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MISIA、福山雅治、GLAY、ポルノグラフィティ、EXILE……“平和”をテーマに歌う未来
への希望
今年の8月15日は79回目の「終戦の日」となる。いまだに世界各地では戦争や争いが
絶えず起き続け、平和への道程はまだ半ばだ。日本のミュージシャンたちも平和への思
いを込めた楽曲をリリースすることで、今一度平和について考えさせてくれる。本稿で
は近年リリースされた“平和”や“戦争”をテーマにした楽曲を振り返り、それぞれの
ミュージシャンたちの平和に対する想いを見つめ直したい。
先日閉幕した『第33回夏季オリンピック競技大会』(パリオリンピック)、その日本
テレビ系2024アスリート応援ソングとしても放送されていたMISIAの「フルール・ドゥ
・ラ・パシオン」。オリンピック代表選手たちの情熱を体現するような熱い疾走感、異
国情緒漂うサウンドと伸びやかなMISIAの歌声が印象的な1曲だ。オリンピックとは“平
和の祭典”だ。戦争や争いをこの期間だけは一度止め、人種や国籍にかかわらずスポー
ツで友好を深めるのがオリンピックの意義なのだ。そんなオリンピックの理念も踏まえ
た本楽曲は〈まだ見ぬ未来 信じている/どんな色にも 未来は変えていけると〉と、
いまだ人類が掴めない世界平和を信じ続けるフレーズが印象的に響く。オリンピックを
テーマにした楽曲から生まれたMISIAの平和への想いが感じられる楽曲だ。
同じくテーマソングをきっかけに平和を見つめ直した楽曲といえば、福山雅治の「想
望」が挙げられるだろう。戦時中の日本にタイムスリップした女子高生と特攻隊員の青
年の恋愛模様を描いた映画『あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。』の主題歌とし
てリリースされた本楽曲は、生活という普遍的な営みを描くことで平和の尊さを紡ぐ1
曲となっている。そんな中で大サビの〈善と悪とを 生と死とをね/乗せてこの地球(
ほし)〉というフレーズが一層シリアスに重く響く。我々が生きて生活を重ねる中で否
応なく立ち塞がる善と悪、そして生と死に真摯に向き合う歌詞は特に印象的だ。福山と
言えば長崎出身。「想望」の他にも「クスノキ」といった長崎に現存する被爆樹木をモ
チーフにした楽曲を制作するなど、福山は原子爆弾の被爆地である長崎で生まれ育った
アーティストとして平和への想いを抱えながら活動しているのだろう。
GLAYが2022年9月にリリースした「Only One,Only You」は、TAKURO(Gt)が当時の緊
迫するウクライナ情勢に対し、率直に感じた思いを込めて制作された楽曲だ。〈くだら
ない夢想に巻き込まれて 歴史の闇が顔を出す〉というフレーズには戦争のきっかけを
、〈きっと訓練とは違うだろう 思うようにいかないだろう〉というフレーズには争い
に否応なく巻き込まれてしまった市民や兵士らの姿がオーバーラップする。なによりも
〈いつかまた会おう/瓦礫の街に花戻る頃 未来誓った者同士〉というフレーズには、
平和が達成された未来への誓いを見る。静謐なサウンドでありながら、サビではダイナ
ミックなスタジアムロック然としたコーラスが響き渡るサウンドスケープも、世界平和
というテーマとマッチしている。
ポルノグラフィティが『G7広島サミット2023』(第49回先進国首脳会議)の応援ソン
グとして昨年リリースした「アビが鳴く」は、広島出身のポルノグラフィティならでは
の筆致で描かれる美しい広島の情景と、平和に対する切実なメッセージが内包された1
曲だ。メンバーのHIROが広島出身、TAKAHIROが長崎出身のEXILEも、ポルノグラフィテ
ィと同じく『G7広島サミット2023』応援ソングとして「Reason」をリリース。この地球
の美しさ、そしてこの地球で生きる一人ひとりの尊さをシンプルで覚えやすいフレーズ
と子供たちによるコーラスで表現している。
世界平和のために必要なことは対話と理解だ。お互いを尊重し、理解し合うことはシ
ンプルだが、容易ではない。そんな平和へのプロセスに欠かせない繋がりを、音楽こそ
生み出すことができるのではないだろうか。8月15日は上記の楽曲を身近な家族や友人
と聴きながら、平和について語り合ってみてほしい。
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