既存曲をソウルジャズアレンジで歌った感想は?
MISIA:セルフカヴァーという言い方もありますが、実際に歌ってみると新たに生まれ
変わったというか、オリジナルのような感覚でした。タイトルに“JAZZ”とありますが
、同時に“SOUL”の文字も入ってるように、R&Bからアフロ、ネオソウル、さらに新曲
「来るぞスリリング (feat.Raul Midon)」ではブラジリアンといろんな要素が入ってい
ます。どれも私が大好きなものばかり。歌っていて、心がドキドキしました。
──二つの新曲はまさに新境地、ジャズの持つ自由度の高さや懐の深さを生かしていま
すね。
MISIA:ありがとうございます。リアレンジの楽曲も様々な試みがありますが、オリジ
ナル楽曲の持つイメージも大切にしていますし、歌詞もついていますからその世界観に
引っ張られるところはあると思います。例えば、「BELIEVE」は一見、オリジナルから
かなりかけ離れた感じですが、頭のトランペットのリフは実はオリジナルのローズのフ
レーズをサンプリングのように繰り返しているんだそうです。そんな風に、黒田君なり
の各楽曲へのオマージュもあるんだと思います。ですが、新曲ではキーを合わせて歌詞
を書く前の段階から黒田君に関わってもらいました。方向性を含めてゼロからアレンジ
してもらったわけです。新曲2曲の作曲はどちらも林田健司さん。日本でソウルミュー
ジックを作ってきた方のメロディーと黒田サウンドとのコラボの側面もあって、どんな
ものが出てくるかワクワクしました。「来るぞスリリング」は、実はメロディーはミデ
ィアムスロー気味なので、どんなアレンジが良いか、初めはかなり苦心したと聞きまし
た。でも、あるときブラジリアンが良い!と舞い降りてきたそうで「かっこいいものが
できると思う」と連絡が来ました。それからすぐに音が届いて、私もレコーディングに
入ったんです。
──デモ音源を聴いたときはどう思いましたか?
MISIA:実は、今回はデモを作ってないんです(笑)。アレンジができたという段階で
即、レコーディングでした。そこもまたジャズっぽいなって。彼とバンドメンバーがそ
の場でセッションしながら完成させたトラックがニューヨークからデータでボンと送ら
れて来て、それに対して私はこっちから歌で返す。その繰り返しでした。
──まるで時空を超えたジャズのインプロのよう!
MISIA:信頼しているからできることですよね。そうやって作ったアルバムなので、実
は音を一緒に出したのはライヴリハーサルが初めて(笑)。昨年のイベントで歌った曲
もありましたが、新曲は当然初めてですから「やっと一緒に歌える」って嬉しくてワク
ワクしましたね。
──「嬉しい」……。あの超絶難しい曲を歌いこなすだけで大変そうだなと想像してい
たのですが。
MISIA:確かに練習しているときは「なんて難しい曲なんだろう」って思ってましたね
(笑)。ですが、ある言葉にヒントをもらって。今回のアルバムでリアレンジした「真
夜中のHIDE-AND-SEEK」や「オルフェンズの涙」などを手がけてくださった鷺巣詩郎さ
んから以前言われた言葉なんです。鷺巣さんのオリジナルもジャジーなものが多く、な
かなかにトリッキーなアレンジだったりするんですね。そういった楽曲を歌う時、「僕
は途中からいろんなものをMISIAに向かって投げたりするけど、MISIAはそれに動じるこ
となくまっすぐな道を歩いてほしい」と言われたんです。
──ほぅ……。それは実に興味深い話ですね。
MISIA:だから今回の新曲も、みんなの音を聴きながら私はまっすぐに歌えばいいんだ
って思いながら歌いました。そうそう、「運命loop (feat.Marcus Miller)」はサビの
前に文字通りループしているところがあるんですが、それで私が最初から仮で“loop”
って呼んでいたものを作家さんが採用してくれました。林田健司さんが作ったオリジナ
ルでは、そのloopパートはそこまで長くなかったんですが、そこを黒田君が好きで倍に
伸ばしちゃったんです(笑)。ですから、アレンジが送られて来たときはびっくりしま
したね。「どうしても難しければ元に戻していいよ」って言われたんですが……、戻し
たくないなと(笑)。
──その挑戦、受けて立とうじゃないかと。
MISIA:(笑)。フレキシブルになんでもやってみることが可能だったのも、黒田君が
新曲作りにゼロから関わってくれたから。とても意義深いなと思いました。しかも倍に
伸びたことで、アルバムで参加してくださったマーカス・ミラーさんのベースがいい感
じに暴れられるようにもなったんです。全てがいい方へと向かっていったように思いま
す。
──とはいえ、「何て無茶振りするの」って思いませんでしたか?
MISIA:こちらもこちらで無茶なことをたくさん振ったのでお互い様なんです(笑)。
■「始まるよ! 始まってるよ! 早く気づいて」って気持ちが溢れています
──今回のチャレンジ同様、音楽への純粋な好奇心と探究心に従って活動し続けてきた
MISIAさん。目まぐるしく移り変わる今の音楽シーンとどのように向き合っていますか
?
MISIA:面白いですよね! デビュー当時の私は、海外で生まれたクラブカルチャーなど
の新しい音楽をやれることにとてもワクワクしていましたし、これをメインストリーム
に届けるんだという気持ちでいっぱいでした。今回、黒田君をはじめ、ピアニストの大
林武司君、アルバムでパーカッションを叩いてくださった小川慶太君(2017年、スナー
キー・パピーのメンバーとしてグラミーを受賞)など、世界を舞台に活躍する日本のミ
ュージシャンと出会い刺激をもらいました。新しい音楽に触れて、デビュー当時に感じ
ていたようなワクワク感を覚えているんです。「始まるよ! 始まってるよ! 早く気づ
いて」って気持ちが溢れています。だから、今回WOWOWさんで放送される<MISIA
SUMMER SOUL JAZZ 2017>の映像を少しでも多くの人に観ていただきたいし、アルバム
もたくさんの人に届いてほしい。SOUL JAZZを、どうぞ目撃してください!!
──WOWOWではライヴの模様が生中継で配信されたほか、8月13日に再び放送されるそう
ですね?
MISIA:そうなんです。7月7日のバースデーライヴの模様を放送していただきます。ツ
アーはアルバムのリリース前でしたが、アルバムを聴き込んで放送を観ていただくと、
また違った楽しみ方ができると思いますし、ライヴではアルバムに収録されてないリア
レンジ曲をさらに披露しています。その曲がまたすばらしくて(笑)! 他にも、吹き
替えに初めて挑戦した映画『SING/シング』でスティーヴィー・ワンダーさんの「
Don't You Worry 'Bout a Thing」をカヴァーしたのですが、これは映画をご覧になっ
た方以外は聴けなかったと思うんです。今回はこの曲をライヴアレンジで歌っているの
で、そこも楽しんでいただけると思います。夏にぴったりのアルバムですしライヴなの
で、是非、大人の方は、夏らしくビールでも飲みながら(笑)楽しんでほしいです。
──19年間活動を続ける中で、常に高いモチベーションを保ってこられた秘訣は何です
か?
MISIA:プロデューサーなどからもよく言われますが、外に出ていろんな人と出会うこ
とかもしれません。単純に誰かと話したりすることもそうだし、ライヴを観ることもそ
う。外に出て行かないとワクワクするものに出会えません。私は歌詞を書くときはすぐ
にスランプに陥りますが(苦笑)、結局自分の中だけにはないんだろうなって思うんで
す。言葉は特に誰かとの間に生まれるものだから、自分の中だけを探っても見つからな
いものなのかもしれないなって。
──19年間、シーンを引っ張ってきたMISIAさんゆえの重みある言葉ですね。
MISIA:そんな(照れ)。そういえば先日、ミュージシャンの友達同士でご飯を食べて
いたら「MISIAちゃんの野外活動って、結果的に全て楽曲につながっているね」って言
われました。今回「来るぞスリリング」に参加してくれたラウル・ミドン(米国出身の
全盲のシンガー・ソングライター/ギタリスト)はソロデビューした12年前から大好き
。あまりに好きすぎて、来日公演のチケットをネットで10枚くらい買って、とにかく色
んな人を誘って観に行きました(笑)。黒田君のライヴもかなり観ていますし、トロン
ボーンのコーリー・キングはエスペランサ・スポルディングのライヴで歌ったり演奏す
るのを観ていたり、そういう一つ一つの出来事が繋がっていく。それが面白いですね。
──来年はデビュー20周年の節目です。今年は初めてバラエティ番組に出演したり映画
の吹き替えにも挑戦しました。もしかして女優デビューもありえる?
MISIA:いえいえ、それはありません(苦笑)。やっぱり曲作りをしたいですね、新し
い曲なのか、はたまた新しいアプローチでアレンジするのかはわかりませんが。今回の
セッションは本当に楽しかったのでまたやりたいですし、レコーディングは日本とNYで
別々でやっていたので、次回は是非一緒にやりたいです。それと、細かなことですが歌
詞から先に曲を作る詞先で曲を作ったことがないのでそれもやってみたいです。
──それは意外ですし、やってみたらまた新しい扉が開けそうですね?
MISIA:もともと書いていた歌詞をメロディーを合わせるというのはありましたが、ま
ず言葉を書いてからそこに曲を乗せるのはやったことがないんです。そのためにコピー
ライター教室とか行ってみるのもおもしろそうかなって思うんですが、でも2、3日が限
界かなと(笑)。それとは別に、今までやったことのない場所でライヴもしてみたいな
と思ったり。すごくスリリングな体験なので、たまにやるとすごく良い刺激がもらえる
んです。まだまだやりたいこと、挑戦してみたいことは尽きそうにないですね。
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